ETCカードをご利用のみなさま、こんにちは。

今回は、EUにおける高速道路の「乗用車」と「大型貨物車」に対する課金状況についてご紹介したいと思います。

欧州では、どのように高速道路が整備されてきたかで大きく2つに分かれています。イギリス、ドイツは、主に無料で高速道路が整備されてきましたが、フランス、イタリア、スペインは、主に有料で高速道路が整備されてきました。

そのため「乗用車」に関しては、イギリス、ドイツ、ポーランドや北欧などは高速道路の料金は無料となっています。

しかし「大型貨物車」は無料ではありません。一部の地域を除き、上記のような乗用車の高速道路利用が無料の国でも「大型貨物車」に対しては課金をしている国が多くなっています。

国土交通省資料より

上記が、2023年9月時点での状況ですが、以前は無料だった国もこの20~30年で有料化へと推移しており、課金方式も「定額」から「対距離制」へ移行する国が増えています。

国土交通省資料より

なぜこういうことになっているかと言いますと、1999年に制定された「大型貨物車課金に関するEU指令」があるからです。

大型貨物車課金に関するEU指令」とは、国境をまたがって長距離の移動をすることが多い大型貨物車を対象に、インフラ利用に関する負担の公正の観点から、一般的な道路インフラ課金に関するルールを制定したものです。

その後「EU指令」は改定を重ね、大気汚染・騒音に関する課金が可能になったり、大型車以外の車両を課金対象にすることが可能になりました。

そして、2022年の改定により、

2026年3月25日からは、大気汚染の外部費用を料金に反映させることが「義務化」されました

大型貨物車課金に関するEU指令の概要

  • 大型貨物車両は、他の交通機関に比べて、インフラ費用の負担が少なく、環境への負荷も大きいことから、「原因者負担の原則」等の考え方に基づき、適切な課金制度を適用できる
  • 料金の水準は当該道路網の建設費、維持管理費により決定する
  • 加盟国は、環境負荷の軽減、混雑の緩和、道路の損耗の最小化等を図るため、大気汚染・騒音の基準または時間帯に応じて料金の料率を変化させることができる

ドイツでは、CO2低排出車両への移行推進のため、2023年末からCO2排出量に対しての課金が追加される予定となっています。

この大気汚染の外部費用に関して高速道路料金への反映が日本でも始まる可能性を感じるEUの動きとなっているので、今後とも動きには注目したいと思います。

最後まで読んで頂き、誠にありがとうございました。