ETCカードをご利用のみなさま、こんにちは。
今回は、「高速道路での逆走対策」についてご紹介したいと思います。
2026年9月9日に、国土交通省の有識者会議である「第9回高速道路の逆走対策に関する有識者委員会」が開催されました。
前回の第8回有識者委員会は2025年6月25日に開催されており、その後、高速道路会社から「重点対策実施計画」が公表されています。
今回の第9回では、2025年の逆走発生状況に加え、重点対策箇所の進捗状況、新たな逆走検知技術、高齢ドライバーへの対策などについて報告されました。
2025年の「逆走事案」は297件で過去最多
まず気になったのが、逆走事案の発生件数です。
2025年の高速道路における逆走事案は、
297件
となり、統計を確認できる2011年以降で最も多くなりました。2024年は220件でしたので、1年間で大きく増加しています。
また、297件のうち事故に至った割合は22%で、逆走事案のおよそ5件に1件が事故につながっています。
一方、2025年の死亡事故は1件でした。

逆走事故も64件で過去最多
「逆走事案」のうち、実際に事故となった「逆走事故」についても、2025年は
64件
となり、こちらも2011年以降で最多となっています。
そのうち負傷事故・死亡事故を合わせた「重大事故」は16件で、2024年より増加しました。
さらに、逆走事故そのものは高速道路事故全体のわずか0.1%ですが、通常の高速道路事故と比較すると、重大事故となる割合は約4倍、死亡事故となる割合は約35倍となっています。
やはり逆走は、発生件数だけではなく、
「一度発生すると重大事故につながる可能性が非常に高い」
ことが大きな問題となっています。
「道間違い」がきっかけとなる逆走が約6割に
逆走を開始した要因についても興味深いデータが公表されています。
2015~2024年では、「道間違い」がきっかけとなった逆走は全体の約5割でしたが、2025年は約6割まで増加しました。
また、「最後まで逆走を認識していなかった」ケースは約3割で、認知症の疑いがあるケースについても増加傾向が確認されています。
逆走というと「高齢ドライバー」のイメージが強いかもしれません。
実際、2025年の逆走事案では65歳以上が約6割を占めています。
ただし、2011~2024年では65歳以上が約7割だったため、2025年はむしろ65歳未満の割合が増加しています。逆走事故だけを見ると、2025年は65歳未満の割合が65歳以上を上回っています。
そのため、逆走は必ずしも「高齢者だけの問題」とはいえないようです。
逆走が起きる場所にも変化
2025年は逆走が始まる場所にも変化が見られます。
逆走事案全体では「分合流部・出入口部」が引き続き多いものの、「一般道側との接続部」での逆走は120件と過去最多となりました。
逆走事故については、2024年まで最も多かった「分合流部・出入口部」を、2025年は「料金所前後」が上回っています。
また、逆走事故の開始地点は、従来からIC・JCTが多かったものの、2025年はその割合が約7割まで上昇。
事故が発生する場所についても、従来は本線が約6割でしたが、2025年はIC・JCTが約5割となり、
「本線で事故が発生する傾向」から「IC・JCTで事故が発生する傾向」へ変化している
と分析されています。
基本的な逆走対策はすでに「99.8%」完了
高速道路会社では、2014年から全国のIC・JCT・SA・PAを対象として、大型の矢印路面標示やラバーポールなどの逆走対策を進めてきました。
高速道路会社が管理する3,182施設のうち、2025年末時点で3,176施設に対策が実施されており、実施率は99.8%となっています。
つまり、基本的な逆走対策については、ほぼ全国で実施済みということになります。
それでも逆走事案が過去最多の297件となったことから、現在は一律の対策だけではなく、逆走が繰り返し発生する場所や重大事故が発生した場所に対する重点的な対策へと移っています。
全国188施設を「重点対策箇所」に
2025年には、
- 基本的対策後も重大事故が発生した箇所
- 逆走が複数回発生している箇所
- 平面交差構造となっている箇所
などを対象として、全国188施設が「重点対策箇所」に選定されました。
2026年8月時点では、このうち33施設で対策に着手しており、進捗率は約18%となっています。
今後は、
- 2026年度末までに51施設
- 2027年度末までに106施設
- 2028年度末までに188施設すべて
の対策完了を予定しています。

「ウェッジハンプ」など物理的な対策も
重点対策箇所では、従来の看板や路面標示だけではなく、より積極的な物理的対策も導入されています。
例えば、ウェッジハンプ、プレッシャーウォール、錯視効果を利用した路面標示などが、秋田自動車道や東北自動車道などですでに設置されています。
東北自動車道の黒磯板室ICでは、既存のカラー舗装や看板による対策を行っていたにもかかわらず逆走事故が発生したため、ウェッジハンプやプレッシャーウォール、方向案内看板の大型化など、視覚的・物理的な対策が追加されています。
単純に「逆走禁止」と表示するだけではなく、
ドライバー自身に「何かがおかしい」と気付かせ、物理的にも逆走しにくくする
方向へ対策が進んでいるようです。
AIで逆走車を検知し、スマホやカーナビへ警告
新しい技術を活用した逆走対策も進められています。
2024年12月にはNEXCO3社が新技術を公募。
道路管理用のCCTVカメラ映像をAIなどで解析して逆走車両を検知し、その情報をスマートフォンアプリやドライブレコーダーなどを通じて、逆走している車両だけでなく、周辺を走行する順走車両にも警告する技術が検討されています。
道路管理用カメラを利用する技術には19技術の応募があり17技術を選定、車載機器を利用する技術については2技術の応募があり、2技術とも選定されました。
一方、2021年から実証されている逆走検知技術では検知精度は改善しているものの、順走車や作業員などを逆走車として検知してしまう「誤検知」も残っています。
今後は、検知精度や経済性などを比較しながら技術をカタログ化し、道路管理者のニーズに応じて展開していく予定とのことです。
自動車側の「逆走防止」も進む
道路側だけでなく、自動車側の対策も進んでいます。
「TSR(Traffic Sign Recognition:道路標識注意喚起装置)」は、車両進入禁止などの道路標識を車両が認識し、ドライバーへ警告する機能です。
2024年度から自動車アセスメントでTSRの情報提供が始まり、2026年7月に発表された次世代の「サポカー2.0」でもTSRなどが対象となっています。
将来的には、
道路側で逆走を検知する技術
と
自動車自身が逆走を検知する技術
の両方から、逆走を防止する仕組みが広がっていきそうです。
警察庁でも高齢ドライバー対策を実施
警察庁では、逆走など認知機能が低下した場合に起こりやすい一定の違反をした75歳以上のドライバーに対して、臨時認知機能検査を実施しています。
また、家族からの相談などによって認知症の疑いがあるドライバーを把握した場合には、臨時適性検査なども実施。
高速道路会社と連携した道路環境の改善や、SA・PAなどでの啓発活動も行われています。
高速道路会社側でも、「無くそう逆走」の周知に加え、道を間違えた場合の特別転回の方法、新たな物理的対策などを紹介する動画の制作や、ラジオ、ガソリンスタンドなどを利用した啓発活動を進めています。
まとめ
今回の資料で最も気になったのは、全国統一的な基本対策がほぼ完了しているにもかかわらず、2025年の逆走事案が297件、逆走事故が64件と、ともに過去最多となったことです。
これまでの「看板や路面表示で逆走を防ぐ」という対策だけではなく、
重点箇所への物理的対策+AIなどによるリアルタイム検知+自動車側からの警告
という、より多層的な逆走対策へ移行していることが今回の資料から分かります。
特に、逆走事故は通常の高速道路事故と比べて重大事故につながる可能性が非常に高いため、新しい技術が早期に実用化されることを期待したいところです。
今後も、高速道路での逆走対策について新たな動きがありましたらご紹介したいと思います。
最後まで読んで頂き、誠にありがとうございました。

