ETCカードをご利用のみなさま、こんにちは。

今回は、福岡県にお住まいの方はご存じでしょうが、福岡県外にお住まいの方は意外と知らない「福岡都市高速(福岡高速)」についてご紹介したいと思います。

地元では、「都市高速(都市高)」とも呼ばれており、「福岡北九州高速道路公社」が建設・管理をしている道路です。

福岡北九州高速道路公社のロゴ

福岡北九州高速道路公社のロゴは、ブルーは環状の福岡都市高速を、グリーンは環状化を目指している北九州都市高速を表現し、二つの輪の交わりが、都市高速の頭文字の「T」をTOWNそしてTRANSPORTの頭文字の「T」を表しているとのこと。

福岡北九州高速道路公社のIR資料より

福岡北九州高速道路公社は、1971年に福岡県、福岡市、北九州市により設立された特別法人です。

福岡北九州高速道路公社のIR資料より

福岡都市高速と北九州都市高速は直接は繋がっていませんが、それぞれ、九州自動車道(九州道)と接続しています。

福岡北九州高速道路公社のIR資料より

福岡都市高速は、首都高速、阪神高速、名古屋高速、広島高速と同じ「都市高速道路」という有料道路の種類になっています

福岡北九州高速道路公社のIR資料より

令和2年は、コロナの影響で通行台数、料金収入ともに減少していますが、一時的であり、現状では着実に回復しているとのこと、また供用距離が延びていることもあり、今後は安定的に推移すると見込まれています

福岡北九州高速道路公社のIR資料より

福岡都市高速の経路図は、以下のようになっています。
九州自動車道、西九州自動車道と接続する環状・放射状道路網となっています。

福岡都市高速の経路図(福岡北九州都市高速道路公社HPより)

1980年、オレンジ色の「香椎線」から建設され、天神や博多駅近くにつながる赤色の「環状線」、空港へとつながる茶色の「空港線」が建設、1999年に大宰府ICと繋がる青色の「大宰府線」、2002年に福岡ICと繋がる緑色の「粕屋線」の供用が開始されました。

その後、2012年に福重JCT完成に伴い、赤色の「環状線」が全通し、完全な環状道路となりました。この時に元々、1号線、2号線、3号線と呼ばれていた路線に通称として、香椎線、環状線、空港線などの名称が付けられました。

直近では、2021年にアイランドシティ線が開通し、現在は1号線~6号線までの6路線となっています。

現在は、空港線(3号線)を福岡空港国内線ターミナルへ延伸する計画が進行中で、当初は、2025年開通予定でしたが、2029年前後に遅れる見込みとなっています。詳細は以下のサイトをご確認下さい。

福岡高速3号線 延伸事業 事業概要 – 福岡北九州高速道路公社

福岡北九州高速道路公社のIR資料より

福岡都市高速の料金は、普通車630円となっていますが、ETC割引があり、ETCマイレージサービス、ETCコーポレートカード割引とは別の独自割引として、以下の4つが設定されています。

 1.日祝日割引(普通車630円→560円)
 2.土曜割引(普通車630円→590円)
 3.夜間早朝割引(普通車630円→560円)←22時~7時
 4.特定区間割引(貝塚、松島、多の津、粕屋、福岡IC)

福岡都市高速は、償還が完了した後は福岡市の市道として無料開放される予定ですが、現在の償還終了日は、2045年8月20日となっています。

福岡北九州高速道路公社のIR資料より

ただし、上記資料では、北九州高速道路の償還終了日が2043年7月となっていますが、北九州高速道路の大規模修繕等の実施に伴い、償還終了日を2053年7月まで10年延長することが2022年3月に発表されました

償還終了日の延長理由は、高速道路をつくってから時間が経過し、橋梁やトンネルなども含め想定よりも劣化が激しく、耐久性が低下している箇所が散見されるようになったからとのこと。

福岡北九州高速道路公社のIR資料より

福岡高速の場合、供用から30年以上経過している路線が約3割に対して、北九州高速の場合は、9割が供用から30年以上経過した路線になっていることが償還期限の延長に影響しているのかもしれません。

福岡北九州高速道路公社のIR資料より

また、福岡高速の場合、平成24年から老朽化・予防保全事業を実施していることにより大規模修繕にまで至っていないということもありえそうです。

次は、財務状況ですが、福岡北九州高速道路公社は、「償還準備金積立方式」を採用しており、以下の特徴があります。

  1.借入金により道路を建設
  2.毎年度の収支差(収入と費用の差)は全て借入金の償還に充当
  3.償還完了後は無料開放

企業会計では、一般的に減価償却費を計上する方式が採用されていますが、福岡北九州高速道路公社ではその方式を採用しておりません。

以下の会計処理を行っています

  1.毎年度の収支差は、「償還準備金繰入」として費用計上
  2.毎年度の収支差の累計額を「償還準備金」として負債計上

福岡北九州高速道路公社のIR資料より

一般的な企業会計では、毎年度、法人税支払い後の「当期純利益」から配当などを差し引いた「繰越利益剰余金」を貸借対照表の「利益剰余金」へ計上するのですが、 「償還準備金積立方式」 では、法人税や配当を支払う前の「税引前当期純利益」に当たる「償還準備金繰入」を「利益剰余金」に相当する「償還準備金」としています。

なぜこのような企業会計では一般的でない「償還準備金積立方式」が福岡北九州高速道路公社では採用可能なのでしょうか?

理由は以下の通りです。

  1.利益を配当する義務がない
  2.公共法人であるため法人税が課されない

上記の会計処理により、貸借対照表において、以下のAとBを比較することにより償還状況を明確に把握することが可能となっています。

  A.道路資産を形成するのに要した費用を積み上げた「道路資産
  B.借入金の返済に充てる「償還準備金

以下が、令和2年度の貸借対照表です。

福岡北九州高速道路公社のIR資料より

令和2年度を例にとると、

  ・「償還準備金繰入」は、294億円(福岡216億、北九州78億)
  ・「償還準備金」は、5,186億円→5,480億円(+294億円)
  ・「道路資産」は、1兆2,797億円(福岡9,036億、北九州3,761億)

となっています。

福岡北九州高速道路公社のIR資料より

収入の57.3%を償還準備金としていることがわかります。

福岡北九州高速道路公社のIR資料より

将来の採算リスクに備えるために毎年度、料金収入の5%を「道路事業損失補てん引当金」としていますが、令和2年度時点で、貸借対照表に400億円計上されています。これは「償還準備金」の一部といってもいいかもしれませんね。

償還準備金繰入」ならびに「償還率」の推移は、以下の通りです。

福岡北九州高速道路公社のIR資料より

直近10年ほどでは、毎年約300億円ほどが「償還準備金繰入」とされており、現時点の「未償還額」が7,248億円なので、単純計算では約24年で償却が完了する見込みとなっており、計算上では、償還終了日の2045年7月にほぼピタリという感じです。

キャッシュフロー計算書でも営業キャッシュフローが毎年300億円前後で安定的に推移していますが、福岡高速3号線の延伸でどれくらいの投資キャッシュフローになるのか気になるところですね。

今後の償還リスクとしては、北九州高速のような大規模修繕で多額の費用が必要になるかどうかというところだと思います。

福岡北九州高速道路公社のIR資料より

償還率をみると、福岡高速が50%に対して、北九州高速が26%と大きな差となっており、北九州高速の償還終了日が延長されたのもうなづける内容となっています。

福岡北九州高速道路公社のIR資料より

収支状況でみても、収支率(経費率)が、福岡高速が40%に対して、北九州高速が48%と高くなっており、北九州高速の償還率が低いのはこれが原因ですね。

福岡北九州高速道路公社のIR資料より

償還計画図では、償還完了時に「損失補てん引当金積立額」が1,000億円以上残るようですが、これは、出資者である福岡県、福岡市、北九州へ分配される感じでしょうかね。

福岡北九州高速道路公社のIR資料より

今回は、「福岡都市高速(福岡高速)」についてご紹介しました。最後まで見ていただき、誠にありがとうございました。