ETCカードをご利用のみなさま、こんにちは。
今回は、2024年6月13日に実施された「令和6年度 名古屋高速道路公社運営会議」にて名古屋高速の「令和5年度決算」と「令和6年度予算」が公開されていましたので、ご紹介したいと思います。
「名古屋高速道路公社運営会議」 は、公社の運営に関する重要事項を協議し、公社の事業の適正かつ能率的な推進を図るために実施され、出席者は、名古屋高速のステークホルダーである愛知県知事、名古屋市長、中部地方整備局長、東海財務支局長、名古屋商工会議所会頭、名古屋銀行協会会長、名古屋高速理事長が委員となって開催されています。
令和5年度決算
交通量は前年度比+2.8%で、新型コロナウイルス感染症の拡大前の状態へ回復しており、全線の平均渋滞量は交通量の増加に伴い、2021年度以降増加傾向。
損益計算書(PL)
令和5年度の償還準備金繰入は330億円、収入は701億円で+2.9%(20億円増)、費用は306億円で+1.3%(4億円増)となっています。
貸借対照表(BS)
年度末の償還準備金の累計は8,364億円。償還率は50.0%で前年度比+1.9ポイント。
令和6年度予算
建設事業としては、新洲崎地区、黄金地区、栄地区の工事着手や16号一宮線における名岐道路の事業化に取り組むとのこと。
管理事業としては、料金所配置の統一やETC専用化などで利便性の向上を図り、大規模修繕工事や計画的な維持補修、交通安全対策などを実施するとのこと。
2024年度予算としては、去年度比で管理事業費より建設事業費により多くの予算が計上されています。
名古屋高速は、現状の道路の保守だけでなく、都心アクセス関連事業や名岐道路の事業化などの多くの新設事業を抱えながら、建設費償還の着実な推進が求められています。
2024年7月31日に、決算を反映した2023年度の財務の概要が更新されていましたので、ご紹介したいと思います。
2023年度決算の概要
名古屋高速道路公社の「会計処理」の特徴についてまとめられています。
「有料道路制度」を利用しており、借入金により道路を建設し、料金収入により定められた期間内に償還し、償還完了後は本来の道路管理者に引き渡しする制度となっております。
ちなみに公社は、公共法人なので法人税はかからず、利益の全てを借入金の償還に充当しています。
「償還準備金積立方式」を採用しているため、毎年の利益を「償還準備金繰入」として費用計上し、その累計額を「償還準備金」として負債に計上する方式となっており、「道路資産」と「償還準備金」を比較することで償還状況がわかるという仕組みになっています。
令和5年度のPL(損益計算書)は以下の通りです。
令和5年度のBS(貸借対照表)は以下の通りです。
「長期借入金」の出資金以外は、大半が名古屋高速道路公社が発行している債券となっています。
PLとBSを見るとわかりますが、他の道路公社で計上されている「損失補てん引当金」が見当たりません。これは償還計画満了時に借入金が残った場合に備えて、一部積立をするものです。
「損失補てん引当金」は、道路整備特別措置法に定められた引当金ですが、なぜ計上されていないのかは調べてもわかりませんでした。
最後まで読んで頂き、誠にありがとうございました。