ETCカードをご利用のみなさま、こんにちは。

今回は、国土交通省が運送事業者による遠隔点呼や自動点呼など、運行管理業務の高度化に向けた検討を行っていることについてご紹介したいと思います。

運送事業者は、輸送の安全確保のため、営業所毎に運行管理者を配置し、運転者に対する乗務前後の点呼や運行中に必要な指示等の運行管理を「原則対面で」行っています。

しかしながら、人手不足解消や労働環境の改善のために、運行管理に情報通信技術の活用が注目されています。

2023年4月以降、「遠隔点呼告示」と呼ばれる「対面による点呼と同等の効果を有するものとして国土交通大臣が定める方法を定める告示」(令和5年国土交通省告示第266号)の要件を満たしたうえで営業所を管轄する運輸支局へ届出を行うことにより、同一事業者間(完全子会社含む)であれば一の営業所から他の営業所の運転者に対して遠隔点呼を行うことが可能となっておりますが、

そこをさらに、

同一事業者間のみならず事業者を跨ぎ(100%の資本関係にないもしくは資本関係のない事業者間)遠隔点呼を行うこと

が可能となるように2025年4月末に告示改正が実施されました。

また、「業務後点呼における点呼自動化」が可能でしたが、

「業務前点呼における点呼自動化」を行うこと

が可能となるように2025年4月末に告示改正が実施されました。

国土交通省は、資本関係にない事業者間における遠隔点呼や業務前自動点呼の実証実験、運行管理業務の一元化の制度化に向けた要件のとりまとめを行うために「有識者会議」を設置しています。

それが、「運行管理高度化ワーキンググループ」です。

2025年6月27日に「令和7年度 第1回 運行管理高度化ワーキンググループ」が開催されました。

前回は、2025年3月3日に「令和6年度 第3回 運行管理高度化ワーキンググループ」が開催されており、今回は、約4か月ぶりの開催となります。

この有識者会議では、運行管理高度化の内容や検討スケジュールなどについて議論を行っています。以下、検討内容の概要です。

令和7年度第1回「運行管理高度化ワーキンググループ」 資料より

検討内容としては大きく以下の3つとなっています。

  • 遠隔点呼
  • 自動点呼
  • 運行管理業務の一元化

運行管理高度化に係る本格運用(制度化)の状況は以下の通りです。

令和7年度第1回「運行管理高度化ワーキンググループ」 資料より

2025年度から2026年度にかけてのスケジュール案は以下の通りです。

令和7年度第1回「運行管理高度化ワーキンググループ」 資料より

他営業所運行管理者等による対面点呼について

令和7年度第1回「運行管理高度化ワーキンググループ」 資料より

遠隔点呼を運用している事業者より、遠隔点呼実施営業所間で、他の営業所で業務を開始又は終了する場合等、対面点呼が実施できる状況においては、その実施を認める点についてニーズが生じ始めているところ、遠隔点呼と併用して、遠隔点呼を実施している範囲内(営業所間、事業者間)における対面点呼を可能とするための措置が検討されました。

令和7年度第1回「運行管理高度化ワーキンググループ」 資料より

運行管理業務の一元化の運行管理者選任数に係る実証実験について

令和7年度第1回「運行管理高度化ワーキンググループ」 資料より

運行管理業務を一元化し、効率化することで、運行管理者の業務負担逓減を狙っているが、現制度では全体の運行管理者の選任数が増えるという問題がある。

それに対して、運行管理者選任数を緩和できるよう検討が進められた。限られた人的リソースの効率的な活用による運行管理者の負担軽減を図るため「選任時の柔軟性」「運用時の柔軟性」を考慮して「特例」を検討するとのこと。

現時点では、実運用上の課題や運行管理者の勤務シフト等に支障が生じないことを確認するため、一定期間の実証事件を行い、結果を踏まえた検討、法令整備、制度化という流れがイメージされています。

令和7年度第1回「運行管理高度化ワーキンググループ」 資料より

次世代運行管理システムに係る標準化の方向性について

令和7年度第1回「運行管理高度化ワーキンググループ」 資料より

通信型デジタコは運行中においても運行管理を行うことが可能であるが、普及させるためにはコスト低減に資する対策を講じる必要がある。

通信型デジタコについて、一定頻度や特定イベント発生時での外部のクラウドへのデータ送信を求める一方で、運行記録をクラウドに確実に保存することを前提に、耐久性の一部の基準を緩和することで、コストの低減が見込まれるところ、これらの要件を満たしたものを「次世代運行管理システム」として標準化する方向で実証をしながら検討をしていくとのこと。

次世代運行管理システムに係る実証事業を一定期間行った上で、当該結果を元に令和8年度後期以降を目安に本格運用に向けた制度化の検討を実施するスケジュールが出されていました。

令和7年度第1回「運行管理高度化ワーキンググループ」 資料より

国土交通省は、運行管理業務における「自動点呼」「遠隔点呼」「運行管理業務の一元化」の3つについてICTの活用により高度化を目指す方針とのことで、

「自動点呼」「遠隔点呼」に関する運行管理業務のDX化を2025年4月から本格運用、「運行管理業務の一元化」については将来的な本格運用を目指すようです。

令和7年度も引き続き、WGを開催し、他検討会やWGとも連携しながら議論を進めていく予定とのこと。

最後まで読んで頂き、誠にありがとうございました。