ETCカードをご利用のみなさま、こんにちは。
今回は、2025年01月15日に、高速道路の料金・割引に関する検討を行う有識者会議である「第67回国土幹線道路部会」が開催されましたので、内容をご紹介したいと思います。
前回の「第66回国土幹線道路部会」が開催されたのが、2024年8月28日でした。内容は以下でご紹介いたしました。
今回は、「高速道路料金」について議論されました。
アジェンダは以下となっています。
今回の国土幹線道路部会は、「高速料金を見直して柔軟な料金体系に転換する」ことを目指しての検討となります。道路局長から部会のアジェンダに関した説明があり、その後、報告と議論に進みました。
関係団体へのヒアリング(NEXCO3社)

NEXCO3社から渋滞や混雑緩和に対応するための「交通の円滑化」に対する取組みについて説明・報告がありました。
NEXCO3社からの報告内容

- 渋滞量は平成21年頃に大きく増加し、その後横ばいで推移
- 各都市圏の高速道路においては、新規路線の開通などネットワーク形成が進捗する一方で、依然として、交通集中による渋滞が発生。4・6車線化等に取り組んでいるが整備には時間と費用が必要
- リアルタイムな道路情報や渋滞予測情報を提供し、交通の分散や渋滞の緩和に寄与
- 高速道路ネットワークの機能を長期にわたって健全に保つために特定更新等工事(リニューアル工事)を推進
- 交通規制に伴う社会的な影響をできる限り軽減する取り組みを実施
- 周遊パスを各エリアに設定し、平日利用の割引率を拡大することで休日利用を分散する取組みを実施
- 多様化する勤務形態への対応や高速道路内の交通分散を図ることを目的として、平日朝夕割引の見直しに向けた更なる試行・検証を実施中
- 東京湾アクアライン(上り線)において、休日に激しい混雑が発生していたことから、ETC時間帯別料金、いわゆる時間変動料金を社会実験として実施、実験開始後、アクアラインの交通量は増加、土日ピーク時間帯の通過所要時間は約5分減少
- 令和7年4月より、上り線はより料金差をつけた料金設定に変更し、下り線でも新たに試行

NEXCOから、システム運用を止めることがないように継ぎはぎの改修を行ってきたが、更なる施策への対応には現行のシステムの改修だけでは限界で、特定のベンダーに頼っていることも改善し、将来的に多様な料金政策を短時間に対応するために
ベンダーフリー・オープンスタンダードを基本に、整備されたフリーフローアンテナで経路を把握する新しい料金システム(システム刷新)の大規模開発に着手中
とのことでした。
また、システムの「セキュリティ対策」としては、社内に閉じたシステムであり、外部から遮断しているため料金計算などの「基幹システム」へのサイバー攻撃は過去になかったが、ユーザーへ公開している「利用照会サービス」にはサイバー攻撃が1度顕在化したことがあるが、すでに対策済みとのこと。
混雑等に応じた柔軟な料金について

1.高速道路における混雑の状況
- 3大都市圏や主要都市間を結ぶ路線などを中心に全国各地で渋滞が発生
- 全国のほとんどの箇所で、小型車は、休日の交通量が平日の交通量より多くなっている一方で、大型車は、平日の交通量が休日の交通量を上回っており、利用状況に差がみられる
- 休日のトリップ目的は、買い物や観光などの私事利用が主たる利用目的となっている
- 平日のトリップ目的は、業務や通勤、通学など他律的な利用目的が多くなっている
- 高速道路利用者の利用目的別のトリップ長には、差がみられる
- 休日においては、大都市圏と主要都市を結ぶ路線などにおいて、渋滞の発生が顕著
- 首都圏の一部路線では、一定量の業務利用も存在し、慢性的な渋滞が発生
- 平日においては、特に三大都市圏やその周辺(環状道路含む)において、渋滞の発生が顕著
- 地方部においても、朝夕時間に通勤・帰宅利用が集中し、渋滞が発生
- 主に観光利用の交通集中による渋滞のうち、一部の路線や区間では、冬季や夏季などの特定時期において、観光需要が増加し、渋滞が顕著にみられる
2.観光需要の平準化に向けた料金割引の見直し

令和7年度からは、
3連休等を適用除外日に追加する等、休日と平日のバランスの見直しを引き続き検討
とのことでした。
連休後の土日の交通量と比較した場合、
- GW・お盆・年末年始は、約1.4倍
- シルバーウイークは、約1.3倍
- それ以外の3連休は、約1.2倍
となっており、休日割引の適用除外をより拡大する方針とのこと。

休日割引の適用除外により渋滞が微減している結果が出ているようです。
3.東京湾アクアラインにおける料金施策について

現状の時間帯別料金
現在、「東京湾アクアライン」は、2023年7月22日から社会実験として「料金変動制」が実施されており、概要は以下の通りとなっています。
対象車両:ETC車(全車種)
対象道路:上り線(川崎方面)
対象日:休日(土曜、日曜、祝日)
料金:以下、普通車の場合
00時~13時: 800円(通常時)
13時~20時:1,200円(混雑時)
20時~24時: 600円(非混雑時)
現在の料金における交通状況の課題
- アクアラインの交通量は増加しているものの、13時~20時の交通が前後の時間に分散し、最大損失時間が減少するなど、混雑の緩和に一定の効果が確認されたところであるが、依然として13時~19時に交通が集中
- 交通分散の効果の鈍化が継続しており、社会実験開始直後と比較して、所要時間や最大渋滞長の短縮といった効果が減少
- 土日・祝日の下り線(木更津方面)では、5時~7時に交通が集中。川崎浮島JCTから木更津JCTまでの通過所要時間は、土曜日の7時台に最大25分
今後の対応方針
令和7年度からは、以下の対応を実施するとのこと
1.新たな料金体系の設定
2.認知度向上の施策の導入
3.行動変容の施策の導入
新たな時間帯別料金

対象車両:ETC車(全車種)
対象道路:上り線(川崎方面)
対象日:休日(土曜、日曜、祝日)
料金:以下、普通車の場合
04時~13時、19時~20時: 800円(通常時)
13時~19時:1,600円(混雑時)
20時~04時: 400円(非混雑時)
対象車両:ETC車(全車種)
対象道路:下り線(木更津方面)
対象日:休日(土曜、日曜、祝日)
料金:以下、普通車の場合
04時~05時、07時~24時: 800円(通常時)
05時~07時:1,000円(混雑時)
00時~04時: 400円(非混雑時)


4.混雑緩和等を目的とした料金施策の先行事例

以下の「ニューヨークのエリア課金」については注視していくとのこと。
5.今後の進め方

論点整理(案)

高速道路料金の車種区分について

車の諸元が30年前に比べて大きく変化しているため、最新のデータにアップデートした上で試算したとのこと。
その上で、「将来の車種別料金のあり方」について以下の観点からの説明がありました。
- ETC専用化の拡大
- 車両の変化
- 更新費の増大

車種ではなく、車ごとに車種別料金を設定することの可能性があるとのこと。



車両のタイプごとに道路へ与える影響についても研究が進んでいるので、原因者負担への考慮をできる可能性があるとのこと。


委員からの意見
主な委員からの意見をご紹介します。









委員からの意見が出きったところで、朝倉部会長がとりまとめて、閉会となりました。
最後までご覧いただきありがとうございました。