ETCカードをご利用のみなさま、こんにちは。

今回は、「高速道路での逆走対策」についてご紹介したいと思います。

2023年7月11日に国土交通省の有識者会議である「第6回高速道路の逆走対策に関する有識者委員会」が開催されました。

「第6回高速道路の逆走対策に関する有識者委員会」 資料より

有識者委員会は、重大事故につながる可能性が高い高速道路での逆走に対し、交通工学、自動車工学、安全啓発や交通心理といった幅広い見地から、効果的な逆走対策を検討するために設置され、第1回は、2015年12月に開催されています。

これまでの取り組み

2020年までに高速道路での逆走事故ゼロをめざす」を目標として、高速道路での逆走対策に関する今後の進め方を示した全体行動計画(ロードマップ)をとりまとめ、2016年に公表し、2016年度以降、ロードマップで示した「今後実現を目指す姿」の方向性に基づき、逆走対策を推進してきました。

その後、2019年9月に「高速道路における安全・安心基本計画」が策定され、高速道路での逆走対策に関し、「2029年までに逆走による重大事故ゼロ」という新たな目標を公表し、2021年度以降、「2029年まで逆走による重大事故ゼロ」という目標達成に向けた逆走対策を推進しています。

逆走の発生状況

逆走事案発生件数は、2017年以降は約190件/年発生し、横ばい傾向が継続。そのうち約2割が事故に発展し、負傷・死亡事故も毎年発生しています。

「第6回高速道路の逆走対策に関する有識者委員会」 資料より

逆走事故は、約38件/年発生し、2022年は重大事故(負傷・死亡事故)が12件発生しています。逆走による重大事故の割合は、高速道路の事故全体と比較すると約4倍、死亡事故は約36倍と特に高い傾向となっています。

「第6回高速道路の逆走対策に関する有識者委員会」 資料より

年代別の発生状況ですが、逆走事案は、65歳未満が約3割、65歳以上が約7割となっており、逆走事故は、65歳未満と65歳以上が半々の割合となってます。

「第6回高速道路の逆走対策に関する有識者委員会」 資料より

動機別の発生状況ですが、逆走事案は、故意が約2割、過失が約4割、認識なしが約3割となっており、逆走事故は、故意が約2割、過失が約3割、認識なしが約2割となっています。

「第6回高速道路の逆走対策に関する有識者委員会」 資料より

ちなみに、「故意」とは、高速道路を進行中に道間違い等に気づき、逆走になると理解した上で、引き返すために逆走を開始、「過失」とは、合流部での案内表示の誤認や見落としにより、逆走と気づかず誤った車線や出口へ進入し、逆走を開始、「認識なし」とは、事故や確保等により逆走を終えた時点においても、逆走したとの認識を持っていないもの(認知症等)と定義されています。

新しい逆走対策の取り組み

逆走していることを画像にて認識させることを目的に標識等の認識物の仕様を決め、 順走車が誤検知しないように、順走車から見えない位置に設置するなどのガイドラインを作成し、運用予定とのこと。

「第6回高速道路の逆走対策に関する有識者委員会」 資料より

逆走が発生した場合、「逆走車への警告」と「順走車への情報提供」を「逆走検知トラカン」によってスピーカー、回転灯、警告表示板の組み合わせにより実施しているとのこと。

「第6回高速道路の逆走対策に関する有識者委員会」 資料より

全体考察と今後の検討課題

現在実施している逆走対策と逆走発生状況を踏まえた全体考察は、以下のようになっています。重大事故については減少傾向ではありますが、ゼロにはまだ相当距離がある数値となっています。

「第6回高速道路の逆走対策に関する有識者委員会」 資料より

今後の検討課題としては、残り6年となった「2029年までに逆走による重大事故ゼロ」の達成に向けてどのように取り組むべきかがあげられています。

「第6回高速道路の逆走対策に関する有識者委員会」 資料より

今後のスケジュール

今後のスケジュールとしては、過去実施してきた対策の効果検証をとりまとめ、繰り返し逆走が発生する箇所に対して公募技術の展開し、効果があるものに関しては、本格運用を行うとのこと。2029年までに有識者委員会を適宜実施しながら、「2029年までに逆走による重大事故ゼロ」の目標達成へ取り組むとのこと。

「第6回高速道路の逆走対策に関する有識者委員会」 資料より

2029年まで逆走による重大事故ゼロ」 というのは、なかなか高いハードルかと思いますが、よりよい高速道路のために利用者としては、達成されることを願っております。

最後まで読んで頂き、誠にありがとうございました。