ETCカードをご利用のみなさま、こんにちは。

今回は、政府が2026年7月21日に閣議決定した「骨太の方針2026」において、高速道路や道路政策に関する内容がどのように記載されたのか、ご紹介したいと思います。

骨太の方針」の正式名称は、「経済財政運営と改革の基本方針」です。

首相官邸のHPより

政府の経済財政政策や、翌年度以降の予算編成における重要な方向性を示す文書として、原則として毎年策定されています。

2024年に閣議決定された「骨太の方針2024」では、高速道路料金について、

2025年度より段階的に混雑に応じた柔軟な料金体系へ転換していく

という具体的な方針が記載されました。

そのため、今回の「骨太の方針2026」においても、高速道路料金やETC割引制度に関する新たな方針が盛り込まれるのか注目していました。

高速道路料金やETC割引に関する具体的な記載はなし

「骨太の方針2026」の内容を確認したところ、

  • 高速道路料金
  • 混雑に応じた料金
  • 柔軟な料金体系
  • 深夜割引
  • 休日割引
  • 平日朝夕割引
  • 通勤パス
  • 大口・多頻度割引

など、高速道路料金やETC割引制度に直接関係する具体的な記載は確認できませんでした。

2024年の骨太の方針では、高速道路料金制度の方向性が比較的明確に示されていましたが、今回は料金制度そのものには踏み込まず、道路ネットワークの整備や物流の効率化、インフラの維持管理を中心とした内容となっています。

「高規格道路」の早期整備・活用を推進

高速道路に最も関係が深い記載は、「持続可能で活力ある国土の形成と『交通空白』の解消」という項目です。

そこでは、次のように記載されています。

成長投資を支える基盤として、高規格道路、整備新幹線、リニア中央新幹線、都市鉄道、港湾、空港等の物流・人流ネットワークの早期整備・活用、モーダルコネクトの強化、航空・海運ネットワークの維持・活性化を推進し、担い手の確保・育成に取り組む

「高規格道路」とは、高速自動車国道や自動車専用道路など、高速で安定した移動を可能にする幹線道路ネットワークを指します。

今回の骨太の方針では、高規格道路を単に新しく整備するだけでなく、既存ネットワークの「活用」も進める方針が示されています。

「自動物流道路」の推進も明記

物流に関しては、

陸・海・空の新モーダルシフト、中継輸送、自動物流道路の推進等の物流効率化、脱炭素化等を加速化する

と記載されています。

「自動物流道路」は、高速道路の中央分離帯や地下空間などを活用し、荷物を自動で輸送する専用空間を整備する構想です。

トラックドライバー不足や物流の「2024年問題」への対応策として検討されており、将来的には東京―大阪間などを結ぶ大規模な物流ネットワークとなることが想定されています。

今回の骨太の方針では、自動物流道路が、中継輸送やモーダルシフトと並ぶ物流効率化策として位置付けられています。

ただし、具体的な整備区間、開通時期、事業費、運営主体などが、今回の骨太の方針で新たに示されたわけではありません。

今後は、国土交通省の検討会や「総合物流施策大綱」に基づく個別施策の進展を確認する必要があります。

道路を含むインフラ管理を「予防保全型」へ転換

道路の維持管理に関しては、

総合的なインフラマネジメントを推進する。メンテナンスは予防保全型へと転換し、見える化を進める

と記載されています。

さらに、

老朽化対策とまちづくりを連携させ、優先度を踏まえた対策や集約・再編を推進する

という方針も示されました。

「予防保全型」とは、道路や橋梁、トンネルなどに重大な損傷が発生してから補修するのではなく、定期的な点検や計画的な修繕によって、大規模な損傷を未然に防ぐ考え方です。

高速道路では、橋梁やトンネルなどの老朽化が進んでおり、高速道路各社による大規模更新・大規模修繕事業が続いています。

今回の骨太の方針でも、新規道路の整備だけでなく、既存インフラを長期間安全に使用するための維持管理が重視されています。

自動運転社会の早期実現も盛り込まれる

道路交通に関係する施策としては、

地域交通DX、規制改革等を通じて、自動運転社会の早期実現と移動の足不足の解消に取り組む

との記載もあります。

今回の記載は、主に地域における「交通空白」の解消を念頭に置いたものと考えられます。

過疎地域などで、バスやタクシーの運転手不足が深刻になる中、自動運転サービスを地域交通の担い手として実用化する方針です。

ただし、高速道路における自動運転トラックや路車協調システムについて、具体的な導入時期や対象路線が示されているわけではありません。

2024年の骨太の方針との違い

2024年の骨太の方針では、高速道路料金について、

  • 2025年度から段階的に柔軟な料金体系へ転換する
  • 混雑状況に応じて料金を変動させる
  • 現在のスキームの下で最大半額となる料金体系を検討する

という、利用者の負担やETC割引制度に直接関係する方針が盛り込まれていました。

これに対して、今回の「骨太の方針2026」は、

  • 高規格道路の早期整備・活用
  • 物流・人流ネットワークの強化
  • 自動物流道路の推進
  • インフラメンテナンスの予防保全型への転換
  • 自動運転社会の早期実現

という、中長期的な道路・物流インフラ政策が中心となっています。

したがって、ETCカードをご利用のみなさまに直接影響する新たな高速道路料金や割引制度が、今回の骨太の方針で決定されたわけではありません。

今後は国土幹線道路部会などの議論に注目

高速道路料金制度については、骨太の方針とは別に、国土交通省の「国土幹線道路部会」などで具体的な検討が進められています。

現在、特に注目されるのは、

  • 深夜割引の見直し
  • 平日朝夕割引から通勤パスへの移行
  • 休日割引の適用方法
  • 混雑に応じた柔軟な料金体系
  • 首都高速道路などの大口・多頻度割引
  • 高速道路の更新・修繕費用と料金制度
  • ETC専用化と新しい料金収受システム

などです。

今回の骨太の方針では、これらの料金制度について新たな具体策は示されませんでした。

今後、国土幹線道路部会や高速道路各社などから具体的な制度案が公表されましたら、改めてご紹介したいと思います。

ちなみに「骨太の方針」とは、

政権の重要課題や翌年度予算編成の方向性を示す方針。正式名称は「経済財政運営と改革の基本方針」です。各省庁の利害を超えて官邸主導で改革を進めるため、首相が議長を務める経済財政諮問会議で毎年6月ごろに策定します。小泉政権時の2001年度に始まりました。「骨太」には、予算編成などの細部には立ち入らないものの、世論の一時的な批判には揺るがない国政のしっかりした改革方向を示すとの意が込められています。

最後まで読んで頂き、誠にありがとうございました。

参照元(一次情報)