ETCカードをご利用のみなさん、こんにちは!

シリーズでご紹介しております、高速道路の割引(目的・効果・課題・見直し方針)です。前回は、

「車種区分」の目的・効果・課題・見直し方針について

ということで、 現在の「国土幹線道路部会」で検討されている「車種区分」の論点についてご紹介いたしました。

今回は、過去に存在した割引である「別納割引」についてご紹介したいと思います。以下が、「別納割引」の概要です。

国土交通省の資料より

「別納割引」は、1966年(昭和41年)から2005年(平成17年)まで存在した大口利用者向けの割引制度です。

大口・多頻度割引」の前身の割引制度ですね。この「別納割引」は、「大口・多頻度割引」と大きく異なり

  ・車両単位ではなく、契約単位での一括割引
  ・登録外車両でも利用できる
  ・割引適用条件にカードの利用額平均という概念がない

という割引制度でした。
しかし、この「別納割引」は、ある時期から大きな批判を受けるようになりました。その「問題点」が以下の資料です。

国土交通省の資料より

このような批判を受け、国土交通大臣は、2003年(平成15年)に、平成16年度末、つまり2005年3月末までで「別納割引」制度を廃止し、新たな割引制度を創設すると指示することになりました。その結果、生まれたのが「大口・多頻度割引」です。

新しく創設される「大口・多頻度割引」制度について、当時の道路関係四公団民営化推進委員会の委員だった猪瀬直樹氏からの質問に対して、日本道路公団が回答した内容が以下です。

国土交通省の資料より

このような経緯を経て、「大口・多頻度割引」が創設されました。

高速道路の割引に長年関係している協同組合や運送会社の関係者からは、よく「別納」「別納割引」「別納制度」といったキーワードを聞くことがありますが、個人的にこの高速道路の割引制度に関する仕事に携わったのが2006年からなので、当時のことはあまりよく知らなかったのですが、このような歴史、経緯があったようです。

以下、「別納割引」が存在した2003年時点における日本道路公団による「別納割引」の目的・概要・利用状況・加入者の推移、割引制度の変遷です。

国土交通省の資料より
国土交通省の資料より

以下、「別納割引」が存在した2003年時点における本州四国連絡橋公団による「別納割引」の目的・概要・利用状況・加入者の推移、割引制度の変遷です。

国土交通省の資料より
国土交通省の資料より

「別納割引」は、日本道路公団と本州四国連絡橋公団が行っていた割引であり、首都高速道路公団と阪神高速道路公団にはありませんでした。

別納割引」があった2002年度時点での各道路公団の料金収入は、ざっくりと以下のような感じとなっていました。

 ・日本道路公団 : 2兆500億円
 ・首都高速道路公団 : 2600億円
 ・阪神高速道路公団 : 1800億円
 ・本州四国連絡橋公団 : 800億円

別納割引」が適用されていた「ETC別納カード」は以下のようなものでした。現在のETCコーポレートカードとはだいぶ違いますね。

ETC別納カード(見本)

今回は、過去の存在した高速道路の割引制度である「別納割引」についてご紹介しました。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。