ETCカードをご利用のみなさま、こんにちは。

2026年9月17日に第2次高市改造内閣が発足し、高速道路行政を所管する国土交通大臣が交代しました。

前任の金子恭之氏に代わり、新たに国土交通大臣へ就任したのは、自民党の井林辰憲(いばやし・たつのり)氏です。

自民党HPより

前回、2025年10月に金子氏が国土交通大臣へ就任した際にもご紹介しましたが、今回は高速道路・ETCに関係する方にとって、少し注目しておきたい人事だと思います。

井林国土交通大臣は「国交省出身」

井林氏は京都大学工学部、京都大学大学院工学研究科を修了後、2002年に国土交通省へ入省しています。

その後、

  • 国土交通省大臣官房技術調査課
  • 沼津河川国道事務所 調査第二課長
  • 中部地方整備局 地域道路課長

などを歴任し、2010年に国土交通省を退官しました。

その後、2012年の衆議院議員選挙で初当選し、現在は6期目となっています。

つまり今回は、単なる「国交省に詳しい政治家」というだけではなく、実際に国土交通省で道路行政の実務に携わった経験のある人物が国土交通大臣になったことになります。

前任の金子国交相も退任会見で、井林氏について「国土交通省のOB」であり、国土交通行政について実務的なことも含めてよく分かっている人物だと説明しています。

では、高速道路料金やETC割引は変わるのでしょうか?

まず結論から言えば、

国土交通大臣が交代したからといって、現時点で高速道路料金やETC割引制度が変更されたわけではありません。

高速道路料金制度は、国土交通省、NEXCO各社、社会資本整備審議会などで長期間にわたって検討されているため、大臣交代だけで突然方向転換する性質のものではありません。

むしろ重要なのは、現在すでに高速道路料金制度全体の見直しが進められていることです。

2026年6月に開催された「第72回国土幹線道路部会」では、

  • 休日割引
  • 平日朝夕割引
  • 深夜割引
  • 大口・多頻度割引
  • ETCマイレージ割引
  • 混雑状況等に応じた柔軟な料金

など、主要な高速道路料金制度について改めて議論されています。

新しい井林国交相は、こうした料金制度見直しが進行しているタイミングで就任したことになります。

では、ETCカードを利用する事業者に関係しそうなポイントを見てみましょう。

大口・多頻度割引は「2027年3月末」がひとつの節目

ETCコーポレートカードを利用している事業者にとって、最も気になるのは「大口・多頻度割引」だと思います。

現在、ETC2.0を利用する自動車運送事業者については、車両単位割引を10%拡充する措置が行われており、最大割引率は通常の40%から50%へ拡大されています。

この措置については、2027年3月末まで継続されることが決まっています。国費78億円が措置されています。

問題は、その先です。

国土幹線道路部会では、大口・多頻度割引について、

  • 車種間の負担の公平性
  • 多頻度利用の定着
  • 高速道路会社の経営の安定

などを踏まえて、今後も見直しを検討するとされています。

したがって、ETCコーポレートカードを扱う事業者にとっては、2027年4月以降も現在の拡充措置が続くのかは、今後の予算編成などで特に注目したいポイントです。

深夜割引の見直し

もうひとつ大きなテーマが「深夜割引」です。

現在は、0時~4時の間に高速道路を走行すれば、基本的に対象となる走行全体が30%割引になります。

見直し後は、

  • 対象時間を22時~翌5時へ拡大
  • 対象時間帯に実際に走行した部分のみ30%割引
  • ETCマイレージまたはETCコーポレートカードへの後日還元
  • 割引対象距離に上限を設定

という仕組みに変更される予定です。

当初予定より導入が遅れており、2026年9月時点でも具体的な運用開始日は公表されていません。NEXCO3社はシステムの動作確認・検証を進めています。

新国交相の下で、いつ正式にスタートするのか注目です。

高速道路料金は「一律割引」から「利用状況に応じた料金」へ?

さらに、中長期的には高速道路料金の考え方そのものが変わる可能性があります。

国土幹線道路部会では、

  • 高速道路の混雑状況や曜日、時間帯、走行経路などに応じて料金を柔軟に変える仕組み

の導入が検討されています。

深夜割引見直しのために高速道路本線上へ設置したETCアンテナなどを活用し、将来的には「時間変動料金」や「経路別課金」につなげる構想も示されています。

また現在、

  • 休日だから割引
  • 深夜だから割引

という比較的単純な制度から、

  • 混雑している時間帯は割引を縮小し、空いている時間帯や経路へ利用者を誘導する

という方向へ、高速道路料金政策が少しずつ変化しています。

これはETCやETC2.0から得られるデータを活用できるようになったことも大きいでしょう。

ETCは単なる「料金支払いの仕組み」ではなくなっていく

現在、全国の高速道路におけるETC利用率は約96%まで上昇しています。

さらにETC2.0では、料金所の入口・出口だけでなく、走行経路などの情報も把握できるため、交通量や渋滞状況を踏まえた料金政策にも利用できます。

国土幹線道路部会では、

  • ETC専用化
  • 料金システムの刷新
  • 混雑状況等に応じた柔軟な料金
  • マイレージポイントを活用した料金還元
  • 経路別課金

なども議論されています。

つまり今後のETCは、

  • 「料金所を止まらずに通過するための仕組み」から、「道路の利用状況に応じて料金を変えるためのインフラ」へ

役割が広がっていく可能性があります。

新大臣の就任で注目したいこと

井林新国交相の就任によって、高速道路料金やETC割引が直ちに変更されるわけではありません。

一方で現在、高速道路料金制度は大きな見直しの途中にあります。

特に、

  • 2027年3月末を迎える大口・多頻度割引の拡充措置
  • 延期されている深夜割引見直しの開始時期
  • 休日割引・平日朝夕割引・マイレージ割引の見直し
  • ETCデータを活用した柔軟な料金制度

などは、これから数年間の高速道路政策を考えるうえで重要なテーマになりそうです。

しかも今回は、国土交通省で道路行政そのものを経験した人物が大臣に就任しました。

今後、高速道路料金制度についてどのような方針が示されるのか、引き続き注目したいと思います。

最後まで読んで頂き、誠にありがとうございました。

参照元(一次情報)