協同組合のETCカード業務において、ETCクレジットカードの発行会社を変更する際、

  • カード会社を変えるだけなら、今使っている電算システムはそのまま使えるのでは?

と思われることがあります。

実際、カード会社を変更しても、現在の電算システムをそのまま利用できるケースはあります。

ただし、新しいカード会社から受け取る走行データを取り込めるかどうかだけでは判断できません。

ETCカード業務では、走行データの取込後にも、

  • カードと組合員・車両の紐付け
  • ETCマイレージ関連の処理
  • 組合員への請求計算
  • 請求書・明細書の作成
  • 口座振替
  • 各種手数料の計算
  • 過去データの照会

など、さまざまな業務が続きます。

そのためカード会社の変更時には、

  • 「新しいデータを読み込めるか」ではなく、「現在行っているETCカード業務を最後まで同じように処理できるか」

を確認することが重要です。

当社へETCカード電算システムの切替をご相談いただく際にも、カード会社の変更がシステム見直しのきっかけになることがあります。

今回は、ETCカードの発行会社を変更する際に確認しておきたい8つのポイントを整理します。

1.新しいカード会社の走行データを取り込めるか

まず確認したいのが、新しいカード会社から提供される走行データです。
現在の電算システムが、そのデータを正常に取り込めるかを確認します。

ここで注意したいのは、

  • 「ファイルを読み込めた=対応完了」ではない

という点です。

データの項目や並び方などが現在と異なる場合、取り込み自体はできても、その後の請求処理などに正しく引き継がれない可能性があります。

そのため、

取込
↓
データ確認
↓
請求計算
↓
請求書・明細書作成

まで、一連の処理を通して確認する必要があります。

また、データ形式だけでなく、データがいつ提供されるのかも重要です。

データの到着時期が変われば、請求処理や口座振替のスケジュールにも影響する可能性があるためです。

2.新しいカード番号と組合員・車両を正しく紐付けられるか

カード会社の変更に伴い、ETCカード自体を交換する場合があります。

その場合、

  • 旧カード番号
  • 新カード番号
  • 組合員
  • 車両

などをどのように管理するかを決めておく必要があります。

単純に旧カード番号を新しいカード番号へ上書きしてしまえばよいとは限りません。

切替後に、

  • この走行はどのカードで利用したものか
  • 以前使っていたカードの利用履歴を確認したい

といった問い合わせが発生する可能性があるためです。

そのため、新カードへ切り替えた後も、

  • 旧カードと新カードの関係を追跡できる状態

にしておくことが重要です。

3.ETCマイレージ関連の運用を継続できるか

ETCマイレージサービスを利用している場合は、カード変更に伴う運用についても確認します。

たとえば、

  • 新しいカードの登録
  • ポイント取得状況の確認
  • 還元処理
  • 旧カードと新カードの管理
  • 失効確認

などです。

カードを切り替える時期と、マイレージ関連の登録・管理を切り替える時期が適切でないと、実務上の確認作業が増える可能性があります。

そのため、

  • 「カードをいつ交換するか」だけでなく、「マイレージ関連の運用をいつ、どのように切り替えるか」

まで事前に整理しておくことが大切です。

4.現在と同じ請求計算・請求書作成ができるか

ETCカードの電算システムでは、カード会社から受け取った利用データをそのまま組合員へ請求しているとは限りません。

組合によっては、

  • 独自の手数料
  • 組合費
  • 各種調整
  • その他の加算・控除

などを反映したうえで、組合員への請求金額を算出している場合があります。

そのため、新しいカード会社のデータが読み込めても、

  • 現在と同じルールで組合員への請求金額を計算できるか

を確認する必要があります。

あわせて、

  • 請求書
  • 利用明細
  • WEB明細
  • 各種帳票

などが、現在必要としている形式で作成できるかも確認します。

重要なのは請求書の見た目だけではなく、

  • 請求処理全体が現在と同じように完結すること

です。

5.口座振替や各種手数料など「後工程」まで動くか

ETCカード業務は、請求書を作成して終わりではありません。

その後、

組合員への請求
↓
口座振替データ作成
↓
代金回収
↓
入金確認
↓
各種手数料等の計算

といった業務が続く場合があります。

カード会社の変更によって上流のデータが変われば、この後工程にも影響する可能性があります。

そのため、システムテストを行う際には、

  • カードデータの取込部分だけではなく、最終的な回収・管理業務まで一連で確認する

ことが重要です。

6.切替月に旧カードと新カードを同時に処理できるか

カード会社変更時に特に注意したいのが、切替月です。

カードを切り替えたとしても、

  • カード切替日=旧カード関連の処理がすべて終了する日

とは限りません。

切替のタイミングによっては、同じ請求月の中に、

  • 旧カードでの利用
  • 新カードでの利用

が混在する可能性があります。

さらに、新カードへの切替後に旧カード分の利用データや修正データを処理する必要が生じることも考えておかなければなりません。

そのため、事前に、

  • いつから新カードを利用するのか
  • 旧カードのデータをいつまで処理するのか
  • 新旧カードのデータを同じ月に処理できるのか
  • 旧カード分の未処理データをどう扱うのか

を決めておく必要があります。

カード会社の変更では、この「新旧が重なる期間」をどう処理するかが重要なポイントになります。

7.取消・修正・遅れて届くデータにも対応できるか

システム切替のテストでは、通常の利用データだけを確認して終わらないよう注意が必要です。

実際の業務では、通常処理だけでなく、

  • 取消
  • 修正
  • データの遅延
  • エラー
  • その他の例外処理

が発生することがあります。

通常データでは問題なく動いていても、こうした例外的なデータを処理した際に問題が発生する可能性があります。

そのためカード会社変更前には、

  • 通常データだけではなく、実際の運用で発生し得る例外処理についても確認しておく

ことをおすすめします。

「正常に取り込めた」という確認だけで移行を完了させないことが重要です。

8.旧カード会社時代の過去データを引き続き確認できるか

意外と見落とされやすいのが、過去データです。

カード会社を変更した後でも、組合員から、

  • 数か月前のこの利用について確認したい
  • 以前のカードの請求明細を再発行してほしい

といった問い合わせが来る可能性があります。

その際、

  • 旧カード番号
  • 過去の走行データ
  • 過去の請求金額
  • 過去の請求書・明細書

を引き続き確認できる必要があります。

新しいシステムへ過去データを移行するのか、それとも旧システムを一定期間参照できる状態にしておくのか。

方法はいくつか考えられますが、大切なのは、

  • 「新しいカードの処理ができる」だけではなく、「過去の問い合わせにも対応できる」状態を残すこと

です。

カード会社変更は「電算システム全体」を点検するタイミング

ETCカードの発行会社を変更する際、最初に気になるのは、

  • 新しいカード会社のデータを今のシステムで読み込めるか

という点だと思います。

しかし、本当に確認すべきなのはそこだけではありません。

新しいデータを取り込み、

カード・組合員情報を管理し、

必要な計算を行い、

請求書を作成し、

口座振替を行い、

過去のデータも確認できる。

つまり、

  • 現在行っているETCカード業務を、新しいカード会社へ変更した後も最後まで問題なく完結できるか

を確認する必要があります。

カード会社変更は、長年利用してきた電算システムの処理内容や運用方法を整理するよい機会でもあります。

「今まで使えていたから大丈夫」と考えるのではなく、このタイミングで一度、システム全体を棚卸ししてみることをおすすめします。

システム変更も伴う場合は「新旧を比較できるうち」に準備する

カード会社の変更と同時に電算システムも変更する場合には、旧システムが正常に動いているうちに準備を進めた方が安全です。

旧システムが動いていれば、新しいシステムで計算した結果と、

  • 利用データ
  • 割引等の処理結果
  • 組合員別の請求金額
  • 請求書・明細書

などを比較できます。

差が発生した場合にも、旧システムの処理内容を確認できます。

一方、旧システムが利用できなくなってからでは、比較する基準そのものが失われてしまうことがあります。

カード会社変更とシステム変更を同時に検討する場合は、

  • 本番切替より前に、新旧の結果を比較できる期間を確保する

ことが重要です。

まとめ

ETCカードの発行会社を変更しても、現在の電算システムをそのまま使える場合はあります。

ただし、判断基準は、

「新しい走行データを取り込めるか」だけではありません。

確認したいのは、

  1. 新しいカード会社の走行データ
  2. カード番号と組合員・車両の紐付け
  3. ETCマイレージ
  4. 請求計算・請求書
  5. 口座振替などの後工程
  6. 切替月の新旧カード並行処理
  7. 取消・修正などの例外処理
  8. 過去データの参照

です。

これらを一連の業務として確認したうえで、

  • 現在のシステムを継続するのか
  • 一部を改修するのか
  • カード会社変更を機に新しいシステムへ切り替えるのか

を判断するとよいでしょう。

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ファーストアクセスの「ETCクラウド」とは?

ファーストアクセスの「ETCカード電算システム」はどのようなものか?は、以下のページをご参照ください。

最後まで読んで頂き、誠にありがとうございました。