ETCカードをご利用のみなさま、こんにちは。
今回は、2024年10月時点での「物流の2024年問題」について国土交通省がとりまとめた資料がありましたのでご紹介したいと思います。
内容としては、以下のようになっています。
1.トラック運送事業の働き方をめぐる現状
2.「物流の2024年問題」とは?
3.物流革新に向けた政府の動き
4.荷主・物流事業者に対する規制的措置
5.トラック事業者の取引に対する規制的措置
では、まずは「トラック運送事業の働き方をめぐる現状」からご紹介します。

トラック運送事業に関して大きく4つの特徴があげられています。
- 全職業平均より労働時間が約2割長い
- 全産業平均より年間賃金が5~15%低い
- 全職業平均より有効求人倍率が約2倍高い
- 全産業平均より中年層の割合が高い

長時間労働、低賃金、慢性的な担い手不足、若手ドライバー不足といったトラック業界の構造的課題がある現状の中、2024年4月から働き方改革として時間外労働の上限規制の適用、改善基準告示の見直しがあり、このまま何も対策を講じなければ、ドライバーの年収低下と2030年度には約34%の輸送能力不足となるといったモノが運べなくなるおそれが出てくるというのが「物流の2024年問題」です。

「物流の2024年問題」に対して政府は、2023年6月に物流革新に向けた政策パッケージを策定した後、さまざまな取り組みが行われています。
こうした中、流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律及び貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律(令和6年法律第23号)が第213回通常国会で成立し、2024年5月15日に公布されました。
この法律改正により、以下の2点の規制強化がはかられることになりました。
- 荷主・物流事業者に対する規制
- トラック事業者の取引に対する規制
荷主・物流事業者に対する規制

- 荷主・物流事業者に対し、物流効率化のために取り組むべき措置について努力義務を課し、当該措置について国が判断基準を策定。
- 上記取組状況について、国が判断基準に基づき指導・助言、調査・公表を実施。
- 上記事業者のうち、一定規模以上のものを特定事業者として指定し、中長期計画の作成や定期報告等を義務付け、中長期計画に基づく取組の実施状況が不十分の場合、勧告・命令を実施。
- さらに、特定事業者のうち荷主には物流統括管理者の選任を義務付け。
- ※法律の名称を「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律」から「物資の流通の効率化に関する法律」に変更
トラック事業者の取引に対する規制

- 元請事業者に対し、実運送事業者の名称等を記載した実運送体制管理簿の作成を義務付け。
- 荷主・トラック事業者・利用運送事業者に対し、運送契約の締結等に際して、提供する役務の内容やその対価(附帯業務料、燃料サーチャージ等を含む。)等について記載した書面による交付等を義務付け。
- トラック事業者・利用運送事業者に対し、他の事業者の運送の利用(=下請けに出す行為)の適正化について努力義務を課すとともに、一定規模以上の事業者に対し、当該適正化に関する管理規程の作成、責任者の選任を義務付け。
物流の2024年問題に対しては、政府はさまざまな施策を実施しています。
荷主への監視強化のための「トラックGメン」を設置したり、標準的な運賃、標準運送約款の改正で「運賃引上げ」、「下請け手数料の設置」をしたり、大型トラックの「最高速度を90km/hへ」あげたり、「遠隔点呼」、「自動点呼」を行うために規制緩和を行ったり、「価格交渉に関する相談窓口」を設けたり、様々なことを実施して本気度が伺えます。
今後の動向にさらに注目です。