ETCカードをご利用のみなさま、こんにちは。
今回は、2026年6月12日に公表された「NEXCO東日本」の2026年3月期決算(連結決算)について読み解いていこうと思います。
高速道路利用の回復や物価上昇の影響などが注目される中、決算内容を見ると「料金収入は増加したものの、高速道路事業は営業赤字」という興味深い結果となっています。今回は決算のポイントを整理しながら、今後の高速道路事業について考えてみたいと思います。
料金収入は好調に推移

NEXCO東日本の高速道路事業の営業収益は1兆1,984億円となり、前年度から1,006億円増加しました。主な要因は料金収入の増加と道路資産完成高の増加です。
新型コロナウイルスの影響が完全に解消されたわけではありませんが、人流や物流は着実に回復しています。特に物流分野ではEC市場の拡大やトラック輸送需要の底堅さもあり、高速道路利用は高い水準を維持しています。
高速道路会社にとって料金収入は経営の根幹です。利用台数の増加は、高速道路ネットワークが依然として日本経済を支える重要なインフラであることを示していると言えるでしょう。
それでも営業赤字となる理由
一方で、高速道路事業の営業費用は1兆2,025億円となり、前年度から1,031億円増加しました。結果として、高速道路事業は40億円の営業損失となっています。前年度も15億円の営業損失であり、赤字幅は拡大しました。
その背景には、
- 高速道路機構への道路資産賃借料の増加
- 道路資産完成原価の増加
- 維持管理費用の増加
などがあります。
近年、高速道路の老朽化対策や大規模更新・修繕事業が全国的に進められています。また、逆走対策や暫定2車線区間の安全性向上、災害対策なども継続的に実施されています。
利用者から見ると目立たない支出ですが、高速道路の安全性や信頼性を維持するためには欠かせない投資です。
「黒字企業」というイメージだけでは見えない実態
一般的にNEXCO各社は「高速道路料金を徴収する大企業」という印象を持たれがちです。
しかし実際には、料金収入が増えても、その多くが維持管理や更新投資、道路資産に関する費用へと充てられています。今回の決算でも、収益増加以上に費用増加が大きく、営業赤字となりました。
特に高度経済成長期に整備された高速道路が更新時期を迎えていることを考えると、今後も維持管理コストは高止まりする可能性があります。
SA・PA事業は引き続き堅調
サービスエリア(SA)・パーキングエリア(PA)事業は堅調に推移しました。
営業収益は358億円と前年度比で5億円増加しました。店舗売上の増加が主な要因です。一方で営業費用も増加していますが、高速道路利用の回復に伴い、休憩施設の利用も順調に推移していることがうかがえます。
近年のSA・PAは単なる休憩施設ではなく、観光拠点や地域振興の場としての役割も強めています。今後も地域との連携や付加価値向上が重要なテーマとなりそうです。
今後の注目点
今回の決算から見えてくるのは、「利用者数の回復」と「維持管理コスト増加」の綱引きです。
高速道路の老朽化対策や災害対策は今後さらに重要性を増します。一方で、人口減少社会の中で持続可能な料金制度や投資のあり方も議論されることになるでしょう。
現在、国土交通省では将来の高速道路料金制度の見直しに関する議論も進められています。今後の料金政策や更新投資の方向性は、物流事業者や高速道路利用者にとっても大きな関心事となりそうです。
まとめ
NEXCO東日本の令和7年度決算は、料金収入の増加という明るい材料がある一方で、維持管理や更新投資の負担増により高速道路事業が営業赤字となる結果でした。
高速道路は「造る時代」から「維持・更新する時代」へ完全に移行しています。
今後は料金収入の確保だけでなく、安全性向上や老朽化対策をどのように進めるかが、NEXCO各社にとって最大の経営課題になっていくのではないでしょうか。
最後まで読んで頂き、誠にありがとうございました。

