ETCカードをご利用のみなさま、こんにちは。

実はあまり知られていないかもしれませんがETCコーポレートカードを対象とした阪神高速の「大口・多頻度割引」は、2025年時点では「2032年3月末まで継続・拡充」ということになっていて、2032年4月以降に関してはまだどのようになるか決まっていません

今回は、なぜそのようなことになっているのか?を説明するために、近畿圏(主に阪神高速)の高速道路料金・割引の大きな流れについてご紹介したいと思います。

近畿圏(主に阪神高速)の主な料金体系の変更は以下の通りです。

2005年10月~ 曜日別時間帯別割引、マイレージ割引、多頻度割引導入

曜日別時間帯別割引」は、料金割引社会実験として2005年10月から実施されています。同時に一般向けに「マイレージ割引」、事業者向けに「多頻度割引」の導入も行われました。

重要な部分をピックアップすると、

 1.平日オフピーク割引:10%割引
 2.平日夜間割引:20%割引
 3.土日祝割引:20%割引
 4.3%OFFキャンペーン:平日ピーク時3%割引
 5.マイレージ割引(クレジットカード):最大13%
 6.多頻度割引(コーポレートカード):最大13%

1~4が「曜日別時間帯別割引」です。

阪神高速に月間利用実績に応じた「頻度割引」が導入

となりました。多頻度割引とは、いわゆる車両単位割引ですね。

国土交通省の資料より

2009年04月~ 契約者単位割引の追加

政府による「生活対策」(新たな経済対策に関する政府・与党会議、経済対策閣僚会議合同会議)等に基づき、土日祝日の上限料金を1000円とする割引などの高速道路の料金引下げの一環で、事業者向けの割引として阪神高速に契約者単位割引(5%)の導入」が2009年4月から実施されています。

重要な部分をピックアップすると、

 1.休日終日5割引、上限1,000円割引の導入(地方部)
 2.休日昼間3割引の導入(大都市近郊)
 3.日曜祝日割引の導入(首都高)
 4.休日割引の導入(阪神高)
 5.平日全時間帯3割引の導入
 6.コーポレートカード向け「契約者単位割引」の条件緩和(NEXCO)
 7.コーポレートカード向け「契約者単位割引」の導入(首都高)
 8.コーポレートカード向け「契約者単位割引」の導入(阪神高)

阪神高速に「契約者単位割引(5%)」が導入

となりました。

2009年3月に発表された国交省・道路会社連名の資料より

2010年04月~ オフピーク割引等を終了し均一料金へ

2005年10月から実施されていた「料金割引社会実験」が2010年3月末に終了となり、「均一料金の導入」 が2010年4月から実施されています。

重要な部分をピックアップすると、

 1.オフピーク割引終了
 2.ピーク3%割引終了
 3.料金圏(阪神西線、阪神東線、阪神南線)ごとに均一料金制へ

「均一料金制」の導入

となりました。

阪神高速の資料より

2012年1月~ 均一料金から距離別料金へ移行

阪神高速の資料より

距離別料金の導入」 は2012年1月から実施されています。

重要な部分をピックアップすると、

 1.「料金圏(阪神西線、阪神東線、阪神南線)」の撤廃
 2.「距離別料金制( ETC普通車500円~900円 )」の導入
 3.現金車900円均一
 4.クレジットカード向け「マイレージ割引」の終了
    ・「大阪・兵庫地区」のポイント付与は2012年3月末で終了
    ・「京都地区」のポイント付与は2019年3月末で終了
 5.コーポレートカード向け「車両単位割引」の拡充(最大12%→20%へ)
 6.コーポレートカード向け「契約単位割引」の拡充(最大5%→10%へ)

料金圏のある「均一料金」(普通車、阪神西線500円、阪神東線700円、阪神南線500円)から、料金圏のない「距離別料金」(500~900円)へ移行し、クレジットカード向け「マイレージ割引」が終了し、コーポレートカード向け大口・多頻度割引(車両単位割引、契約単位割引)が拡充

となりました。

2014年4月~ 全国に新たな料金体系の導入

2013年12月20日、国土交通省発表「新たな高速道路料金に関する基本方針」より

全国の新たな料金体系の導入」 は2014年4月から実施されています。

重要な部分をピックアップすると、

 1.「整備重視の料金」から「利用重視の料金」への転換
 2.「3つの料金水準」→普通区間大都市近郊区間海峡部等特別区間
 3.(NEXCO、本四)通勤割引の見直し→平日朝夕割引導入へ
 4.(NEXCO、本四)マイレージ割引の見直し→13.8%から9.1%へ
 5.(NEXCO、本四)休日割引30%継続
 6.(NEXCO、本四)深夜割引30%継続
 7.(NEXCO、本四)大口・多頻度割引の拡充(最大割引率40%)
 8.(アクアライン)終日800円継続
 9.(首都高速)2016年3月末まで現行料金を維持
 10.(阪神高速)2017年3月末まで現行料金を維持

となっています。

このうち、10にあるように阪神高速に関しては、

2017年3月末まで現行料金を維持、新しい料金体系は継続審議

ということになりました。

2017年6月~ 近畿圏の新たな料金体系の導入

近畿圏の新たな料金体系の導入」 は2017年6月から実施されています。

重要な部分をピックアップすると、

 1.車種区分を5車種区分に統一
 2.(阪神高速)対距離制を基本とした料金体系へ(当面は上限1300円
 3.(阪神高速)大口・多頻度割引の拡充(都心部を通行しない場合)
 4.(阪神高速)車種区分及び車種間比率を段階的に(激変緩和措置あり

となっています。それと重要なポイントとして

国土交通省の資料より

大口・多頻度割引は、平成44年3月末(2032年3月末)まで継続

となっています。つまり、15年間の期限が設けられており、執筆時点ではまだ先となりますが、約7年後までの限定措置となっています。

2022年4月~ 車種間比率の激変緩和措置の終了

車種間比率の激変緩和措置の終了」 は2022年4月から実施されています。

重要な部分をピックアップすると、

 1.車種間比率の激変緩和措置の終了(中型車、特大車)

となっています。

阪神高速のプレスリリースより

2024年6月~ 近畿圏の新たな料金体系の改定

近畿圏の新たな料金体系の改定」 は2024年6月から実施されています。

重要な部分をピックアップすると、

 1.上限料金の見直し(上限1950円へ値上げ)
 2.大口・多頻度割引の更なる拡充(最大45%)
 3.深夜割引の導入(0時-4時、20%引き)
 4.迂回割引の導入

となっています。

阪神高速の資料より

上記の資料を見る限り、阪神高の大口・多頻度割引の「拡充」が終了すれば、「車両単位割引」は、2005年10月に導入された「多頻度割引」時代の料率へ大きく引き下がることになります。また、2009年4月に導入された「契約者単位割引」は継続されるのでしょうか?

阪神高速のHPにも期限については明記されています。

阪神高速のHPより

やはりここでも2017年6月時点と同様ですが、

大口・多頻度割引は、2032年3月末まで継続・拡充

となっています。記事執筆時点では「あと約7年」ということです。


2032年4月以降に関しては、執筆時点では、国土交通省や阪神高速からまだ何も発表はありません。

2014年4月に実施された「全国の新たな料金体系の導入」では「3つの料金水準」の割引期間は10年間、2024年3月末までとなっており、道路会社から10年間延長が発表されたのが、2024年3月27日と期限ギリギリでした。

それをふまえると、阪神高速の大口・多頻度割引に関しても、2032年3月ギリギリまで発表されないかもしれません。注目したいと思います。

首都圏(主に首都高速)の高速道路料金・割引の大きな流れは以下の通りです。

最後まで読んで頂き、誠にありがとうございました。