ETCカードをご利用のみなさん、こんにちは!
シリーズでご紹介しております、高速道路の割引(目的・効果・課題・見直し方針)ですが、今回は第2回です!
前回は、
高速道路料金に関する議論や検討は一体どこで行なわれているのか?
ということで、2021年時点では、国土交通省・社会資本整備審議会・道路分科会が設置している「国土幹線道路部会」で議論や検討が行われているとご紹介いたしました。
今回は、その「国土幹線道路部会」にてどのようなことが決まってきたのか?という過去についてご紹介したいと思います。
つまり、「国土幹線道路部会」 で行われた高速道路料金に関する議論や検討はどのように料金制度に反映されてきたのか?ということですね。
「国土幹線道路部会」ができてから料金制度は、大きく4回変更されました。
4回ともに「国土幹線道路部会」の答申を踏まえた上で決められています。
流れとしては、
1.国土交通大臣から社会資本整備審議会を経て「国土幹線道路部会」へ諮問
2.「国土幹線道路部会」で議論・検討した上で国土交通大臣へ答申
3.道路会社から新しい料金制度について会社案の公表
4.国土交通省から新しい料金制度の基本方針の発表
5.道路会社から新しい料金制度の公表(パブリックコメント)
6.道路会社から国へ事業許可申請
7.事業許可された上で新しい料金制度のスタート
というのが大枠ですが、地方部では、地方からの提案や地方議会の議決・地方自治体の同意を間に挟む場合もあります。
過去の高速道路の4回の料金体系の変更ですが、以下の通りです。
2014年4月~ 全国に新たな料金体系の導入(NEXCO、本四)
2016年4月~ 首都圏に新たな料金体系の導入(首都高速など)
2017年6月~ 近畿圏に新たな料金体系の導入(阪神高速など)
2021年5月~ 中京圏に新たな料金体系の導入(名古屋高速など)

また、今後の料金体系の変更予定ですが、
2022年4月~ 首都圏に新たな料金体系の導入(首都高速など)
として、現在、 道路会社から新しい料金制度の公表(パブリックコメント)が実施されたという段階になっています。
2022年4月から首都圏の高速道路料金が大幅に変わります!!(首都高上限値上げ、大口・多頻度割引拡充、深夜割引導入など)
では早速、過去の料金体系の変更の流れをご紹介したいと思います。
一番最初が、2014年4月から実施された「全国の新たな料金体系の導入」です。「国土幹線道路部会」は、2012年7月13日に設立され、第1回~第10回までの国土幹線道路部会を開催して答申をとりまとめ、2013年6月25日に「国土幹線道路部会」 は国土交通大臣に答申をしています。

この答申(中間答申)を踏まえて提出された高速道路会社の新しい料金制度についての会社案に対して、国土交通省は、以下のような「新たな高速道路料金に関する基本方針」を2013年12月20日に発表しています。



この後、高速道路会社から新しい料金案の発表、国への事業許可申請、事業許可を経て、2014年3月14日に高速道路会社から正式に2014年4月から新しい料金体系へ変わることが発表されました。

そして、2014年4月から新たな料金体系がスタートしました。

重要な部分をピックアップすると、
1.「整備重視の料金」から「利用重視の料金」への転換
2.「3つの料金水準」→普通区間、大都市近郊区間、海峡部等特別区間
3.(NEXCO、本四)通勤割引の見直し→平日朝夕割引導入へ
4.(NEXCO、本四)マイレージ割引の見直し→13.8%から9.1%へ
5.(NEXCO、本四)休日割引30%継続
6.(NEXCO、本四)深夜割引30%継続
7.(NEXCO、本四)大口・多頻度割引の拡充(最大割引率40%)
8.(アクアライン)終日800円継続
9.(首都高速)2016年3月末まで現行料金を維持
10.(阪神高速)2017年3月末まで現行料金を維持
となりました。
このうち、9と10にあるように首都高速と阪神高速の料金体系については継続審議ということになりました。
その後、継続審議となっていた首都圏に関する料金体系ですが、2016年4月から実施された「首都圏の新たな料金体系の導入」へとつながります。「国土幹線道路部会」は、答申をとりまとめ、2015年7月30日に国土交通大臣に答申をしています。

この答申(中間答申)を踏まえ、国土交通省は、以下のように「首都圏の新たな高速道路料金に関する具体方針(案)」を2015年9月11日に発表しました。



この後、高速道路会社から新しい料金案の発表、国への事業許可申請を経て、2016年3月1日に国土交通省から高速道路会社へ事業許可をしたことが発表されました。

そして、2016年4月から新たな料金体系がスタートしました。


重要な部分をピックアップすると、
1.車種区分を5車種区分に統一
2.(首都高速)対距離制を基本とした料金体系へ(当面は上限1300円)
3.(首都高速)大口・多頻度割引の拡充(中央環状線の外側)
4.(首都高速)車種区分及び車種間比率を段階的に(激変緩和措置あり)
5.(圏央道)圏央道利用が不利にならないよう同一起終点であれば同じ料金
6.(圏央道)ETC2.0搭載車のみ大口・多頻度割引の割引対象へ
となりました。
次は近畿圏ですが、継続審議となっていた近畿圏に関する料金体系は、2017年6月から実施された「近畿圏の新たな料金体系の導入」へとつながります。「国土幹線道路部会」は 2016年9月13日に「近畿圏の高速道路を賢く使うための料金体系 基本方針(案)」を公表し、国土交通省は、2016年12月16日に「近畿圏の高速道路を賢く使うための料金体系 基本方針」を発表しました。

この後、高速道路会社から新しい料金案の発表、国への事業許可申請を経て、2017年3月31日に国土交通省から高速道路会社へ事業許可をしたことが発表されました。

当初は、2017年4月から新たな料金体系の導入の予定でしたが、周知に時間がかかるとのことで、少し後ろ倒しとなり、2017年6月から新たな料金体系がスタートしました。


重要な部分をピックアップすると、
1.車種区分を5車種区分に統一
2.(阪神高速)対距離制を基本とした料金体系へ(当面は上限1300円)
3.(阪神高速)大口・多頻度割引の拡充(都心部を通行しない場合)
4.(阪神高速)車種区分及び車種間比率を段階的に(激変緩和措置あり)
となりました。
最後に中京圏ですが、首都圏と近畿圏の議論を踏まえ、地元に精通した有識者を加えた上で、国土幹線道路部会の下に「中京圏小委員会」が設置されました。そこで検討されていた中京圏に関する料金体系は、2021年5月から実施される「中京圏の新たな料金体系の導入」へとつながります。「中京圏小委員会」は 2019年11月11日に「中京圏の高速道路を賢く使うための料金体系 基本方針(案)」を公表し、国土交通省は、2020年2月5日に「中京圏の新たな高速道路料金に関する具体方針(案)」を発表しました。

この後、2020年3月31日に国土交通省から高速道路会社ならびに名古屋高速道路公社へ事業許可をしたことが発表されました。

名古屋第二環状自動車道の開通に合わせて2021年5月から新たな料金体系がスタートしました。


重要な部分をピックアップすると、
1.車種区分を5車種区分に統一
2.対距離制を基本とした料金体系へ
3.起終点を基本とした料金体系へ
4.都心部への分散流入(名古屋都心流入割引)
となりました。
その後、「国土幹線道路部会」では、高速道路の安全性、信頼性、使いやすさの向上や、高速道路を持続可能なものにするための取り組みについて議論・検討しながら、高速道路料金についても並行して審議している状況です。
より詳細を知りたい方は、以下のリンク先をご覧ください。
2014年4月~ 全国に新たな料金体系の導入(NEXCO、本四)
2016年4月~ 首都圏に新たな料金体系の導入(首都高速など)
2017年6月~ 近畿圏に新たな料金体系の導入(阪神高速など)
2021年5月~ 中京圏に新たな料金体系の導入(名古屋高速など)
次回からは、現在の「国土幹線道路部会」で検討されている高速道路料金の論点についてご紹介できればと考えております。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
(追記)
「社会資本整備審議会道路分科会国土幹線道路部会」における「持続可能な高速道路システムの構築に向けた制度等のあり方について」について『中間答申』がとりまとめられ、国土交通省から公表されました。