ETCカードをご利用のみなさま、こんにちは。
今回は、国土交通省が運送事業者による遠隔点呼や自動点呼など、運行管理業務の高度化に向けた検討を行っていることについてご紹介したいと思います。
国土交通省は、資本関係にない事業者間における遠隔点呼や業務前自動点呼の実証実験、運行管理業務の一元化の制度化に向けた要件のとりまとめを行うために「有識者会議」を設置しています。
それが、「運行管理高度化ワーキンググループ」です。
2025年10月15日に「令和7年度 第2回 運行管理高度化ワーキンググループ」が開催されました。
前回は、2025年6月27日に「令和7年度 第1回 運行管理高度化ワーキンググループ」が開催されており、今回は、約3か月半ぶりの開催となります。
この有識者会議では、運行管理高度化の内容や検討スケジュールなどについて議論を行っています。以下、検討内容の概要です。

検討内容としては大きく以下の3つとなっています。
- 遠隔点呼
- 自動点呼
- 運行管理業務の一元化
2025年4月に、異なる事業者間における遠隔点呼(事業者間遠隔点呼)や業務前自動点呼が制度化されました。今回のワーキンググループでは、その後の実態調査や運行管理業の一元化で課題となっている項目について議論が報告が行われました。
同一事業者内遠隔点呼及び業務後事業点呼の実態調査について


同一事業者内遠隔点呼及び業務後自動点呼の実施状況について事業者にアンケート調査を実施し、以下の状況だったとのこと。
- 運行管理業務の効率化に効果があるという声が多数得られた。
- 遠隔点呼は事業規模が大きい事業者ほど導入している一方、業務後自動点呼は事業者の規模による実施状況の差はみられなかった。
- 一方で、遠隔点呼と業務後自動点呼の両方とも実施していない者がほとんどであった。主な理由として「対面点呼で十分対応できている」と考えている事業者が多く、導入コスト、要件・制度の複雑さを未実施の理由に挙げる事業者がいた
アンケート調査の実施状況を踏まえ、今後の普及啓発については以下を実施していくとのこと。
- 導入コストへの課題について、導入補助事業を継続して実施(令和4年度から実施中)
- 精度の周知・理解度向上等を令和7年度に制度化された事業者間遠隔点呼、業務前自動点呼を含めて、パンフレットを新たに作成して実施
- 実施事業者の優良活用事例をヒアリングを通して継続的に収集し、得られた知見を講演・セミナー等を通じて広く周知
令和7年4月に、事業者間遠隔点呼や業務前自動点呼が制度化され、点呼制度の一連の改正がひと段落したところで、改めて新たな点呼制度を周知して利用を促進するとともに、内容を解説することで正しい運用を促進していくとの方向性が出されました。
運行管理業務の一元化における運行管理者選任数の考え方について

運行管理業務を一元化した際に、運行管理者の柔軟な配置を求める声をふまえ、限られた人的リソースの効率的な活用による運行管理者の負担軽減を図るため、「選任時の柔軟性」「運用時の柔軟性」を考慮して制度活用時の「特例」を検討するとのこと。

実運用上の課題の有無、運行管理者の勤務シフト等に支障が生じないことを確認するため、一定期間の実証実験(2025年10月中に実証実験開始予定)を行うとのことで、2026年6月末までを目途に実証実験を実施し、制度化に向けた検討を進めるとのことでした。
事業者を跨いだ運行管理業務の一元化について

ニーズ調査を実施した結果、「運行管理者数」については、
- 「とても不足している」と感じているのは全体の9.4%
- 事業者規模が大きくなるほど、運行管理者の不足感が高まる傾向
- 運行管理者不足を最も感じているのが「乗合バス」で次いで「タクシー」
「運行管理業務の他事業者への委託ニーズ」については、
- 一定のニーズがある
- 「乗務員の管理・指導に関する業務」の委託を望んでいる者が多い
- 委託する場合、運送事業者が良いという意見が多かった一方、運送事業者でなくても実施できる業務であるという理由で、運送事業者以外でもよいという意見もあった
という結果でした。
この結果を受け、委託ニーズがある業務について、背景として事業者が抱えている課題を明確化し、委託の進め方について検討を進める方針が出されました。
国土交通省は、運行管理業務における「自動点呼」「遠隔点呼」「運行管理業務の一元化」の3つについてICTの活用により高度化を目指す方針で、
令和7年度も引き続き、WGを開催し、他検討会やWGとも連携しながら議論を進めていく予定とのこと。
最後まで読んで頂き、誠にありがとうございました。
