ETCカードをご利用のみなさま、こんにちは。
今回は、2024年05月16日に、高速道路の料金・割引に関する検討を行う有識者会議である「第64回国土幹線道路部会」が開催されましたので、内容をご紹介したいと思います。
前回の「第63回国土幹線道路部会」が開催されたのが、2024年3月5日でした。内容は以下でご紹介いたしました。
【2024年3月5日】高速道路の料金・割引に関する検討を行う有識者会議である「第63回国土幹線道路部会」が開催されました!
今回のアジェンダは以下となっています。
・能登半島地震を踏まえた広域道路ネットワークのあり方について
今回は、高速道路の通行料金や割引、ETCに関する議論はありませんでした。
道路局長から部会のアジェンダに関した説明があり、その後、事務局からアジェンダに沿った説明と委員との議論に進みました。
令和6年能登半島地震による被害と課題
今回の能登半島地震では、
通行止めとなった「能越自動車道」以外に規格の高い道路がなく、大型車による効率的な支援活動が困難になるなど、三方が海に囲まれた能登半島の道路ネットワークの課題が浮き彫りとなりました。

産学官の関係者へヒアリング
能登半島地震を踏まえた今後の広域道路ネットワークのあり方等について、
能登半島地域の産学官を始めとする関係者へ個別にヒアリングした調査結果が報告されました。
関係者へは、北陸地方整備局からヒアリングしたとのこと。
主なヒアリング項目は以下となっています。
- 能登半島地震の教訓と課題
- 道路啓開における関係機関との連携
- 災害時の拠点に求められる機能
- 地域の経済活動を支える道路の役割
- 今後の復旧・復興を見据えた後の広域道路ネットワークのあり方
ヒアリング結果をざっとまとめると
行政機関からは、
「既存道路の復旧だけでなく幹線道路の4車線化の整備」
産業界からは、
「幹線道路の4車線化と迂回路の整備」
を求める声が多くありました。
有識者からは、
「正反対の2つの意見」が出されておりました。
交通工学の専門家からは「将来の自動運転を見据えた道路規格を踏まえ線形の改良や4車線化の整備」の意見があり、財政学の専門家からは「コンパクトなまちづくりを検討し、限りある財源を集中投資すべし」との意見がありました。
以下、ヒアリング結果の資料です。




道路構造物の技術基準の方向性
今回の能登半島地震を踏まえた道路構造物(橋梁、土工、トンネル)の技術基準の方向性について国土交通省から報告がありました。
こちらは、別の有識者会議である「道路技術小委員会」で進められている議論をとりまとめたものでした。

概ね現時点では、「道路構造物の技術基準の変更の必要はない」ということかと思われます。
「緊急提言」の骨子と今後の進め方
今回の議論を経て、
2024年6月頃に「令和6年能登半島地震を踏まえた緊急提言」を発表する予定
とのことで、その骨子となる「たたき台」が提出されました。
この緊急提言の目的は、
能登半島地震の経験を踏まえ、現時点における一定の知見のとりまとめ
とのことで、「現時点の総括と教訓」と「今後の道路政策への提言」からなるものとするようです。
以下、その「たたき台」と「今後の進め方」の資料です。



委員からの意見
主な委員からの意見をご紹介します。









本部会を傍聴した感想としては、道路ネットワークの整備には時間がかかるので、短期間でできる「道の駅」の機能強化はありかもしれないと思いました。
とはいえ、幹線道路が被災すると材料が運べず復旧・復興が遅れるので、まずは幹線道路を重点的に強靭化するのがいいのかもしれないですね。
また今回のように、携帯がつながりにくいなど状況把握ができない状況で被災地域が孤立した場合に備え、ネットワークに依存しない資源の確保が重要であり、通信に関してはスターリンクなどの衛星通信の活用などの環境整備が必要なのかもしれないと思いました。
あとは、今回の経験を踏まえ「緊急時の交通マネジメントの知見」があれば、提言に含めると良いんじゃないでしょうか。
最後までご覧いただきありがとうございました。