ETCカードをご利用のみなさま、こんにちは。

近年、日本の物流業界にて長時間労働、厳しい取引環境、人手不足など課題が深刻化していることはニュースなどでご存じのことかと思います。

いわゆる、「物流の2024年問題」です。

残業時間規制及び拘束時間規制による物流への影響が懸念されています。特に長距離輸送においては、これまでと同じ運行方法では改善基準告示違反となる場合があります。

この問題に対処するために政府は、2023年6月2日に「物流革新に向けた政策パッケージ」を決定しました。今回は、具体的な施策としての「物流DX」の課題と今後の取り組みについてご紹介したいと思います。

物流DX とは?

「物流DX」とは、機械化・デジタル化を通じて物流のこれまでのあり方を変革することと、国土交通省では定義しています。

具体的な施策としては、「自動運転車用レーンの設定など自動運転トラックの実用化に向けた対応」や「高速道路上の車道以外の用地や地下を活用した物流専用の自動輸送の調査」などがあがっています。

自動運転」に関しては、岸田内閣において「デジタル田園都市国家構想総合戦略」の中で以下のような目標が定められています。

第23回物流小委員会資料より

自動運転トラック実用化の課題

トラック自動運転を実現するためには、車両単独ではなく「路車協調による取組」が不可欠とされています。

そのため、物流事業者のニーズと自動運転技術の開発動向が合致した無人自動走行の走行環境の条件(ODD)を設定し、ドライバー負担の軽減を含め、段階的に実現・拡大していくアプローチが必要と政府は考えています。

第23回物流小委員会資料より

設定したODD内での自動運転トラックの実現に向け、経済産業省や国土交通省と連携し、車両単独では対応困難なリスクを明確化し、路車連携による課題解決の可能性を検討することが求められています。

政府は、自動運転トラックの開発・検討状況や国土技術政策総合研究所や自動車メーカー等が取り組んでいる官民共同研究の進捗状況を踏まえ、支援内容を決めていくとのこと。

第23回物流小委員会資料より

現在、レベル4自動運転トラックを対象に、合流支援情報、落下物情報や工事規制情報の提供について実証実験を実施し、道路インフラによる「路車協調システム」を整備・検証しています。

また2024年度には、新東名の約100kmにおいて、深夜時間帯に自動運転車用レーンを設定し、自動運転トラックの運行を支援する予定となっています。

第23回物流小委員会資料より

自動運転トラックを含め自動運転車両の拠点整備やEV充電施設の整備の促進など、高速道路SA・PAにおける機能高度化も必要となっており、機能高度化に伴う整備費用の一部を国からの補助金を財源として支援を行う予定とのこと。

第23回物流小委員会資料より

物流専用の自動輸送の調査

物流DX」の1つとして、政府は、高速道路上の車道以外の用地や地下を活用した物流専用の自動輸送を模索しています。

国外ではすでに物流専用の自動輸送システムが計画され、新技術を活用した物流形態が将来的に現実のものになろうとしています。

以下は、「スイスの地下物流システム」の事例です。

第23回物流小委員会資料より
第23回物流小委員会資料より

以下は、「イギリスの完全自動運転による物流システム」の事例です。

第23回物流小委員会資料より

過去に日本でも新技術を活用した新たな物流形態について検討しています。以下は、首都圏の大深度地下空間に物流トンネルを構築し、国際海上コンテナ専用鉄道を運行させる構想について、可能性の調査・検討事例です。

第23回物流小委員会資料より

以下は、都市内は地下空間を活用し、都市間は自動車専用道路の中央分離帯を活用した専用道を自動走行する車両を運行させる物流形態の検討事例です。

第23回物流小委員会資料より

今回は、「物流の2024年問題の具体的な施策としての「物流DX」の課題と今後の取り組みについてご紹介しました。

いくつか課題はありますが「物流DX」は、物流の効率化への影響が非常に大きいので、推進されることを期待しています。

最後まで読んで頂き、誠にありがとうございました。