先日、「2025年の崖」についてご紹介しましたが、いろいろと反響を頂きました。ありがとうございます。今回は、反響を踏まえ、様々なトラブルのご相談をお受けする弊社が実際に見た事例をいくつかご紹介できればと思います。
ご紹介する事例のすべてにおいて、現行システムが「レガシーシステム」となっており、軽微な修正にも大きな体力が必要となるなど、課題を抱えていました。
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が作成している「DX実践手引書」では、
以下の問題を含んでいるシステムを「レガシーシステム」として定義しています。
① 技術革新がとりこまれず、著しく老朽化している
② ブラックボックス化している
③ 肥大化・複雑化している(いわゆるスパゲッティ化が起こっている)
この3つの問題は相互に関連のある問題です。
「技術面で著しく老朽化している」とは、
古い技術要素で構成されているシステムであるため、担当者が退職してしまうとそれに代わるエンジニアが市場にいないという人材の問題や、システムが古くなればなるほど、ハード・ソフトのあらゆる面での保守コスト、そしてITシステムの改修が高コスト化する状態。
「ブラックボックス化している」とは、
人材不足によって、現行システムの仕様を詳細に把握している人材が組織内にいなくなってしまい、ITシステムがブラックボックス化している状態。もはや自力でのITシステムの改修や、ちょっとした運用改善をすることも難しく、現行維持が繰り返される。
「肥大化・複雑化している」とは、
上記の問題点を抱えながら長年現行維持を継続してシステムを使用し続け、いわゆるスパゲッティ化を起こし、ITシステムが「肥大化・複雑化している」状態。改修の際に仕様復元のための現状分析や影響範囲の調査に時間がかかり、さらにコストが必要となる問題を引き起こす。
このような定義をもとにして過去のケースを見ていくと、
「技術面で著しく老朽化している」の事例として、
・20世紀に構築したオフコンやクラサバの利用・銀行へ連携する口座引落データにフロッピーディスクを利用する運用・非常にマイナーなプログラム言語を利用したシステム
「ブラックボックス化している」の事例として、
・システムから出力された数値がどのような計算ロジックになっているか不明・新しい割引計算に対応できずに誤った数値のままで請求・システム構築をしたエンジニア退職よって通常業務以外ができない
「肥大化・複雑化している」の事例として、
・旧道路公団時代からの割引など現在存在しない割引が混在・過去データが肥大化し、ファイル容量がオーバーしてシステム停止・数十年の改修の繰り返しで現状把握だけで年単位
などがありました。
いままで、レガシーシステムを使い続けてきた理由として多いのが、
・老朽化、肥大化、複雑化したシステムのブラックボックス化
・レガシーシステムに対応できるような人材の不足
・減価償却が終わったシステムを運用している方が安上がりに見える
・システムに併せて業務を変えることができない組織文化
などですが、
こうした課題への対応としては、現状のITシステムを分析、評価した上で、アプリケーションの構造を見直し、新たなITシステムの再構築を行う必要がありますが、新たなITシステムの再構築を行うには、技術・事業・経営の3つの観点に通じたリーダーシップを発揮できる人材が必要です。
「技術」の観点に通じるとは、デジタル技術への理解と事業に必要なソフトウェアを開発する力があること
「事業」の観点に通じるとは、事業を深く理解し、デジタルを組み合わせてどのような未来を描くのかを業務現場の人々と対話・議論ができる力があること
「経営」の観点に通じるとは、事業と技術を組み合わせた結果の効果や経営的インパクト、予算管理等を説明できる力があること
新たなITシステムの再構築で重要なのは、それぞれ1つや2つの観点に通じた人材ではなく、
技術・事業・経営の3つの観点に通じたリーダーシップを発揮できる人材
です。内部の人材でこの全てをまかなうことは難しいかもしれませんが、そういう場合こそ外部の専門家の利用、アウトソーシングです。
ファーストアクセスは、ETCカード事業に特化し、技術・事業・経営の3つの観点に通じた、リーダーシップを発揮できる人材によって協同組合、運送事業者の経営力向上をサポートしております。
クレジットカード、NEXCOコーポレートカード問わず、ETCカードの管理・請求書発行システムに関してお悩みであれば、ぜひご相談下さい。システムだけでなく、業務プロセスの見直しからの業務効率化についても合わせてアドバイスさせて頂きます。