ETCカードをご利用のみなさま、こんにちは。

2026年6月12日、阪神高速道路株式会社が令和7年度(2025年度)決算を公表しました。

決算を見ると、高速道路利用の回復を背景に料金収入は増加した一方で、老朽化対策や維持管理費の増加という都市高速ならではの課題も見えてきます。

今回は決算のポイントと、今後の阪神高速が直面する課題について整理してみたいと思います。

料金収入は増加

阪神高速のプレスリリースより

阪神高速の高速道路事業における料金収入は1,919億円となり、前年度の1,853億円から66億円増加しました。交通量が堅調に推移したことが主な要因です。

コロナ禍が完全に過去のものとなり、人流・物流ともに高い水準を維持しています。

特に阪神高速は、大阪港・神戸港・関西国際空港を結ぶ関西圏物流の大動脈です。EC需要や物流需要の拡大を背景に、高速道路利用は引き続き底堅く推移しています。

収益は増えても利益は伸びない

一方で、高速道路事業の営業利益は約10億円にとどまっています。

その背景には、

  • 道路資産賃借料の増加
  • 維持管理費用の増加
  • 大規模更新・修繕事業の推進

があります。

管理費用は前年度から増加しており、老朽化したインフラを維持するためのコスト負担が年々大きくなっています。

料金収入が増えても、その多くが維持管理や更新投資へと消えていく構造になっているのです。

都市高速特有の課題

阪神高速が抱える課題は、NEXCO各社よりも深刻かもしれません。

その理由は、路線の大半が都市部の高架構造だからです。

大阪市内や神戸市内の高架橋は高度経済成長期に建設されたものが多く、開通から50年以上経過した区間も少なくありません。

さらに都市高速は交通量が非常に多く、大型車の割合も高いため、構造物への負荷が大きくなります。老朽化対策や大規模更新が避けられない状況となっています。

「造る時代」から「更新する時代」へ

近年、阪神高速では長期間の通行止めを伴う大規模更新工事が行われています。

利用者から見ると不便に感じることもありますが、これは今後の高速道路運営において避けて通れない取り組みです。

日本の高速道路政策は、かつての「建設中心」から「維持・更新中心」へと完全に移行しています。

これは阪神高速だけではなく、NEXCO東日本・中日本・西日本、さらには首都高速にも共通する課題です。

今後の注目ポイント

阪神高速の今後を見るうえで注目したいのは次の3点です。

① 大規模更新事業の進捗

老朽化した高架橋や橋梁をどのように更新していくのか。安全性確保と交通影響の最小化を両立できるかが重要になります。

② 料金制度改革

国土交通省では高速道路料金制度の見直し議論が始まっています。将来の更新投資を支える財源確保という観点からも、今後の議論には注目です。

③ 物流インフラとしての役割

2024年問題以降、物流効率化の重要性はさらに高まっています。阪神高速は単なる道路会社ではなく、関西経済を支える物流インフラ企業としての役割がますます大きくなるでしょう。

まとめ

阪神高速の令和7年度決算は、料金収入が増加する一方で、維持管理や更新投資の負担が重くなっている現状を示す内容でした。

高速道路は今、「造る時代」から「維持する時代」へと移行しています。

利用者が安全・安心に走行できる環境を維持するためには、多額の更新投資が必要です。阪神高速の決算は、日本のインフラが抱える課題を象徴するものと言えるのではないでしょうか。


最後まで読んで頂き、誠にありがとうございました。

参照元(一次情報)