協同組合でETCカードの運用担当をしている方、こんにちは!

今回は、多くの協同組合でETCカードの料金回収に利用している「口座振替」の今後数年での大きな変化についてご紹介したいと思います。

ETCカードの料金回収に「振込」を利用しているところもあるかと思いますが、多くのところでは、「口座振替」も併用しているかと思います。

この「口座振替」に関する決済情報を毎月、金融機関へなんらかの方法で提出しているかと思いますが、この提出方法について今後数年で大きな変化がおきます

まずはじめに金融機関への口座振替情報の提出方法ですが、大きく、媒体利用とネットワーク利用の2種類がありますが、少し細かくすると以下のようになります。大半利用者がこのどれかの方法で口座振替情報を金融機関に提出しているかと思います。

媒体利用
  1.CMT(カートリッジ磁気テープ)
  2.フロッピーディスク、MO
  3.DVD

ネットワーク利用
  4.一般公衆電話網
  5.ISDN網
  6.IP網

今後、どのようになるでしょうか?
↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓

媒体利用
  1.CMT(カートリッジ磁気テープ) ← 多くの金融機関で取扱い中止
  2.フロッピーディスク、MO ← 多くの金融機関で取扱い中止
  3.DVD

ネットワーク利用
  4.一般公衆電話網 ← 2023年12月末終了
  5.ISDN網 ← 2023年12月末終了
  6.IP網

現在、各地の地銀でフロッピーディスク(FD)やカートリッジ磁気テープ(CMT)の取り扱いを終了する動きが広がっています。読み取り装置の製造終了などでデータを取り扱えなくなる恐れが高まっているためです。

山形銀行、きらやか銀行、広島銀行は、2021年3月末で振り込みや預金口座振替のデータ授受でのFD取り扱いを終了、東邦銀行は、2020年3月末でFDやカートリッジ型の磁気テープの取り扱いを終了しており、地銀のプレスリリースを見ると、同様の理由で廃止を進めている銀行が多くなっています

地銀、フロッピーディスクの取り扱い終了相次ぐ – 日本経済新聞

みずほ銀行では、FD、磁気テープ、DVDへのデータ授受に関しては2019年6月から有償化を行っており、媒体持込月間基本料金は月額50,000円(税抜)とのこと。

媒体方式による口座振替および総合振込・給与振込の有償化のお知らせ

みずほ銀行のお知らせ

DVDは、2012年2月に全国銀行協会が、データ交換用媒体の取扱基準に追加したばかりなので、まだもう少し大丈夫だとは思うのですが、ネットワーク利用が主流になるとDVDを含め媒体利用自体をそもそも取りやめる金融機関も増えてくるかと思います。

企業等と銀行の間のデータ交換用媒体への光ディスクの追加について – 全銀協

口座振替情報用の媒体の変遷については2013年の記事ですが、以下のサイトにうまくまとまっています。今はさすがにオープンリールを使っているところはなさそうですが…

口座振替データ交換用の磁気テープは生き残るのか?

そして、ネットワーク利用の方でも2023年12月末に大きな転換点を迎えます。それがNTT東日本・西日本による公衆交換電話網(PSTN) 廃止に伴う全銀協での一般公衆電話網、ISDN網を利用した全銀プロトコルのサポート終了です。

全銀協標準通信プロトコル(ベーシック手順およびTCP/IP手順)の取扱いについて – 全銀協

これによって、一般公衆電話網を利用した「全銀ベーシック手順」と、ISDN網を利用した「全銀TCP/IP手順」が利用できなくなり、IP網を利用した「広域IP網版全銀手順」のみがサポートプロトコルとなります。

このあたりについては、以下のオージス総研のサイトがわかりやすいです。

公衆回線網のIP網化に関するQ&A

ネットワーク利用時に使う口座振替情報のデータフォーマットである「全銀フォーマット」について以前紹介したことがあります。

知ってるようで意外と知らないETCカードの「自動引落(口座振替)」について

全銀フォーマット」とは、全銀プロトコル(企業・銀行間のデータ交換手順)でデータ伝送を行うために全国銀行協会が定めたファイルフォーマットのことで、ヘッダレコードデータレコードトレーラレコードエンドレコードで構成される固定長120バイトのレコード集合です。

文字コードはJISコードと、EBCDICコードの2種類が指定できます。

JISコード(JIS X 0201)は、8ビットで半角英数字と半角カタカナを表す文字コード(全角文字が使えない Shift-JIS と考えればOK) です 。パソコンでテキストファイルを書き出して金融機関へ提出する場合はこちらの文字コードを指定します。

EBCDICコード は、メインフレームやオフコンなどで利用される文字コードで、 CMT(カートリッジ磁気テープ)などの媒体として利用する場合はこの文字コードを指定する必要があります。(パソコンで使うことはありません)

今後、IP網を利用した「広域IP網版全銀手順」による口座振替情報の伝送が主流になれば、EBCDICコードはなくなってしまいますね。

このように多くの協同組合でETCカードの料金回収に利用している「口座振替」が今後数年での大きく変化します。ご注意下さい。