ETCカードをご利用のみなさま、こんにちは。
今回は、高速道路利用者にとっておなじみの「マイレージ割引」の今後についてどのような見直しが議論されているか?をご紹介したいと思います。
高速道路の割引制度の中で、多くの一般利用者にとって最も身近な制度の一つが「ETCマイレージサービス」です。
ETCで高速道路を利用するとポイントが貯まり、一定額ごとに通行料金へ還元できる仕組みですが、国土交通省の国土幹線道路部会では現在、このマイレージ割引制度の見直しが議論されています。
利用者の中には、
- ポイント制度がなくなるのでは?
- 還元率が下がるのでは?
と気になっている方もいるかもしれません。
しかし、今回の議論を見る限り、単純な廃止ではなく、制度の活用方法そのものを見直そうという方向性が見えてきます。
今回は公表資料をもとに、マイレージ割引の仕組みや効果、課題、そして今後の方向性について整理してみます。
マイレージ割引とはどのような制度か
ETCマイレージサービスは、高速道路を頻繁に利用する人の負担軽減を目的として導入された制度です。
利用者は事前登録を行うことで、
- 通行料金10円につき1ポイント付与
- 5,000ポイントで5,000円分の還元額と交換
することができます。
実質的な還元率は最大で約9.1%とされており、高速道路料金のポイント制度としては比較的高い水準です。
対象となるのは、
- ETCクレジットカード
- ETCパーソナルカード
を利用し、事前にETCマイレージサービスへ登録した利用者です。
前身はハイウェイカードだった
現在のマイレージ制度には前身があります。
かつて存在した
- ハイウェイカード
- 前納割引制度
です。
当時は前払い額に応じて最大13.8%もの割引を受けることができました。
しかし、
- 偽造ハイウェイカード問題
- ETCへの移行推進
などを背景に、2006年にハイウェイカードは廃止されました。
その代替制度として現在のETCマイレージサービスが運用されています。
利用者の負担軽減には大きく貢献
国土交通省によると、2023年度のマイレージ割引額は約600億円に達しています。
これは利用者に還元された金額であり、
高速道路利用者の負担軽減に大きく寄与している
と評価されています。
高速道路を日常的に利用する人にとっては、実質的な値引き制度として機能していると言えるでしょう。
一方で登録者数は減少傾向
興味深いのは、利用額と登録者数の動きです。
国土交通省の資料によると、
- ETCクレジットカード・パーソナルカードによる料金収入は増加
- 一方でマイレージ登録者数は近年減少傾向
となっています。
つまり、
高速道路利用そのものは増えているにもかかわらず、マイレージサービス利用者は減っている
という状況です。
国交省は、
多頻度利用者の定着効果は限定的
と分析しています。
「還元率は高いのに実感がない」
国土交通省の資料で最も興味深い指摘がこれです。
国交省は、
最大約1割分のポイントを付与しているものの、利用者の実感が薄い
との意見があることを紹介しています。
確かに、
- ポイントを貯める
- 還元額へ交換する
- 還元額で支払う
という仕組みは少し分かりにくい面があります。
利用者の中には、
「どれくらい得しているのか分からない」
という人も少なくありません。
そこで2022年からは、ポイント残高をメールで通知するサービスも開始されています。
実は還元率はかなり高い
国交省は他の交通機関やインフラ事業者とも比較しています。
資料によると、
- JR東海EXポイント:約0.6%
- 東急ポイント:約3%
- 名鉄マイレージポイント:約4%
- クレジットカード系ポイント:約0.5%
程度であるのに対し、ETCマイレージは最大約9.1%となっています。
つまり、
利用者が感じている以上に、高速道路のポイント還元率は高い
ということです。
今後は「混雑対策ツール」になる可能性
国土交通省の資料で特に注目すべきなのはここです。
現在、高速道路会社は、
混雑時間帯を避けて利用した場合にポイントを付与する
取り組みを進めています。
つまりマイレージ制度を、単なる利用者還元制度ではなく、交通需要マネジメント(TDM)のツールとして活用しようとしているのです。
鉄道業界では、
- オフピーク通勤
- 時間帯別ポイント付与
が広がっています。
高速道路でも同様に、
- 混雑しない時間帯はポイント増
- 混雑時間帯は通常ポイント
といった仕組みが将来的に検討される可能性があります。
見直しの方向性
国土交通省は今後、
- マイレージ制度の認知度向上
- 多頻度利用者の定着促進
- 交通の平準化
- 柔軟なポイント付与
- 割引率の見直し
について検討するとしています。
特に、
曜日や時間帯に応じてポイントを変動させる仕組み
は今後の大きなテーマになりそうです。
まとめ
ETCマイレージサービスは、
- 利用者負担の軽減
- 多頻度利用者の定着
- 高速道路会社の経営安定
を目的として導入され、2023年度だけでも約600億円の還元を行っています。
一方で、
- 登録者数の減少
- 利用者の実感不足
- 高い還元率の妥当性
- 混雑対策への活用不足
といった課題も見えてきました。
今後は、
「一律にポイントを付与する制度」から「交通需要をコントロールするためのポイント制度」へ
進化していく可能性があります。
高速道路料金政策全体の見直しが進む中で、マイレージ制度もまた、新たな役割を求められる時代に入ったと言えそうです。
最後まで読んで頂き、誠にありがとうございました。

