ETCカードをご利用のみなさま、こんにちは。

今回は、2023年10月06日に、高速道路の最高速度に関する検討を行う有識者会議である「第2回高速道路における車種別の最高速度の在り方に関する有識者検討会」が開催されましたので、内容をご紹介したいと思います。

この有識者検討会は、高速道路での大型トラックの速度制限引き上げに向け、警察庁が2023年7月26日にを立ち上げたもので、同日の第1回の有識者検討会では「道路交通の安全確保の観点」が引き上げの大前提であることが確認されておりました。

今回は、以下の流れで検討が進められました。

 1.第1回検討会の振り返り
 2.第1回検討会以降の調査結果
 3.第3回検討会における検討・確認事項等

事務局から説明があった後に討議が行われました。

第1回検討会の振り返り

「第2回高速道路における車種別の最高速度の在り方に関する有識者検討会」資料より

「制限速度」に関しては、制限速度を引き上げた結果、重大な交通事故を増えるようでは本末転倒であり、安全確保の観点から必要なデータを踏まえ、議論を尽くすことが必要であるとされました。

「第2回高速道路における車種別の最高速度の在り方に関する有識者検討会」資料より

また、「リミッター」と「衝突被害軽減ブレーキ」に関しては、制限速度を引き上げたとしてもリミッターの装着は必要で、安全面を確保するためにも衝突被害軽減ブレーキ等の先進安全技術の義務化は重要と指摘されています。

第1回検討会以降の調査結果

「第2回高速道路における車種別の最高速度の在り方に関する有識者検討会」資料より

第1回検討会にて安全の観点から必要なデータとされた「車両の基準、安全装置の普及状態」ならびに「運行管理者の役割」について調査した結果が別紙の資料が警察庁 交通局 交通規制課 から提出されました。

その上で、「交通実態調査、分析」と「ヒアリング結果」について報告されました。

「第2回高速道路における車種別の最高速度の在り方に関する有識者検討会」資料より
「第2回高速道路における車種別の最高速度の在り方に関する有識者検討会」資料より

ヒアリングは、以下のメーカー、事業者に行われています。

  • 大型トラック製造メーカー
  • トレーラ(被牽引車)メーカー
  • 運送事業者
「第2回高速道路における車種別の最高速度の在り方に関する有識者検討会」資料より

大型トラック製造メーカー、トレーラメーカともに、走行試験を実施している速度よりも高い速度では性能確認をしておらず、走行試験を実施している速度までであれば、保安上の車両の不具合についてメーカーとして保証できるとしており、最高設計速度以上の速度引き上げには賛成できない旨のコメントがなされておりました。

「第2回高速道路における車種別の最高速度の在り方に関する有識者検討会」資料より

運送事業者においては、最高速度引き上げのメリットとして、

 1.目的地までの到着時間の短縮による輸送品質の向上、労働生産性の向上
 2.運行時間の短縮によるドライバーの休息時間の拡充

があげられ、懸念事項として、

 1.追突事故や交通事故の増加、交通事故発生時の被害の重大化
 2.走行速度が高くなることによる年日の悪化
 3.メーカーにより新たに車両開発が必要となった場合の車両単価の上昇
 4.走行速度が高くなることによるドライバーの疲労度・緊張度の醸成

があげられていました。

また荷主から「より遠く、より早く運ぶこと」を求められる心理的負担が過大になることによる事故の発生など、速度引き上げのメリット以上に、懸念する意見が多く上がっていました。

第3回検討会における検討・確認事項等

「第2回高速道路における車種別の最高速度の在り方に関する有識者検討会」資料より

第3回検討会では、運送ドライバー労働組合へのヒアリングや一般ドライバーへのアンケート結果を受け、提言の骨子案などが討議される予定とのこと。

現時点では、2024年問題の解決として、「最高速度の引き上げ」よりも「荷待ち時間の短縮」や「サービスとしての荷役作業の改善」など物流負荷の軽減がより重要であるという意見が多く、今後、提言作成に向けて紆余曲折がありそうな内容となっていました。

最後まで読んで頂き、誠にありがとうございました。