ETCカードをご利用のみなさま、こんにちは。
今回は、「高速道路での逆走対策」についてご紹介したいと思います。
2025年6月25日に国土交通省の有識者会議である「第8回高速道路の逆走対策に関する有識者委員会」が開催されました。
有識者委員会は、重大事故につながる可能性が高い高速道路での逆走に対し、交通工学、自動車工学、安全啓発や交通心理といった幅広い見地から、効果的な逆走対策を検討するために設置され、第1回は、2015年12月に開催されています。
これまでの取り組み
「2020年までに高速道路での逆走事故ゼロをめざす」を目標として、高速道路での逆走対策に関する今後の進め方を示した全体行動計画(ロードマップ)をとりまとめ、2016年に公表し、2016年度以降、ロードマップで示した「今後実現を目指す姿」の方向性に基づき、逆走対策を推進してきました。
その後、2019年9月に「高速道路における安全・安心基本計画」が策定され、高速道路での逆走対策に関し、「2029年までに逆走による重大事故ゼロ」という新たな目標を公表し、2021年度以降、「2029年まで逆走による重大事故ゼロ」という目標達成に向けた逆走対策を推進しています。

逆走の発生状況
逆走事案発生件数は、毎年200件程度発生。2024年は220件発生。
事故(物損、負傷、死亡)の割合は23%と、約2割が事故に発展している状況に変化は見られない。

追跡調査を踏まえた分析
出入口構造や分岐ポイント(交差点箇所)が多い場合、カーナビの案内や運転者の強い思い込み等から、いつの間にか高速道路の出入口ランプに進入しているケースが確認された。
また、認知症(疑い)の方の逆走事案では、ヒアリング結果から新たに得られた知見はなかったとのこと。

複数回の逆走事案が発生している箇所の分析

これまでの取組内容と今後の対策について
高速道路の逆走対策のこれまでの取組内容と今後の対策として、全国統一的な基本的対策は以下の4つとなっています。
- 分合流・出入口部への対策
- 料金所プラザ部への対策
- 高速道路と一般道との接続部への対策
- 特別転回制度の案内強化対策
2014年より全IC等で全国統一的な基本的対策を開始し、2024年12月時点で約98%のIC等で完了。しかしながら、いまだに逆走事案件数が年間200件程度で推移していることを受け、対策の強化を必要とする「重点対策箇所」を全国189施設選定し、これまでの公募で効果の確認された技術を活用しさらなる対策を実施していくとのこと。

重点対策箇所は、
- 基本的対策後も重大事故発生(34施設)
- 基本的対策後も複数回逆走発生(82施設)
- 平面交差構造(85施設)
とし、視覚的対策だけでなく、公募で効果の確認された物理的対策を中心に、さらなる対策を実施するとのこと。

対策のスケジュールとして、2025年秋頃に高速道路会社にて「重点対策実施計画」の公表を行い、概ね2028年度内に対策が完了とする案が出ていました。

新たな技術(公募技術)の活用
道路管理用カメラによる逆走検知・警告技術については、19技術の応募があり、17技術を選定。車載機器逆走検知・警告技術については2技術の応募があり、2技術を選定したとのこと。

新規公募技術の今後の進め方としては、今回選定した技術について2025年秋から実証実験を開始し、2026年度に技術の評価を行い、順次実装していくとのこと。

逆走防止に関する警察の取組
警察庁にて実施している逆走防止に関する取組が紹介されていました。

今後のスケジュール
今後のスケジュールとしては、2029年までに有識者委員会を適宜実施しながら、「2029年までに逆走による重大事故ゼロ」の目標達成へ取り組むとのこと。
「2029年まで逆走による重大事故ゼロ」 というのは、なかなか高いハードルかと思いますが、よりよい高速道路のために利用者としては、達成されることを願っております。
最後まで読んで頂き、誠にありがとうございました。