ETCカードをご利用のみなさま、こんにちは。

2026年8月7日、独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構(高速道路機構)は、国土交通大臣から令和7事業年度(2025年度)決算の承認を受けたことを公表しました。

あわせて、高速道路各社の管理業務費、債務返済状況、収支状況など、高速道路事業に関するさまざまな情報が開示されています。

今回はその中から、**本州四国連絡高速道路株式会社(本四高速)**について、

  • 管理業務にはどのくらいの費用がかかっているのか
  • 不要資産の処分はどこまで進んでいるのか
  • 子会社にはどのような会社があり、どの程度の取引があるのか

という点を中心に整理してみます。

本四高速の2025年度「管理業務の実績」は合計204.7億円

まず、本四高速が公表している2025年度の「管理業務の実績」を見てみます。

2025年度の計画額は194億9,000万円でしたが、実績は204億7,000万円となりました。

計画を9億8,000万円、約5.0%上回ったことになります。

内訳は次のとおりです。

分類計画実績
維持修繕費74.55億円80.24億円
管理業務費46.27億円50.84億円
一般管理費等53.75億円57.89億円
減価償却費20.33億円15.72億円
合計194.90億円204.70億円

維持修繕費、管理業務費、一般管理費はいずれも計画を上回った一方、減価償却費は計画を下回っています。

高速道路機構の資料では、本四高速の維持修繕費が計画を上回った主な理由として「点検結果等に基づく補修費の増」、管理業務費については「緊急対応に備えた巡回体制強化による管理委託費の増」が挙げられています。

維持修繕費80.24億円の内訳は?

維持修繕費の実績は80億2,400万円でした。

主な項目を見ると、

  • 清掃作業:5.76億円
  • 植栽作業:7.18億円
  • 雪氷対策作業:0.50億円
  • 保全点検:16.33億円
  • 光熱水費:5.39億円
  • 事故等復旧作業:1.44億円
  • 調査等経費:5.74億円
  • 舗装補修:6.18億円
  • 土木構造物等の補修・取替:23.37億円
  • 施設設備等の補修・取替:8.35億円

となっています。

この中では、橋梁本体や付属物などを対象とする土木構造物等の補修・取替が23.37億円と最も大きく、次いで保全点検が16.33億円となっています。

本四高速には長大橋が多いため、一般的な高速道路とは維持管理の内容にも特徴があります。

資料では、長大橋について日常点検や5年に1回の詳細点検を行い、点検結果に基づいて予防保全を実施するとしています。

料金収受関係では26.63億円、クレジット手数料は8.95億円

次に「管理業務費」の内訳を見てみます。

管理業務費の実績は50億8,400万円です。

内訳は、

  • 料金収受委託等:26.63億円
  • 交通管理委託等:9.57億円
  • クレジット手数料:8.95億円
  • その他:5.69億円

となっています。

料金収受委託等には、料金収受業務や料金収受機械の保守点検などが含まれています。

また、クレジットカード会社への手数料だけで年間8億9,500万円が計上されています。

ETC利用が一般化した現在でも、料金収受に関係する業務や決済コストが、高速道路の管理費の中で一定の割合を占めていることが分かります。

高速道路機構の「本四高速所管分」は経常収益504億円

高速道路機構では、全国路線網について、NEXCO3社と本四高速の各会社所管分に分けた試算値も公表しています。

2025年度の本四高速所管分は、

  • 経常収益:504億円
  • 経常費用:480億円
  • 経常損益:23億円
  • 当期利益:23億円

と試算されています。

また貸借対照表ベースでは、

  • 総資産:2兆721億円
  • 総負債:8,810億円
  • 純資産:9,853億円

となっています。

なお、これは高速道路機構の全国路線網に関するセグメント情報を会社所管分ごとに分けた試算値であり、本四高速そのものの会社決算とは異なります。

不要資産の処分は98.9%まで進捗

民営化後、高速道路会社では、本来の事業に必要のない宿舎、未利用地、保養施設などの資産処分も進められてきました。

本四高速の資料によると、民営化前からの対象を含めた処分対象は合計で89箇所

その後、新たに3箇所が処分対象として追加されています。

2026年6月30日現在では、

  • 処分対象:合計69箇所
  • 処分済み:68箇所
  • 残り:1箇所

となっています。

箇所数ベースの進捗率は、

  • 民営化後の対象資産:98.6%
  • 民営化前を含めた全体:98.9%

です。

残っているのは未利用地1箇所で、2025年度末の簿価は1,100万円となっています。

宿舎については63戸すべて、分室についても対象1箇所の処分が完了しています。

民営化から20年以上が経過し、不要資産の整理はほぼ終了段階に入っていることが分かります。

本四高速には3つの100%子会社

本四高速には、2026年7月1日現在、次の3つの子会社があります。

JBハイウェイサービス株式会社

主な業務は、

  • 交通管理
  • 料金収受管理
  • 休憩所等事業

です。

売上高は34億7,900万円で、そのうち本四高速との取引額は14億4,300万円

売上高に占める本四高速との取引割合は**41.5%**となっています。

本四高速道路ブリッジエンジ株式会社

主な業務は、

  • 点検管理
  • 長大橋維持修繕
  • 道路修繕

です。

売上高は3社の中で最大となる121億4,300万円

本四高速との取引額は67億900万円で、取引比率は**55.2%**となっています。

JBトールシステム株式会社

主な業務は、

  • 料金収受機械等の保守整備
  • 計数管理
  • 情報処理関連

です。

売上高は16億3,400万円で、本四高速との取引額は12億9,000万円

売上高に占める本四高速との取引割合は**78.9%**と、3社の中で最も高くなっています。

子会社3社の売上高は合計172.56億円

3社を合計すると、

  • 資本金:1億3,000万円
  • 売上高:172億5,600万円
  • 本四高速との取引額:94億4,200万円
  • 本四高速との取引比率:54.7%
  • 経常利益:5億5,700万円
  • 当期純利益:4億200万円
  • 資産合計:117億200万円
  • 負債合計:43億1,400万円
  • 純資産:73億8,700万円

となっています。

つまり、3社全体では売上高の半分強が本四高速との取引によるものです。

一方、会社によって依存度にはかなり差があり、JBハイウェイサービスは41.5%、JBトールシステムは78.9%となっています。

子会社役員25人中24人が「道路会社出身」

子会社の役員構成も公表されています。

3社合計では、

  • 役員数:25人
  • うち道路会社出身者:24人
  • 比率:96.0%

となっています。

取締役に限ると、

  • 取締役数:19人
  • うち道路会社出身者:18人
  • 比率:94.7%

です。

また、3社の資本金はすべて本四高速が100%出資しています。

高速道路の料金収受、交通管理、長大橋の点検・修繕、料金収受機械の保守など、本四高速の運営に密接に関係する業務を子会社が担っている構造が数字からも確認できます。

まとめ

今回は、高速道路機構の2025年度決算関連資料などから、本四高速の管理業務や子会社の状況を確認しました。

主な数字をまとめると、

  • 管理業務等の実績合計:204.70億円
  • うち維持修繕費:80.24億円
  • 料金収受委託等:26.63億円
  • クレジット手数料:8.95億円
  • 不要資産処分の全体進捗率:98.9%
  • 残る不要資産:未利用地1箇所
  • 子会社:3社
  • 子会社売上高合計:172.56億円
  • 本四高速との取引額:94.42億円
  • 取引比率:54.7%

となっています。

高速道路の料金収入や新規建設事業は注目されやすい一方、実際に高速道路を運営するためには、毎年、点検・修繕、料金収受、交通管理などにも大きな費用がかかっています。

特に本四高速の場合は、長大橋を多数抱えるという路線の特徴から、橋梁をはじめとした構造物の点検・補修も重要な業務となっています。

また、料金収受、交通管理、長大橋の維持修繕、料金機械・情報処理などの多くを3つの子会社が担っており、本四高速本体だけではなく、グループ全体で高速道路を維持・運営している構造も見えてきます。

高速道路料金を考える際には、「いくら徴収しているか」だけでなく、その道路を安全に維持し、料金収受や交通管理を続けるためにどの程度の費用が必要なのかという視点も重要だと思います。

最後まで読んで頂き、誠にありがとうございました。

参照元(一次情報)