ETCカードをご利用のみなさま、こんにちは。

今回は、2026年6月9日に公表された「NEXCO西日本」の2026年3月期決算(連結決算)について読み解いていこうと思います。

交通量増加で増収も利益は大幅減!安全対策・リニューアル投資が拡大

NEXCO西日本は2026年3月期の連結決算を発表しました。

高速道路の通行台数増加やサービスエリア・パーキングエリア(SA・PA)事業の好調により売上高にあたる営業収益は増加した一方で、高速道路の維持管理や安全対策、リニューアル工事などの費用増加により利益は大きく減少する結果となりました。

NEXCO西日本のプレスリリースより

通行台数増加で増収

2026年3月期の連結営業収益は1兆2,833億円となり、前期比3.0%増となりました。背景には高速道路利用の回復があります。

通行台数は前期比2.3%増加し、料金収入は8,041億円と前期比3.1%増加しました。コロナ禍からの回復に加え、観光需要や物流需要が引き続き堅調に推移したことが寄与したとみられます。

また、SA・PA事業も好調でした。各種販売促進施策の効果もあり、店舗やガソリンスタンドの売上高は1,856億円と前期比3.0%増加しています。

利益は大幅減少

一方で利益面は厳しい結果となりました。

営業利益は8億7,700万円となり、前期比87.1%減。経常利益は80億円で28.1%減、親会社株主に帰属する当期純利益は66億円で26.9%減となりました。

売上が増えているにもかかわらず利益が減少した背景には、高速道路の老朽化対策や維持管理費用の増加があります。

現在、高速道路業界では建設資材価格や労務費の上昇が続いており、加えて大規模更新・修繕事業も本格化しています。NEXCO西日本も高速道路リニューアルプロジェクトや耐震補強工事、安全対策などへの投資を積極的に進めており、これらの費用負担が利益を圧迫した形です。

安全対策への投資を強化

今回の決算資料からは、同社が「安全・安心」を最優先課題としていることがうかがえます。

対面通行区間での正面衝突事故防止のため、従来のラバーポールに代わるワイヤロープの設置を推進。さらに逆走事故対策として、誤進入防止設備や路面埋込型ブレードなどの物理的対策も進めています。

また、重量超過車両への取締り強化や、「ながら運転」防止活動など、交通安全対策も継続しています。

高速道路の維持管理においては、赤外線カメラや高解像度カメラ、ドローン(UAV)を活用した点検の高度化も進められています。

ETC専用料金所の拡大

料金所のキャッシュレス化・タッチレス化も大きく前進しています。

2025年10月には新名神高速道路の一部料金所で、2026年3月には中国自動車道の宝塚料金所など22か所でETC専用料金所の運用を開始しました。併せてETC車載器購入助成キャンペーンも実施しています。

今後は料金施策の柔軟な運用を可能にする新料金システムの構築も進められており、深夜割引の見直しや新たな料金施策への対応が期待されます。

深夜割引見直しへ

利用者にとって注目されるのが深夜割引制度の見直しです。

現在の制度では割引適用待ち車両による滞留などが課題となっています。今後は走行距離に応じた割引方式へ変更するとともに、割引対象時間帯を拡大する方向で準備が進められています。

高速道路利用者や運送事業者にとっては、大きな制度変更となる可能性があります。

新名神や4車線化事業も着実に進展

道路建設事業では、新名神高速道路の整備や暫定2車線区間の4車線化が引き続き進められています。

2025年度には松山自動車道や東九州自動車道などで4車線化区間が順次完成しました。これにより安全性向上や渋滞緩和、災害時の代替ルート確保などが期待されています。

また、スマートインターチェンジ整備など、高速道路ネットワークの利便性向上にも取り組んでいます。

来期は増益見通し

2027年3月期については、営業収益1兆2,457億円、営業利益61億円、経常利益68億円、当期純利益48億円を見込んでいます。

営業収益はやや減少する見込みですが、今期に比べると利益水準は回復する計画です。

ただし、高速道路の老朽化対策や災害対応、物価上昇への対応など課題は多く、今後も維持管理費用の増加が続く可能性があります。

NEXCO西日本のプレスリリースより

まとめ

今回の決算は、「交通量回復による増収」と「安全・老朽化対策による利益圧迫」という、高速道路事業が抱える現状を象徴する内容でした。

NEXCO西日本は、高速道路のリニューアルや4車線化、ETC専用化、逆走対策など、安全・安心のための投資を積極的に進めています。短期的には利益を押し下げる要因となりますが、日本の物流や地域経済を支える社会インフラとしては欠かせない取り組みです。

今後は深夜割引見直しや新料金システムの導入など、利用者に直接関わる制度変更も予定されており、その動向に注目が集まりそうです。


最後まで読んで頂き、誠にありがとうございました。

参照元(一次情報)