ETCカードをご利用のみなさん、こんにちは!

シリーズでご紹介しております、高速道路の割引(目的・効果・課題・見直し方針)ですが、今回は第4回です!

前回は、

「平日朝夕割引」の目的・効果・課題・見直し方針について

ということで、 現在の「国土幹線道路部会」で検討されている「平日朝夕割引」の論点についてご紹介いたしました。

今回は、現在の「国土幹線道路部会」で検討されている「深夜割引」の論点についてご紹介したいと思います。

第49回国土幹線道路部会の資料を参照します。

第49回国土幹線道路部会の資料から

現在、「国土幹線道路部会」では、新たな料金体系(平成26年全国、平成28年首都圏、平成29年近畿圏)について、定量的な分析・評価を実施し、課題や新たな知見等を整理した上で、今後の料金体系のあり方(料金割引の見直し)について議論されています。

第49回国土幹線道路部会の資料から

深夜割引」の総括が、上記資料にまとめてあります。

深夜割引」 の目的は、一般道路の沿道環境の改善ですが、適用を受けるためにトラックがSA/PAに滞留という課題が発生しており、徐々に割引率を高くすることや、適用時間を22時-5時に拡大すること適用時間帯に走行した距離のみを割引することを検討する必要があるという意見がでています。

その上で、以下の「見直し方針案」が出ています。

割引適用時間帯の走行に対してのみ、割引が適用されるよう適用条件を見直し、割引率を時間帯に応じて段階的に拡大・縮小させることも含めて、適用時間帯を拡大する方向で見直し

ということですね。以下、詳細資料です。

第49回国土幹線道路部会の資料から

高速道路に並行する一般道の沿道環境を改善するために高速道路の利用を促進する目的で「深夜割引」は設定されています。

平成16年に「深夜割引」は、0時-4時に3割引という条件で始まり、途中、22時-0時に3割引、0時-4時を5割引に拡充するなどの段階を経て、現在では、0時-4時に3割引という導入当初と同じ割引条件となっています。

第49回国土幹線道路部会の資料から

「深夜割引」の効果ですが、「深夜割引」設定前の平成16年7月と、令和元年11月を比較して検証していますが、 一般道の夜間の通行量は大幅に減少しており、騒音環境は改善しています。

第49回国土幹線道路部会の資料から

深夜割引」の政策効果としては、一定の効果があったと評価されています。

第49回国土幹線道路部会の資料から

深夜割引」の課題ですが、こちらは以前からかなり問題となっていますが、割引適用を受けるために、0時前に料金所手前で車両が滞留し、走行車線を閉塞するという問題が発生しています。

資料からは、0時をまたいで料金所を通過する台数が急増していることがわかります。東名自動車道の東京本線料金所がもっとも多くの滞留が発生していますが、他にも関越道の新座本線料金所東北道の浦和本線料金所名神自動車道の名神吹田ICなどでも路肩駐車が発生しています。

第49回国土幹線道路部会の資料から

また、上記資料からは、東京近郊の高速道路では、深夜割引適用時間の前後時間帯でも渋滞損失が発生していることがわかります。

渋滞損失とは、ある区間を自動車で走行する際に要する基準旅行時間から実際の旅行時間を引いた時間を意味します。

国土幹線道路部会」では、上記の「深夜割引」の論点 について議論・検討しながら、料金の見直しの審議をしている状況です。

次回は、現在の「国土幹線道路部会」で検討されている 「休日割引」の論点 についてご紹介できればと考えております。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

(追記)

社会資本整備審議会道路分科会国土幹線道路部会」における「持続可能な高速道路システムの構築に向けた制度等のあり方について」について『中間答申』がとりまとめられ、国土交通省から公表されました。

「国土幹線道路部会」にて「中間答申」がとりまとめられました – 2021/08/04