ETCカードをご利用のみなさま、こんにちは。

ETCカードの割引が今後どうなるか?

気になりますよね。

国土交通省は、2021年3月12日に「首都圏の新たな高速道路料金」の改定案を発表しました。

国土交通省のプレスリリース

現在、首都圏の高速道路料金については、平成27年9月11日に策定した「首都圏の新たな高速道路料金に関する具体方針(案)」に基づいた料金体系となっています。

今回、首都高速道路において

 ・料金水準の更なる整理・統一
 ・大口・多頻度割引の更なる拡充
 ・深夜割引の導入

などを実施すること盛り込んだ「首都圏の新たな高速道路料金に関する具体方針(案)」の改定が発表されました。

今回の改定案は、令和4年4月以降の首都圏の新たな高速道路料金の具体案となっており、令和3年3月12日(金)~3月22日(月)まで国民から意見を募集した上で最終決定を行うとのことです。

では、具体的にどのような料金体系になるのでしょうか?

国土交通省発表の「首都圏の新たな高速道路料金の具体案について(説明資料)」を参照します。まず首都高速です。

国土交通省発表の「首都圏の新たな高速道路料金の具体案について(説明資料)」から

首都高では、2016年4月に消費増税を機に現在の上限1320円に価格変更をしていますが、この上限1320円を上限1950円に値上げするとのことです。資料にあるように、35.7キロ以上の利用をした場合に値上げとなります。

この値上げによって大きな影響を受けるのが物流事業者であることは明白であるため、ETCコーポレートカード向けの割引である大口・多頻度割引を最大45%に拡充し、さらに交通量の少ない深夜の利用促進を進めるために、新たに深夜割引(20%)を導入するとのこと。

国土交通省発表の「首都圏の新たな高速道路料金の具体案について(説明資料)」から

大口・多頻度割引については以下の資料です。

国土交通省発表の「首都圏の新たな高速道路料金の具体案について(説明資料)」から

大口・多頻度割引のうち、契約単位割引は10%のままとし、車両単位割引を現行の最大35%から最大45%へ拡充し、拡充する10%のうち、5%は中央環状線の内側を通過しない交通に限定するとのこと。

新たに新設される深夜割引は、以下の資料です。

国土交通省発表の「首都圏の新たな高速道路料金の具体案について(説明資料)」から

時間帯は、0時~4時で、割引率は20%とのこと。
対象車種については、記載がないため「すべての車種」で適用される模様です。

現在、NEXCO3社が管理する全国の高速道路で実施されている深夜割引(0時~4時、30%割引)の首都高版という感じですね。

ただし、NEXCOの深夜割引は、0時から4時まで間に走行、または出入口を通過すれば割引が適用されるのに対し、首都高では、0時から4時まで間に 入口料金所を通過した場合のみに割引が適用されるとのことで、少し適用条件が異なるので注意が必要ですね。

NEXCOの深夜割引に対しては、料金所付近での「深夜割引待ち駐停車」が問題となっていますが、それに対しては言及はありませんでした。

首都高以外の割引では、外環(東京外かく環状道路)への割引は以下の資料です。

国土交通省発表の「首都圏の新たな高速道路料金の具体案について(説明資料)」から

外環(東京外かく環状道路)は、都心から約15キロメートルを環状に連絡する全長約85キロメートルの高規格幹線道路ですが、外環の利用が料金面で不利にならないように起終点間の最短距離を基本に料金を決定するとのこと。

外環(東京外かく環状道路)は、下図の赤いラインです。

国土交通省HPから

今後の流れですが、以下の資料のような流れで、来年4月から新たな料金体系になるようです。

国土交通省発表の「首都圏の新たな高速道路料金の具体案について(説明資料)」から

今回の料金改定案に対して、意見募集(パブリックコメント)を2021年3月12日から3月22日で実施。資料は以下の通りです。

「首都圏の新たな高速道路料金の具体案」について – 首都高速道路株式会社

2021年3月10日に開催された道路分科会「第49回国土幹線道路部会」にて、今回の首都圏の高速道路料金改定についての資料がでていました。

2021年3月10日開催「第49回国土幹線道路部会」 資料より

首都高速の上限料金の値上げによって、首都圏の料金水準の整理・統一が進展するとのこと。

2021年3月10日開催「第49回国土幹線道路部会」 資料より

国土交通省の国土幹線道路部会では、首都高速からもヒアリングしており、首都高速からは、「首都高を端から端まで走行すると約3000円かかるが、激変緩和として1300円(普通車:2016年当時)を上限としている。上限料金があることによって、長トリップになるほど距離当たり単価が低くなっており、不公平感が存在。また、上限距離を超えた部分は無料で走行することができるため、損傷者負担の原則に合致しない。」という意見が出ていました。

今回の首都高速の上限値上げは、損傷者負担の原則に合致した公平感のある改定という考え方なんだろうと思われます。

2021年3月10日開催「第49回国土幹線道路部会」 資料より

また、NEXCOと首都高の料金割引の統一という点では、NEXCOにはあって首都高にはなかった「深夜割引」が追加され、大口・多頻度割引についても最大割引率をNEXCOに近づける「割引の拡充」が 「首都圏の新たな高速道路料金に関する具体方針(案)」の改定に含まれていますね。

国土幹線道路部会での首都高へのヒアリングでも「時間帯による交通量や渋滞量には大きな偏りがある。夜間等は交通量に十分な余裕があり、改善の余地は大きい」という意見がでており、深夜割引の新設はそれを反映したものだろうと思われます。

料金体系については、まだ確定ではないので、今後の動向に注目ですね。