ETCカードをご利用のみなさま、こんにちは。

2024年7月12日にNEXCO3社から2024年度中に見直し予定の高速道路における「深夜割引(NEXCO)」の最新情報が公開されたのでご紹介したいと思います。

2024年7月12日発表のNEXCO3社のプレスリリースより

今までは、見直しのタイミングは「2024年度中」としか発表されていませんでしたが、

令和6年度末頃(2024年度末頃)に開始予定

となりました。開始時期がほぼ固まったようです。

今回ご紹介するのは、NEXCO東/中/西日本が管理する高速道路等を対象にしている「深夜割引」で、首都高速、阪神高速の「深夜割引」とはまったく別なのでご注意ください。

※ 「深夜割引が廃止される」という誤解をされている方がいらっしゃるかもしれませんが、「廃止」ではなく、あくまで「見直し」となっております。

現行の「深夜割引」の概要

 ・深夜割引の適用時間帯は0時から翌4時まで
 ・適用時間帯に少しでもかかれば出入口間の全体走行が割引対象
 ・割引対象走行に対して30%割引

なぜ「深夜割引」を見直すのか?

現行の「深夜割引」は、適用時間帯に少しでも高速道路を走っていれば出入口間の全体走行が割引対象となることから、首都圏や近畿圏の本線料金所において「深夜割引適用待ちの車両滞留が発生する」という状況がうまれました。

原因は、道路公団民営化時の割引制度導入にあたり、当時の料金徴収技術により実現可能な制度とせざるを得なかったからですが、これを問題視した国土交通省の有識者会議(国土幹線道路部会)により、2021年8月に「中間答申」にて見直しの方針が示されることになりました。

「深夜割引」の見直しのポイント

2024年7月時点で国土交通省ならびにNEXCO3社から示されている「深夜割引」の見直しの概要は以下の通りとなっています。

 ・深夜割引の適用時間帯に走行した分のみ(30%割引)
 ・深夜割引の適用時間帯を22時から翌5時に拡大
 ・長距離利用者の負担軽減として、400km超の長期距離逓減を拡充

 ・割引対象距離の上限設定(速度制限、連続運転時間制限)
 ・深夜割引の「後日還元型」の制度へ変更
 ・激変緩和措置(5年程度)← 今回新たに追加された

今回新しく追加された「激変緩和措置(5年程度)」は、

  • 1,000km以上走行した場合
  • 22時台に高速道路を流出した場合

について特別な割引を実施するという内容となっておりました。

NEXCO3社発表のプレスリリースより

より詳しい内容は、以下の道路会社のプレスリリースをご確認ください。

以前、2024年6月1日時点の情報を以下のようにまとめていましたが、

その時に気になっていた 「割引対象距離の上限設定」と「後日還元型への変更」について今回ハッキリしたことがあったのでご紹介しておきたいと思います。

① 割引対象距離の上限設定(制限速度、連続運転時間制限)

2023年11月に国土交通省とNEXCO3社より「深夜割引の見直しにおける無謀な運転の抑止策(案)」 が発表されました。

割引対象距離を増大させることを目的とした「速度超過」などの無謀な運転を抑止するために「制限速度・連続運転時間による上限設定」するとのことで、制限速度は車種によって2つに分ける案となっておりました。

 ・軽・普通・中型車:上限距離は、1時間あたり100km
 ・大型車、特大車:上限距離は、1時間あたり80km

ただし、この案には以下の注意書きがありました。

「物流革命に向けた政策パッケージ」において、高速道路のトラック速度規制(80km/h)の引き上げについて示されており、その内容に応じて変更する場合があります

その後、警察庁の有識者会議である「高速道路における車種別の最高速度の在り方に関する有識者検討会」にて以下の提言がされました。

 ・大型トラック:最高速度を 80km/h から 90km/h へ引き上げ
 ・トレーラ:最高速度を 80km/h のまま据え置き

そして、2024年4月より、大型トラックの最高速度は「90km/h」に引き上げられました。

これを踏まえると、

 ・軽・普通・中型車:上限距離は、1時間あたり100km
 ・大型車:上限距離は、1時間あたり90km
 ・特大車:上限距離は、1時間あたり80km

という3つの区分に分けられる可能性もあるなあと2024年6月時点では考えておりましたが、最終的には、

 ・軽・普通・中型車:上限距離は、1時間あたり105km
 ・大型車、特大車:上限距離は、1時間あたり90km

と2つの区分のままで、1時間あたりの上限距離が変更になりました。

② 後日還元型への変更

2023年1月「高速道路の深夜割引の見直しについて」の資料より

上記の資料にも記載があるように、新しい「深夜割引」は「後日還元型」へ変更されます。

車両毎の割引額を算定するにあたり、上述の理由により一定の処理時間を要することになるため、現行の平日朝夕割引と同様に、「ETCマイレージサービス」または「ETCコーポレートカード」への後日還元型による割引制度に変更となります。

「平日朝夕割引」と同様とあるので、現行の「平日朝夕割引」と同じやり方だと考えると、特にETCクレジットカードやETCパーソナルカードが対象の「ETCマイレージサービス」への影響が大きいなあと2024年6月時点で考えておりましたが、やはり予想通りでした。

現行の「深夜割引」は「休日割引」と同じで「即時割引型」ですが、「後日還元型」となれば、「ETCマイレージサービス」の場合は、一旦、正規の料金を支払った翌月に「無料還元額」の付与という形で割引が実施されることになります。

今回、見直し後の深夜割引について適用例が、ETCクレジットカード(ETCマイレージサービス利用)とETCコーポレートカードのそれぞれで示されていたのでご紹介します。

NEXCO3社発表のプレスリリースより

「ETCマイレージサービス」では、ある月の「平日朝夕割引」が翌月20日に「無料還元額」として付与されますので、「深夜割引」も同じような形で翌月20日に「無料還元額」として付与されるとのこと。

注意点として、ETCクレジットカードの場合、ETCマイレージ登録していないと「深夜割引」が受けられなくなります

明示的には記載されていませんが、非常に大きなポイントだと思います。

「深夜割引」の明細画面も用意されるとなると「ETCマイレージサービス」は大きな変更が入ると思われますが、現時点で「ETCマイレージサービス」の明細画面の詳細などは明らかにされませんでした。

NEXCO3社発表のプレスリリースより

ETCコーポレートカードの場合は、想定通り「平日朝夕割引」と同じなので、明細上の表記はほぼいままでと同じようです。(出口料金所通過時に車載器からは通常料金が案内されるという違いはあります)


今後については、

必要な準備を進め、道路整備特別措置法第3条に基づき国土交通大臣あて申請し、事業許可を受けたうえで、令和6年度末頃に運用を開始する予定、運用開始の具体的な時期についてはあらためてお知らせする

とのこと。

運用開始の具体的な時期が発表されましたら、改めてご紹介したいと思います。

他の割引などが高速道路の料金が2024年にどうなるか?について以下の記事にまとめていますので、参考にしてください。

【2024.04.01時点】2024年4月から「高速道路の割引・料金」がどうなるか?まとめてみました!

最後まで読んで頂き、誠にありがとうございました。