ETCカードをご利用のみなさま、こんにちは。

今回は、「平日朝夕割引」の見直しのための試行として、2023年4月から3か月間のみ、NEXCO中日本の北陸道の一部で「フリータイム通勤パス割引」が開始される件についてご紹介したいと思います。

国土交通省は、NEXCO中日本のこの試行に関する効果や課題を検証し、早ければ2024年度に全国に広げたいとのことで、注目されています。

以前、「平日朝夕割引」についての国土交通省における見直し内容についてご紹介した記事がありますので、参考にしてください。

「平日朝夕割引」の目的・効果・課題・見直し方針について(2021年3月時点)

この平日朝夕割引の見直しのための試行である「フリータイム通勤パス割引」は、国土幹線道路部会の「中間答申(2021年8月4日付け)」において、勤務形態が多様化している状況や、通勤時間帯に混雑している高速道路がある状況を踏まえ、「適用時間帯の柔軟化」および「通勤者の利用促進等の目的検討」について提言されたことを受け、新たに試行する料金制度と発表されました。

国土幹線道路部会の「中間答申」は以下をご参照ください。

「国土幹線道路部会」にて「中間答申」がとりまとめられました!

以下、「中間答申」で提言された内容のポイントです。

平日朝夕割引に関しては、「適用時間帯の柔軟化」と「通勤者の利用促進等の目的検討」が見直しの方向性として提言されています。

フリータイム通勤パス割引 とは?

 ・NEXCO中日本が新たに試行する割引制度
 ・ETC車限定
 ・ETCクレジットカード、ETCパーソナルカードが対象
 ・ETCコーポレートカードは対象外
 ・対象道路は、北陸道の一部区間
 ・平日割引を拡張した割引
 ・曜日、時間帯を問わず、指定対象区間内を最大50%割引
 ・1日3回までの走行が対象(4回目以降は通常料金)

 ・1カ月間有効の通勤パス20回分を10回分の料金で購入
 ・2023年4月1日から当面3か月
 ・各月先着順で1,000名
 ・ETCカード、対象期間、車種、指定区間を選択して申し込み
 ・申し込みはNEXCO中日本「早旅」にて2023年3月1日10時~
 ・後日「フリータイム通勤パス割引」の販売価格が請求される
 ・払い戻しはなし
 ・対象期間外への繰り越しはなし

1カ月間有効の通勤パス20回分を10回分の料金で購入し、21回目以降の利用も半額となりますが、1カ月の利用が20回未満ですと、結果的に割引率が50%未満となります。区間内であれば途中の乗り降りもOKとのこと。

対象区間は?

対象区間は、北陸道の以下の区間となっています。

NEXCO中日本 より

NEXCO中日本から発表された資料は以下の通りです。

NEXCO中日本の資料 より
NEXCO中日本の資料 より
NEXCO中日本の資料 より

実際に試行後の平日朝夕割引がどのようなものになるか現時点では不明ですが、同様な内容になった場合、ETCコーポレートカードが対象外になることで、対象通行の割引が無くなるという面とNEXCO割引対象額の増加による割引額の増加という面が考えられます。

国土交通省は、この「フリータイム通勤パス割引」の効果や課題を検証した上で、2024年度にも全国に広げたい考えのため、結果に引き続き、注目したいと思います。


(2023.02.05 追記)
NEXCO中日本の資料にはありませんでしたが、「2023年7月からは石川県内全区間へ対象拡大する方針である」と北國新聞が報じました。

北陸道でETC終日割引、最大半額に 4月から金沢東―片山津間で試行、7月に石川全域拡大魚拓


(2023.02.07 追記)

2023年2月7日の斉藤鉄夫国土交通大臣の定例記者会見の質疑応答において、「高速道路の新たな通勤割引制度の試行」について記者と大臣のやりとりがありましたので、ご紹介したいと思います。

(記者)

北陸自動車道で平日の通勤時間帯に行われている通勤での料金割引方法が、この4月から試験的に見直されるということです。この制度を行う狙いと今後全国で導入される可能性など今後の検討状況についてお伺いしたいと思います。

(大臣)

ネクスコが管理する地方部の高速道路においては、一般道路における平日の朝夕の混雑を緩和する目的で、この時間帯に利用する車両を対象とした平日朝夕割引が導入されています。
一方、現在の割引制度は、割引の適用時間帯が平日の朝夕に限定されていることから、勤務形態の多様化に対応できていないことなどの課題が生じていました。
こうした課題を踏まえて、割引の適用時間帯を全日(ぜんじつ)・24時間に拡大し、利用者が事前に登録したインター間の料金を5割引とする新たな割引制度を4月から金沢地区で試行することとしました。
今回の試行は、多様化する勤務形態に対応したものであり、この割引による一般道路から高速道路への交通転換や、混雑状況の変化などの影響について把握したいと考えています。
なお、全国への展開については、今回の試行結果をよく検証した上で考慮していきたい、考えていきたいと思っています。

(記者)

金沢地区での5割引の件なのですけれども、まず、割引自身は僕はあっていいと思っています。
空いている道路をどんどん活用するというのはとっても大事なことなので、いいと思っていますという前提なのですけれども、いわゆる全国プール制の公正・公平の立場から言うと、ある時期・ある時間だけ・ある場所だけで極端な割引をするというのは、多頻度割引のようなものは物流の別の事情があると思うのですが、乗用車も含めた今回の半額割引というのは全国の高速道路利用者からするとやはり不公平感があるのではないか。
その辺はやはりちゃんと説明をしておかないとなぜあの場所だけが半額割引なのと、とりあえず試行ということなので今後どうなるか見てみないと分からないと思うのですが、やはり高速道路料金が高いというイメージ、それからなかなか借金が減らない。
機構の借金もまだ20何兆円あるということですから、その辺はどのように国民へ説明されるのでしょうか。

(大臣)

今の御質問の、ある特定の区間だけということの意味が二つ考えられるのですが、一つは、今回金沢地区だけ、こういう御質問であれば、今回は正に試行です。
ちょうど、あの区間は高速道路と国道8号が並行して走っていて、非常に朝夕の時間帯に国道が混雑すると、こういう、ある意味で今回の社会実験を行うに適した場所という意味で、あくまでも、これは試行で、この結果をよく見て、全国展開するかどうか。
全国展開する時には、もちろん、全国平等にそれを行いたいと思っています。
それから、ある特定の区間というのが、いわゆる利用者が決めた、この区間だけ、ある利用者がこの区間を自分で決めて、この区間について割引を適用して欲しいということを事前に申し込む訳ですが、そういう意味だとしたら、これは別に特定の区間を決めている訳ではありません。
各利用者が自分が通勤する区間はここだから、ここを対象にしたいと申し込む。
ですので、そういう意味でも、不公平感が出ないように、最終的には行っていかなければならないと思います。
目的が、いわゆる混雑する一般道路から、その混雑を緩和する、比較的空いている高速道路の方に交通を移行することがこの割引制度の目的なので、今回、こういう新しい試み、これは、これまではある時間帯だけを限定していた訳ですが、今度は時間帯は限定しないで、区間を限定すると、こういうある意味で、形が変わる訳ですが、目的は一般道から高速道路への交通の移動を目的としている訳で、そのために、どちらが効果があるかを、今回試行してみたいということです。
御理解をいただければと思います。

(記者)

先週、熊本にいたのですけども、御案内かもしれませんが、TSMCを含めて、熊本は非常に工場立地がどんどん進んでいて、熊本空港も3月にリニューアルオープンするということですし、熊本の方たちに聞いてみると、非常に一般道は混んでいると。
高速高いので、なかなか一般道から高速へ行けないというのは今の大臣のおっしゃるとおりで、僕これ冒頭言ったとおり良いことだと思っています。
使わない道路は使われた方が良いに決まっているので。ただ一方で、全国規模と考えると都市部は逆にそれをやられてしまうと、今でも渋滞しているわけですから非常に混雑を加速させてしまう。
試行の間は良いのですが、展開するとなるとかなりいろいろな問題が生じかねないということです。
そこまで道路局は考えてやっているのかどうか。

よくよく話し合いをしてなぜそこでやるのか、この後どう展開するのかということは少し吟味したほうが。
ただ一般的には、地方相当混んできているので使って良いと思います。
最後意見になってしまい申し訳ないです。

(大臣)

私も最初に申し上げましたが、ネクスコが管理する地方部の高速道路において、今回、今の朝夕割引は地方部においてのみ行われています。
地方部の一般道の交通緩和というのが目的です。

いずれにしても今おっしゃった、今回の試行の結果をよく吟味して、不公平感の出ないような形にしたいと思います。


大臣の回答からは、

平日朝夕割引の目的は地方部の一般道の交通緩和である

という部分に変化はないので、全国展開する場合はおそらく選択区間に都市部は含まれないのだろうと考えられます。

ちなみに、熊本の渋滞の件は、記者のミスリーディングだと思います。熊本市は政令市で一番渋滞が激しいと言われていますが、高速料金の問題ではなく、そもそも熊本市とTSMCや熊本空港を結ぶ高速道路がないことが問題で、熊本県ならびに熊本市はそのための高規格道路を3つ作って有料の都市高速にする検討を実施しており、国土交通省にも要望している状況です。熊本市中心部から高速道路ICまでを約10分、熊本空港までを約20分で結ぶ「10分・20分構想」が元になっています。 高速道路料金や割引とは関係ありません。

熊本の有料都市高速にする検討については以下をご参照下さい。

【熊本都市高速?】3本の道路を有料の都市高速道路方式で整備する方向で本格的に検討開始


最後まで読んでいただき、ありがとうございました。