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今回は、首都圏3環状道路の整備状況についてご紹介いたします。

国土交通省では、慢性的な交通渋滞、渋滞に伴う環境悪化や生活道路への通過交通流入による交通事故など、首都圏の道路交通問題解消の切り札として、首都圏3環状道路の整備を重点的に進めています

およそ40年前に、首都圏では、3環状9放射のネットワークが道路交通の骨格として計画され、東名、中央、関越、東北道など放射方向の高速道路は整備されましたが、環状方向の整備が遅れたという過去の経緯があります。

首都圏の3環状とは、内側から「中央環状(首都高)」、「外環」、「圏央道」を意味します。

中央環状(首都高)」は、2015年に全線47kmが整備され、「圏央道」も全線300kmが2025年には整備完了予定となっています。3環状の中で整備が遅れているのが真ん中に位置する「外環」です

現在、大泉JCT-東名JCT間の16kmの工事が進んでいますが、整備完了時期が見えていません。さらに東名から湾岸線(首都高)の区間については調査中であり、計画すらないという状態です。

2021年3月31日に、国土交通大臣は、この関越~東名間約16キロの整備について、事業期間を同日までから2031年3月31日に延長することを認可しました。2014年3月28日からの事業で、一時は2020年のオリンピックが開通時期の目標とされていましたが、大幅に後ろ倒しになった状況です。

国土交通省 関東地方整備局 より

大泉JCT-東名JCT間の工事は市街地の地下40mにトンネルを通すもので、両JCTからシールドマシン(計7機)で掘り進めており、特に中央道と接続する中央JCTは非常に難しい工事と言われています。また、目白通りIC青梅街道IC東八道路ICの3つの新しいICを作る予定となっています。

NEXCO東日本が運営する「東京外環プロジェクト」では、シールドマシンが今どこにいるかをHP上で表示しています。

進捗状況 – 東京外環プロジェクト

ただ、このシールドマシンは、現在すべて停止中となっています。

理由は、2020年10月に、トンネル工事ルート上にある東京都調布市の住宅街で陥没や空洞が発生したからです。2021年2月にNEXCO東日本の有識者委員会は、「陥没や空洞の発生に関し、シールドマシンの施工ミスと現場の特殊地盤が要因」とする調査結果を発表しています。

東京外かく環状道路(関越~東名)工事現場付近での地表面陥没事象について

東京外かく環状道路工事現場付近での陥没事象等に関する説明会資料より
東京外かく環状道路工事現場付近での陥没事象等に関する説明会資料より

この問題を受け、堀削工事を一部区間、2年間凍結し、地盤補修を優先することになりました。

2年間凍結するのは、東名側から北に掘り進めてきた「東名北工事」と呼ばれる2本のトンネル工事のうちのNEXCO東日本が担当する南行きトンネル( 世田谷区大蔵―武蔵野市吉祥寺南町の約9キロ )です。

国土交通省・関東地方整備局によると「工事の再開時期は見通せる状況にはない」また、 開通時期は「未定」とのこと。

首都圏の道路交通問題解消の切り札である首都圏3環状道路の整備ですが、「外環」に関しては全線開通はかなり先のことになりそうです。