ETCカードをご利用のみなさま、こんにちは。
先日、社会資本整備審議会内の国土幹線道路部会で議論されている「今後の高速道路料金の在り方」についての「中間答申案」が判明したとの報道があったとご紹介しましたが、今回、2021年7月26日に、国土交通省から「中間答申(案)」が公表されましたので、ご紹介したいと思います。
混み具合に応じ料金変動 休日割は繁忙期対象外―高速道で中間答申案・国交省審議会
報道にある「中間答申案」の大きなポイントをまとめると以下の通りでした。
【大都市圏料金】
・混雑状況に応じた料金を本格導入
・時間帯や曜日を区切って実施
・将来的には一定時間ごとに変動する機動的な料金を実現
・小仏トンネル(中央道)、東京湾アクアラインで試行方針
【割引制度】
・「休日割引」は繁忙期に適用せず、観光周遊を対象に拡充
・「深夜割引」は時間帯を拡大し、割引率を段階的に設定
【料金徴収】
・2065年までの徴収期間のさらなる延長は「妥当」
実際に公表された「中間答申(案)」はどのようなものだったでしょうか?


「大都市圏料金」についてですが、
「交通需要の偏在等に起因する混雑緩和のための料金を本格導入」と記載されており、報道通りの内容でしたが、報道にあった「小仏トンネル(中央道)、東京湾アクアラインで試行方針」という文言は含まれておりませんでした。この部分に関しては担当官から報道機関への口頭ベースでの意向伝達だったのかもしれません。
「割引制度」についてですが、
「見直しの方向性」にて、報道にあるように「休日割引」「深夜割引」については、変更確定と認識できる文言となっておりました。残りの「平日朝夕割引」「大口・多頻度割引」「マイレージ割引」については、「検討」という文言となっており、将来的な変更はありそうですが、すぐに大きな変更はなさそうな内容となっています。
「料金徴収」についてですが、
「利用者負担を基本として、料金徴収期間の延長について具体的に検討」となっており、報道のとおり、現状、2065年までとなっている償還期間の延長は、ほぼ間違いないようです。また、将来に関しては、「更新・進化の債務完済後、無期限で料金徴収を継続するかどうかは引き続き議論」として「永久有料化」を明言はしておりませんが、「無期限での料金徴収」を議論することで、「永久」とは言わないまでも超長期に渡って料金徴収を続けていくことを視野に入れていることは間違いなさそうな内容となっています。
「割引制度」に関する「中間答申(案)」の資料を掲載しておきます。










協同組合関係者が気になる 「大口・多頻度割引」に関する 「中間答申(案)」についてピックアップします。
割引率については、現下の経済状況を踏まえた拡充と、原因者負担の公平性の観点からの縮小の両面について、引き続き検討する必要がある。
また、より安定的な割引を目指す観点から、協同組合等の利用者団体の意見も聴きつつ、外的要因に大きな影響を受けやすい契約単位割引と、相対的に小さい影響しか受けない車両単位割引のバランスの見直しについても検討することが望ましい。
なお、検討にあたっては、過積載等の違反により割引が停止される仕組みにより、協同組合等の利用者団体が積極的に過積載防止や安全運転等の啓発を実施しているという面にも、留意する必要がある。
「大口・多頻度割引」の制度変更に関しては、協同組合の存在をしっかり認識した上で意見を聴くという姿勢となっており、割引制度への変更が入ったとしても、協同組合の存続が危ぶまれるような一方的な制度変更にはならなさそうな印象を受けました。
中間答申(案)については、部会長及び部会長代理が最終的に議論を収斂させることとなっており、会議を傍聴しましたが、特段大きな修正を伴う意見はなかったので、文言修正や表現の変更や追加があったとしても大枠はこの内容で国土交通大臣へ答申される見通しです。
引き続き、フォローしていきます。
(追記)
「社会資本整備審議会道路分科会国土幹線道路部会」における「持続可能な高速道路システムの構築に向けた制度等のあり方について」について『中間答申』がとりまとめられ、国土交通省から公表されました。