ETCカードをご利用のみなさま、こんにちは。
今回は、2024年4月に発表されたNEXCO東日本の「営業概要」と「中期経営計画における重点施策」についてご紹介したいと思います。
2023年度の営業概要
- 通行台数、料金収入ともに2022年度を上回り、コロナ前とほぼ同じ水準まで戻っています
- SA・PAの「飲食・物販」は、去年度比112.3%、コロナ前の2019年度比103.6%と料金収入以上の回復をしています
- SA・PAの「GS」は、販売量は横ばいながら、単価上昇により、去年度比104.9%、コロナ前の2019年度比113.8%となっています
- ETC利用率は93.9%、ETC2.0利用率は34.9%
以下、NEXCO東日本の資料を載せておきます。

NEXCO東日本では、2021年度~2025年度の5年間の中期経営計画が出されていましたが、残り2年を迎えて2024年4月に「中期経営計画の見直し」が行われました。
理由としては、計画策定後に生じた料金徴収期間の延長やデジタル技術の進展、災害の激甚化など事業環境の変化があげられています。
見直しが行われた「中期経営計画」において追加された重点施策もあるので、ご紹介したいと思います。
中期経営計画における重点施策
まずは、「事故対策による安全性の向上」です。
暫定2車線区間の正面衝突事故防止に向け、ワイヤーロープの設置や長大橋梁、トンネル区間における新技術の試行・検証を実施するとのこと。
また、首都圏を中心とした交通集中による渋滞緩和を目指し、付加車線事業やペースメーカーライト等の渋滞対策を推進するとのこと。

次が「自動運転等のイノベーション」です。
自動運転車両と非自動運転車両が混在する状況下において、安全で円滑な交通を支援するために、2026年度から情報収集・提供に関する実証実験の開始を目指し、情報を収集する多機能ポールの整備とアプリによる情報提供(E-ハイラジ)の拡充を進めるとのこと。

次が「新たなリニューアル工事」です。
道路資産の健全性を永続的に保持すべく、新技術による工期短縮や道路ネットワークを活用した迂回路確保等に努めた上で、橋梁の床版取替・修繕、トンネル及び大規模な土構造物の補強を推進するとのこと。

次が「耐震対策による交通機能の迅速な回復」です。
山岳地や河川部などで施工・制約条件が厳しく、対策が未了となっている箇所のうち、上下線の橋脚が分離している橋梁でどちらか一方の補強を優先するなどの手法を採用して耐震補強対策の加速化を図るとのこと。
特に地震発生確率が高い地域においては、2030年度末までに耐震補強対策の完了を目指すとのこと。

次が「激甚化・頻発化する気象災害への対応」です。
近年の集中的・継続的な強雪に対応するため「人命を最優先に幹線道路上での大規模な車両滞留を徹底的に回避」することを基本とし、予防的通行止めや集中除雪を実施するとともに、出控えや通行止め可能性区間の広報を行って対策を強化するとのこと。
大雨時の通行止めに関しては、現在の「連続雨量」の基準から科学的データに基づく水分量を考慮した「土壌雨量指数」への移行を行うとのこと。

次が「高速道路ネットワーク強化の検討及び整備の推進」です。
移動時間の短縮、企業立地の促進、物流の効率化などを目的とした高速道路ネットワークの整備を推進し、時間信頼性の向上、交通事故による通行止めの減少や災害・大雪時の交通機能確保のための4車線化、付加車線事業を実施するとのこと。

次が「スマートIC・休憩施設の整備の推進」です。
地域産業の活性化、観光振興、救急医療への貢献、物流の効率化を目指してスマートICの整備を行い、良好な運転環境を実現するために休憩施設の整備を推進するとのこと。

次が「SA・PAサービス機能の強化、拡充」です。
SA・PAの建て替えなどのリニューアルによる快適性アップ、ウォークインゲート整備による機能性アップ、シャワールームの拡充による満足度アップ、省人化による24時間サービスの提供による利便性アップなどSA・PAサービス機能の強化、拡充を推進するとのこと。

次が「物流2024年問題への対応」です。
休憩施設の混雑対策として、「既存の駐車エリアの配置見直し」や「駐車スペースの拡充」、「短時間限定駐車マスの導入」、「満空情報板による混雑情報の提供」、「ダブル連結トラック駐車マスの整備」を行うとのこと。
また、トラック運転者の負担軽減を目的として2024年度中を目途に割引適用時間帯の拡大を図る深夜割引の見直しを行うとのこと。

次が「高速道路の利用促進と交通分散に向けた料金の取組」です。
特定時間帯に交通が集中することによって激しい混雑が発生している「東京湾アクアライン」にて「時間帯別料金」の社会実験を実施して混雑緩和を図るとのこと。

また、多様化する勤務形態への対応として、曜日・時間帯にかかわらない割引制度である「通勤パス」の社会実験を実施し、高速道路の利用促進や交通分散を図るとのこと。

次が「カーボンニュートラル推進戦略の策定」です。
日本を含む120以上の国・地域が目標として掲げている「2050年カーボンニュートラル」の実現に向けて、NEXCO東日本グループとして最大限貢献するための目標や具体的な方策を盛り込んだ「カーボンニュートラル推進戦略」を2024年度中に策定するとのこと。

次が「人材育成方針の策定」です。
高速道路を将来にわたり維持し、進化させ続けるためには、現場力の源泉である人材の確保と育成が経営上の重要課題であると考え、NEXCO東日本が求める人材像、能力、スキルを明示し、人材育成手法、ジョブローテーションとライフステージを両立する仕組みなどを盛り込んだ「人材育成方針」を策定するとのこと。

最後が「建設業の2024年問題への対応」です。
2024年4月から適用される建設業における時間外労働の上限規制に対応するため、遠隔立会の導入や週休2日を踏まえた適切な工期設定、資材の価格高騰に対するスライド条項の適用などの取組を行い、深刻化する担い手不足の解消に努めるとのこと。

料金徴収期間の延長以外にも、コロナ以前の水準まで交通量が回復したことに伴う通行料金収入増加や商業施設の収益改善など、高速道路会社を取り巻く事業環境が大きく変わる中、サステナビリティに対する社会的要請の高まりやデジタル技術の進展などに対応するため非常に多くの重点施策を発表していました。
普段何気なく利用している高速道路について事業者側はこのように考えているのだということが少し理解できるのではないでしょうか?
最後まで読んで頂き、誠にありがとうございました。