ETCカードをご利用のみなさま、こんにちは。
今回は、国土交通省にてトラック運送業の「標準的な運賃」及び「標準運送約款」に係る見直しが進められているということについてご紹介したいと思います。
2023年6月2日に「我が国の物流の革新に関する関係閣僚会議」で決定された「物流革新に向けた政策パッケージ」にて、トラック運送業の「標準的な運賃」及び「標準運送約款」は2023年中に所要の見直しを図ることとされていました。
【2023年6月2日】「2024年問題」への対策として「物流革新に向けた政策パッケージ」が決定されました。
そのような状況の中で、国土交通省は「標準的な運賃・標準運送約款の見直しに向けた検討会」を立ち上げ、トラック運送業の「標準的な運賃」及び「標準運送約款」に係る見直しの論点整理と方向性について、有識者を交え議論しました。
それが「標準的な運賃・標準運送約款の見直しに向けた検討会」です。
ここでは、荷待ち・荷役に係る費用、燃料高騰分、下請けに発注する際の手数料等も含めて、荷主企業に適正に価格転嫁できるように「標準運送約款」や「標準的な運賃」についての議論が行われました。
スケジュールとしては、3回の検討会を行い、2023年12月に提言を取りまとめ、その上で「標準運送約款」および「標準的な運賃」を改正することになっています。
「標準的な運賃」に関する主な論点は以下の通りです。
「標準運送約款」に関する主な論点は以下の通りです。
- 今回の改正が全てうまく機能すれば、抜本的に変わっていく印象を持っている。積込・取卸、附帯業務料金について、手積みからフォークリフトへうまく誘導していくように設定できるのが望ましい。
- 契約にない積込・取卸、附帯業務、待機時間の料金を後付けで請求できるように約款を改正できると望ましい。
- これまで運送以外のサービスについて、契約条件が明確化されていなかったことから、優越的な立場にある荷主がいいように使いうる側面があるので、明確化は非常に重要。書面化も進める必要があるのではないか。
- トラックGメンが荷主に対して緊張感を与えている。一方で、真面目にやっているにもかかわらず身に覚えのないことまでGメンの働きかけの対象にされる不安があると聞く。このため、積込・取卸、附帯業務、待機時間については明確に設定していく必要があるのではないか。
- 荷役作業において、より安全で、短時間で、少ない人手で進める方向に誘導できる単価の設定を検討することが望ましい。
などの意見が出ています。
そして、提言を取りまとめる大事な3回目の検討会が、2023年12月7日に開催された結果、大きく3点の提言がとりまとめられました。
1.荷主等への適正な転嫁
- 平均約8%の運賃引上げ(運賃表改定)
- 燃料費120円、燃料サーチャージ120円(基準価格設定)
- 荷待ち・荷役等の対価について標準的な水準提示(積込料・取卸料)
- 荷待ち・荷役が2時間を超えた場合、割増率5割加算(運賃)
- 運送と運送以外の業務を分離し対価を収受する旨明記(標準運送約款)
- 有料道路利用料を個別に明記(運賃、約款)
2.多重下請構造の是正等
- 下請け手数料(運賃の10%)を設定
- 元請は荷主に実運送事業者の商号・名称を通知することを明記(約款)
- 荷主・運送事業者は運賃・料金を記載した電子書面を交付することを明記
3.多様な運賃・料金設定等
- 個建運賃を設定(共同輸配送等を念頭に)
- 速達割増や有料道路を使用しないことによる割増を設定(運賃)
- 5車種の特殊車両割増を追加(運賃)
- 中心手数料の請求開始可能時期、金額を見直し(約款)
- 運賃・料金のインターネットによる公表を可能に(約款)
この提言を踏まえ、今後、運輸審議会への諮問、パブリックコメントを経て、「標準的な運賃」ならびに「標準運送約款」は見直されることになります。
本提言では、最後に以下のようにとりまとめられておりました。
トラック運送業における現行の不公正な商習慣を打破し、取引環境の適正化の早急な実現に向けて、こうした、トラック事業者の積極的な取組が加速化することを期待する。政府としては、見直し後の「標準的な運賃」及び「標準運送約款」が十分に活用されるよう、その改正趣旨や、具体的な活用事例等について、トラック事業者や荷主等に対し、周知・浸透を図るべきである。
最後まで読んで頂き、誠にありがとうございました。