ETCカードをご利用のみなさん、こんにちは!

今後、何回かに分けて、高速道路の割引(目的・効果・課題・見直し方針)シリーズとして、高速道路を管轄する国土交通省の中での議論や検討内容についてご紹介したいと思います。

まずはじめに、

高速道路料金に関する議論や検討は一体どこで行なわれているのでしょうか?

一般にはあまり知られていないかもしれませんが、2021年時点では、国土交通省・社会資本整備審議会・道路分科会が設置している「国土幹線道路部会」で議論や検討が行われています。

では、

「国土幹線道路部会」とは一体どういう会で、どのようなことが議論されているのでしょうか?

国土幹線道路部会」は、社会資本整備審議会令第7条に基づき、2012年7月13日に、「道路法の規定により審議会の権限に属させられた事項の調査審議」を行うために設置された諮問機関なのですが、なぜ「国土幹線道路部会」で高速道路に関する議論や検討がされるようになったのか?には、経緯があります。

今回は、実際の高速道路に関する議論の中身ではなく、その議論をする枠組みについてご紹介できればと思います。

まず、国土交通省での大きな枠組みですが、国土交通省内での高速道路に関する審議は、「社会資本整備審議会」が担っています。

ではなぜ、「社会資本整備審議会」が高速道路に関する審議をしているかというと、国土交通大臣が 「社会資本整備審議会」 に高速道路に関する諮問を行っているからです。 諮問とは、意見を尋ね求めることです。

では、「審議会」って一体何なのでしょうか?

審議会」とは、国土交通省以外の他の省庁でも同様なのですが、国の行政機関に附属し、その長の諮問に応じて、特別の事項を調査、審議する合議制の機関をいい、国家行政組織法8条の「法律又は政令の定めるところにより、重要事項に関する調査審議、不服審査その他学識経験を有する者等の合議により処理することが適当な事務をつかさどらせるための合議制の機関を置くことができる」との規定を根拠に行政機関に設置されています。

平たく言えば、国土交通大臣が、高速道路に関することは、有識者等を集めた「社会資本整備審議会」で調査・審議しようと決めたということですね。

とはいえ、社会資本整備という名称にあるように「社会資本整備審議会」に諮問されている事柄は住宅、建築、都市計画、河川など高速道路以外にもたくさんあります。そこで「分科会」というものが登場します。

社会資本整備審議会令第8条には、分科会についての規定があり、会長が必要があると認めるときは、調査審議事項を分科会に付託し、また会長が適当と認めるときは、分科会の議決を審議会の議決とすることができるとしています。

つまり、諮問内容によって複数の分科会を設立し、そこでより具体的で詳細な議論・審議をしようというわけです。

そして登場するのが、「道路分科会」です。

2002年3月5日に、高速道路が含まれる「持続可能な経済・社会の構築、安全で安心できる暮らしの実現など新しい課題に対応した道路政策のあり方」という調査審議事項が「道路分科会」に付託されました

第1回 道路分科会 配布資料より

付託された同日、2002年3月5日に、「第1回 道路分科会」が開かれ、調査審議事項に応じて「部会」を設置することが決められました。

さらに議論を深めるために、細分化したということですね。

第1回 道路分科会 配布資料より

道路分科会」にて、道路関係四公団の民営化について審議された後、 2006年6月1日に開かれた「第6回 道路分科会」にて、今後の有料制度のあり方に関する事項について調査審議する「有料道路部会」が設置されました。

第6回 道路分科会 配布資料より

また、 2009年1月29日に開かれた「第10回 道路分科会」にて、高規格幹線道路等の計画の具体化に関する事項について調査審議する「幹線道路部会」が設置されました。

第10回 道路分科会 配布資料より

その後、2012年7月13日に開かれた「第14回 道路分科会」にて、「有料道路部会」と「幹線道路部会」を改編し、国土幹線道路(主に高速自動車国道・直轄国道)に関する制度等について検討することを目的として「国土幹線道路部会」が設置されました。

有料道路部会」と「幹線道路部会」への諮問内容を「国土幹線道路部会」へまとめたという感じですね。

第14回 道路分科会 配布資料より

ようやく、ここに戻ってきましたが、このようにして誕生した「国土幹線道路部会」が、2021年現在、高速道路に関する政策を調査・審議しています

有料道路部会
2006年6月1日~(2012年7月13日廃止)
幹線道路部会
2009年3月9日 ~ (2012年7月13日廃止)
国土幹線道路部会
2012年7月13日~

2012年11月20日に「第1回 国土幹線道路部会」が開かれ、 直近では、2021年3月10日に「第49回 国土幹線道路部会」が開かれています。

ということで、 高速道路料金に関する議論や検討が「国土幹線道路部会」で行われているということを今回ご紹介しました。

次回からは、高速道路料金を含む高速道路に関する具体的な議論や検討内容についてご紹介できればと考えております。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。