ETCカードをご利用の皆さま、こんにちは。

今回は、2024年1月16日に公表されたNEXCO3社の「高速道路の更新計画」についてご紹介したいと思います。

NEXCO3社は、2023年1月に公表された「高速道路の更新計画(概略)」について具体化を進め、2024年1月12日の高速道路資産の長期保全及び更新のあり方に関する技術検討委員会および2024年1月16日の国土幹線道路部会での審議を踏まえ、「高速道路の更新計画」を公表しました。

以下、内容についてご紹介したいと思います。

国土幹線道路部会の資料より

これまでの取り組み状況について

国土幹線道路部会の資料より

2015年度以降、「更新事業」をまずは地方部、それから都市部という流れで展開してきましたが、点検・調査技術の高度化や詳細調査の進歩により、これまで目視では発見できなかった構造物内部の変状を確認することが可能となり、新たな対応が求められている状況とのこと。

更新計画(概要)について

国土幹線道路部会の資料より

2014年度から開始した法定点検において、新技術も活用しつつ、より詳細な点検を行ったことにより、新たに更新が必要な箇所が512km判明し、抜本的な対策として10,004億円の新たな更新事業が必要となり、更新計画においては、この更新事業を15年間での完了を目指すとしています。

 ・既存の更新対象:1,360km(全体の14%)
 ・新たな更新対象:512km(全体の5%)

高速道路の現状と課題について

国土幹線道路部会の資料より

高速道路の共用後40年以上経過した割合が、今後大きく増加。

 【 現在 】2023年12月末時点:37%
 【10年後】2033年12月末時点:61%
 【20年後】2043年12月末時点:84%

それ以外にも高速道路が以下の状況により過酷な使用環境になっている。

 ・重量違反車両の増加
 ・短時間異常降雨など異常気象の増加

このような道路の老朽化と使用環境の悪化が大きな課題となっているとのこと。

このような状況に対して、

 ・点検・診断・措置・記録の維持管理サイクルを着実に実施
 ・点検・調査技術の高度化を踏まえた詳細調査の実施
 ・PC鋼材の腐食・破断リスクを踏まえ桁の架替や充填剤の再注入の実施
 ・強度が低下した舗装路盤部を高耐久化しライフサイクルコストを低減
 ・のり面安定化のためボックスカルバート化した上で押え盛土の実施

などの対策を計画しているとのこと。

「新たな更新計画」を進めていく中で取組む課題

国土幹線道路部会の資料より

「新たな更新計画」を進めていく中で取り組む課題として、大きく以下の4つがあげられていました。

 1.社会的影響や環境負荷低減への配慮
   ・社会的影響の最小化
   ・コスト縮減
   ・低炭素化

 2.新技術・新工法を活用した構造物の耐久性向上による維持管理コスト縮減
   ・ライフサイクルコストの縮減

 3.現地条件等を踏まえた設計・施行マニュアルの見直し
   ・知見の蓄積
   ・着実な事業推進

 4.維持管理サイクルの継続と更新事業の追加検討
   ・適切な維持管理サイクルの重視
   ・更新事業の追加検討


今回の更新計画については、2023年度内に国土交通省より事業許可を受けた後に着手の予定とのことでした。

2024年1月16日開催の国土幹線道路部会でも委員から指摘を受けていましたが、

〇年経ったから高速道路で更新が当然必要となるというのではなく、なぜ〇年でここまで老朽化したのか?当初の設計や見積りのどこに誤りがあったのか?なぜ予測できなかったのか?今後同様のことを繰り返さないためには何に注意すべきか?という検証と反省を踏まえた上で新たな更新についての説明が必要

だと個人的には思います。 過去の誰かを責めるためではなく、将来のために検証とそれを踏まえた計画にしてほしいと切に願います。

最後まで読んで頂き、誠にありがとうございました。