ETCカードをご利用のみなさま、こんにちは。

今回は、2024年5月29日に実施された「令和6年度 福岡北九州高速道路公社運営会議」にて福岡北九州高速の「令和5年度決算」と「令和6年度予算」が公開されていましたので、ご紹介したいと思います。

福岡北九州高速道路公社運営会議」 は、公社の運営に関する重要事項を協議し、公社の事業の適正かつ能率的な推進を図るために実施され、出席者は、福岡北九州高速のステークホルダーである福岡県知事、北九州市長、福岡市長、九州地方整備局長、福岡財務支局長、NEXCO西日本九州支社長、福岡商工会議所会頭、北九州商工会議所会頭、福岡銀行協会会長、福岡北九州高速理事長が委員となって開催されています。

令和5年度決算

令和6年度 福岡北九州高速道路公社運営会議資料より

福岡高速

令和5年度の償還準備金繰入は260億円で、年度末の償還準備金の累計は、5,230億円。償還率は57.7%で前年度比+2.7ポイント

交通量は前年度比+2.8%、収入は+2.9%となり、新型コロナウイルス感染症拡大前の水準に回復

令和6年度 福岡北九州高速道路公社運営会議資料より

北九州高速

令和5年度の償還準備金繰入は91億円で、年度末の償還準備金の累計は、1,359億円。償還率は36.3%で前年度比+2.2ポイント

交通量は前年度比+0.7%、収入は+0.7%となっていますが、新型コロナウイルス感染症拡大前の水準と比べると交通量は-5.0%、収入は-3.8%とまだ回復には至っていません。

令和6年度 福岡北九州高速道路公社運営会議資料より

令和6年度予算

令和6年度 福岡北九州高速道路公社運営会議資料より

福岡高速

令和3年度から事業着手している福岡高速3号線(空港線)延伸事業を引き続き実施するとのこと。

営業中の59.3kmの道路について老朽化・予防保全対策、大規模修繕などを実施し、適正な維持管理に努めていくとのこと。

令和6年度 福岡北九州高速道路公社運営会議資料より

北九州高速

令和5年度から事業着手している北九州高速5号線延伸(戸畑枝光線)事業及び耐震補強事業を引き続き実施するとのこと。

営業中の49.5kmの道路について老朽化・予防保全対策、大規模修繕などを実施し、適正な維持管理に努めていくとのこと。

令和6年度 福岡北九州高速道路公社運営会議資料より

福岡北九州高速は、現状の道路の保守だけでなく、福岡高速3号線(空港線)延伸や北九州高速5号線延伸(戸畑枝光線)などの多くの新設事業を抱えながら、建設費償還の着実な推進が求められています。

2024年7月29日に、決算を反映した2023年度の財務の概要が更新されていましたので、ご紹介したいと思います。

2023年度 財務の概要

福岡北九州高速道路公社の「会計処理」の特徴についてまとめられています。

「有料道路制度」を利用しており、借入金により道路を建設し、料金収入により定められた期間内に償還し、償還完了後は無料開放する制度となっております。

ちなみに公社は、公共法人なので法人税はかからず、利益の全てを借入金の償還に充当しています。

福岡北九州高速道路公社 – 「令和5年度 財務の概要」より

「償還準備金積立方式」を採用しているため、毎年の利益を「償還準備金繰入」として費用計上し、その累計額を「償還準備金」として負債に計上する方式となっており、「道路資産」と「償還準備金」を比較することで償還状況がわかるという仕組みになっています。

福岡北九州高速道路公社 – 「令和5年度 財務の概要」より

令和5年度のPL(損益計算書)は以下の通りです。

福岡北九州高速道路公社 – 「令和5年度 財務の概要」より

以下は「収支率」です。100円の収入を得るのにどのくらいの費用が必要であったかを示すものとなっています。福岡高速より北九州高速の方が少し収支率が高い傾向にあります。

福岡北九州高速道路公社 – 「令和5年度 財務の概要」より

令和5年度のBS(貸借対照表)は以下の通りです。

福岡北九州高速道路公社 – 「令和5年度 財務の概要」より

「償還準備金」の積立状況は、令和5年度終了時には、福岡高速が57.7%、北九州高速が36.3%となっています。

福岡北九州高速道路公社 – 「令和5年度 財務の概要」より

「長期借入金」の出資金以外は、大半が福岡北九州高速道路公社が発行している債券となっています。

福岡北九州高速道路公社 – 「令和5年度 財務の概要」より

償還計画と実績の対比を見ると、現在償還率が51.4%で、若干ですが計画以上に償還が進んでいることがわかります。

PLとBSを見るとわかりますが、毎年「損失補てん引当金」が費用計上されており、これは償還計画満了時に借入金が残った場合に備えて、一部積立をしているもので、決算では費用化していますが、実質は内部留保金と同等であり、令和5年度決算のBSでは累計で約359億円積み立てられていることがわかります。

よって償還準備金6,589億円に359億円を足すと、実質の償還率が51.4%→54.2%とより高めになり順調に償還が進んでいることが見て取れます。

福岡北九州高速道路公社 – 「令和5年度 財務の概要」より

最後まで読んで頂き、誠にありがとうございました。