国土交通省が2025年5月22日に開催した第1回の「高速道路機構・会社の業務点検フォローアップ検討会」にNEXCO東日本が報告した「直近10年間の業務点検セルフ・フォローアップ」について内容をご紹介したいと思います。
2025年5月22日に開催された第1回の「高速道路機構・会社の業務点検フォローアップ検討会」 については以下をご参照ください。
直近10年間の主な出来事

直近10年間の主な出来事の中でもより大きな出来事として以下の2つがあげられておりました。
- 金利のある時代へ
- 料金徴収期間が2115年まで延長へ
直近10年間の主な成果

今後の10年(100年持続、インフレ前提の運営)
金利と物価が上がることを前提に今後、100年持続して運営していくために以下の4点の提案がありました。
- 5年毎の協定変更で5年分の物価上昇見込みを反映
- 利払い軽減に依らずに安定的な維持管理修繕費の確保
- 時間帯別料金を東京湾アクアライン以外の路線への展開
- 料金システムの完全キャッシュレス化や次世代型のETCの検討
この4つの提案にいたる現状認識は以下の通りです。
・料金収入と管理費の推移

料金収入に比べて特に修繕費の増加傾向が大きくなっています。
修繕費の増加要因として大きく以下の2つがあげられていました。
- 事業量の増加
- 単価の上昇
・修繕事業の増加(経年劣化の増加)

右側のグラフの黄色が「発見した損傷」で水色が「修繕した損傷」となっており、赤色が「残存した損傷」です。
つまり補修を実施しても「残存した損傷」は増加しつづけている状況とのこと。
毎年8万件の損傷を発見し、6-7万件の修繕を行っているが、補修できていない残存した損傷が25万件も残っているとのこと。
・修繕事業の増加(安全安心・快適レベルの向上)

渋滞対策やワイヤーロープ設置、駐車マス拡充、橋脚の耐震補強などの「安心安全・快適レベルの向上」を目指した修繕を実施していることが修繕事業の増加につながっており、今後も増加する見込みとのこと。
・工事単価の上昇(労務費上昇、資材高)

直近4年で、労務費や建設資材費が増加したことによって、工事単価が上昇しているとのことで、舗装補修が+28%、橋梁補修が+25%の単価増となっているとのこと。
・金利上昇

過去の金利が低下またはほぼゼロの状態であったため、「利払い軽減」分を維持管理修繕費に追加で充てていたが、今後の金利上昇に伴い、この追加が減少もしくはなくなることを想定しなければならないとのこと。
そのため、国と高速道路機構に対して以下の2つの提案をしたいとのこと。
- 5年毎の協定変更で5年分の物価上昇見込みを反映
- 利払い軽減に依らずに安定的な維持管理修繕費の確保
・渋滞対策(時間帯別料金)

現在実施している東京湾アクアラインでの時間帯別料金を他路線へも展開することを提案したいとのことで、そのために以下の措置が必要とのこと。
- ピーク時間帯に現行の許可を受けた定価料金を超える料金設定
- 全国路線網の料金システムの大規模な改修
・料金システム

料金システムについても、タイの簡素化やシンガポールの高度化を参考に、簡素なシステム構成につながる完全キャッシュレス化や次世代型のETCについて検討することの提案がありました。
最後まで読んで頂き、誠にありがとうございました。