ETCカードをご利用のみなさま、こんにちは。
今回は、2023年10月13日に「会計検査院」からNEXCO3社と本州四国連絡橋高速に対して、「橋脚補強が適切に実施されているか」の検査を実施し、
高速道路における橋脚補強の整備手法について「改善の処置を要求する」意見表示があった
ことをご紹介したいと思います。
詳細については、以下の会計検査院の資料をご確認頂ければと思います。
会計検査院法第36条の規定による意見表示(5年10月13日)

「会計検査院」の資料によると、
2016年の熊本地震後に各社が作成した計画に基づき、大規模地震の発生確率が高い地域(先行整備地域)とその他を分けた上で、完了目標年度において橋脚補強の完了していないものや工事契約の締結をしていないものがないかを検査した結果、
各社ともかなりの数の未完了、工事未契約があることがわかり、会計検査院としてはは、地震時にミッシングリンクが生じるおそれがあるとし、「改善を必要とする事態」であると指摘
する内容となっています。
以下、各社の橋脚補強の進捗状況ですが、特にNEXCO東日本の状況がかなり悪いことがわかります。
特に先行整備地域の工事未契約率が他社と比較して非常に高くなっています。
・整備地域の工事未契約率
- NEXCO東日本 : 90.9%
- NEXCO中日本 : 11.2%
- NEXCO西日本 : 27.1%
- 本州四国連絡橋 : 0.0%
各社ともに、会計検査院からは、
地震時のミッシングリンクが生じるおそれがある区間当を早期に解消させるための橋脚補強の効率的な整備手法について検討を行うことの重要性に対する認識が欠けている
という厳しい指摘がありました。




工事未契約については、人手不足や資材高騰による入札不調が主要因かと思われますが、各社は「指摘を真摯に受け止め、さらに耐震補強工事を推進する」等の回答をしています。
これを受け、2023年10月17日の斉藤鉄夫国土交通大臣の定例記者会見にて質疑応答がありましたので、ご紹介したいと思います。
(記者)
高速道路の橋の耐震補強について伺います。
会計検査院の調査で、全国の高速道路4社の対象となる橋のうち、昨年度末の時点で補強が完了したのが、1割にとどまっているということが明らかとなりました。国土交通省としての受け止めと対策について大臣のお考えをお聞かせください。
(斉藤大臣)
先週13日(金)、会計検査院より、ネクスコ3社及び本四高速の高速道路会社4社に対して、各会社が管理する橋脚の耐震補強の実施状況に関する意見表示がありました。
会計検査院や一部報道では、耐震対策完了は1割、との指摘もありましたが、耐震補強の進捗状況については、次のとおりです。
まず、平成7年の兵庫県南部地震以降、優先して「落橋・倒壊を防止するために必要な対策」を行い、その後「橋としての機能を速やかに回復させるために必要な耐震対策」、例えば段差の発生を防止するための補強などに取り組んできました。
つまり、阪神淡路大震災の後、全面的に見直し、橋脚に対して耐震補強を2段階でやってきました。
第1の対策は大きな崩壊に繋がる、「落橋・倒壊を防止するために必要な対策」です。その上で落橋・倒壊までには至らないが橋脚に段差が生じるもしくはズレが生じる、これは回復までにかなり時間を要して通行止めになります。そういうことも防がなければいけない。この2段階でやってきました。
その結果、いわゆる第1段階目、「落橋・倒壊を防止するために必要な対策」は高速道路会社4社が管理する橋梁1万7605橋全てで既に完了しています。
また、第2段階目の会計検査院御指摘の「橋としての機能を速やかに回復させるために必要な耐震対策」(段差、ズレを防止するような対策)についても、令和4年度末時点で、全体の77%にあたる1万3600橋で完了しています。
その上で、会計検査院の御指摘は、平成28年熊本地震発生時点において、橋としての機能を速やかに回復させるために必要な耐震対策、つまり2番目の耐震対策ですが、未完了となっていた4454橋のうち、令和4年度末までの約6年間で新たに対策完了に至ったものがその約1割に当たる、449橋にとどまっており、4005橋で未完了となっていた、というのが会計検査院の御指摘ですが、どこを時間の原点でとるかにより、大きく数字が変わってくることを御理解いただきたいと思います。
現在、「橋としての機能を速やかに回復させるために必要な耐震対策」の一層の進捗を図っていますが、残る箇所については、急峻な山岳部に位置し大規模な工事用道路が必要となるなど、施工上の制約がある難工事の箇所も多くなっている状況です。
国土交通省としても、高速道路の耐震化は、大規模地震発生時に、緊急輸送道路として円滑で迅速な復旧活動を支える観点等から、極めて重要であると考えています。
このため、先ほど申し述べたような状況ですが、今回指摘のあった残る4005橋について、耐震対策をより迅速かつ確実に進めることが必要と考え、今後の耐震補強の実施計画を改めて年内目途で策定するよう高速道路会社4社に指示したところです。
引き続き、今年改正した道路整備特別措置法に基づく料金徴収期間の延長による財源も活用し、高速道路の更新事業とあわせ、耐震補強対策をしっかりと進めていきたいと決意しています。
とのことでした。
国土交通大臣としては、「どの時点を起点とするか」で数字が大きく変わることに注意してほしいとした上で、会計検査院の指摘に対しては、道路会社4社に対して年内に今後の実施計画を策定するように指示したとのこと。
2023年9月6日に施行された「道路整備特別措置法及び独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構法の一部を改正する法律」における料金徴収期間の延長による財源も活用して進めていきたいという内容でした。
最後まで読んで頂き、誠にありがとうございました。