ETCカードをご利用のみなさま、こんにちは。

首都高速は、2026年10月に料金改定を予定していますが、それを前にして、2026年7月9日、首都高速道路株式会社は、
「道路運送事業(中型車以上)における価格転嫁に向けた環境整備に伴う当面の特別措置案」 を公表しました。

首都高速のプレスリリースより

今回の資料では、中型車以上について、2026年10月から2027年6月末までの9カ月間、料金を据え置く案が示されています。

しかし、協同組合やETCコーポレートカードの実務担当者にとって、より大きなポイントは別にあります。

それは、

首都高速の大口・多頻度割引のうち、「大口割引(契約単位割引)」が、将来的に10%から5%、さらに2031年4月以降は0%になる予定として示されたこと

です。

これは、協同組合にとって非常に大きなインパクトがあります。

今回は、首都高速の今回の特別措置案について、特に「大口割引(契約単位割引)」への影響を中心に解説します。

今回の特別措置案とは?

まず、今回の特別措置案の全体像を確認します。

首都高速は、2026年10月に料金改定を予定しています。背景には、維持管理コストの上昇や、今後も安全・安心な道路サービスを提供するための財源確保があります。

一方で、物流業界では、燃料費・人件費・高速道路料金などのコスト上昇を、荷主や顧客へ適正に価格転嫁していくことが重要な課題となっています。

そのため首都高速は、今回、中型車以上を対象に、顧客への価格転嫁の環境整備が進むと想定される2027年6月まで、料金を据え置く案を示しました。

つまり、今回の「特別措置案」は、

  • 中型車以上の料金を9カ月間据え置く
  • その代わり、後年度に大口・多頻度割引を一部縮小する

という内容です。

中型車以上は9カ月間、料金据え置き

通常であれば、2026年10月から首都高速の料金は改定されます。

しかし今回の特別措置案では、

中型車・大型車・特大車について、2026年10月から2027年6月末までの9カ月間、現行料金に据え置かれます。

具体的には、以下のようになります。

車種現行料金2026年10月〜2027年6月末2027年7月以降予定
軽・二輪280円〜1,590円280円〜1,740円280円〜1,740円
普通車300円〜1,950円300円〜2,130円300円〜2,130円
中型車330円〜2,310円330円〜2,310円
(据え置き)
330円〜2,520円
大型車400円〜3,110円400円〜3,110円
(据え置き)
400円〜3,410円
特大車550円〜5,080円550円〜5,080円
(据え置き)
550円〜5,570円

軽・二輪、普通車は予定通り新料金になりますが、中型車以上は9カ月間だけ現行料金に据え置かれる形です。

首都高速のプレスリリースより

運送会社にとっては、2026年10月からすぐに首都高料金が上がるのではなく、2027年6月末まで猶予ができることになります。

ただし、ここだけを見ると「中型車以上に配慮した措置」に見えますが、重要なのはその後です。

本当に重要なのは「大口割引」の縮小

今回の資料で特に注目すべきなのは、後年度における大口・多頻度割引の見直しです。

首都高速の大口・多頻度割引は、これまで最大45%の割引率が示されてきました。

しかし今回の資料では、

中型車以上について、2030年7月から2031年3月末までの9カ月間、大口・多頻度割引の最大割引率を45%から25%へ縮小する案が示されています。

さらに重要なのが、2031年4月以降です。

今回の表では、2031年4月以降の大口・多頻度割引について、以下のように示されています。

時期契約単位割引、いわゆる大口割引合計最大割引率
2026年10月〜2030年6月末10%最大45%
2030年7月〜2031年3月末5%最大25%
2031年4月以降0%最大12%

つまり、大口割引(契約単位割引)は、10%から5%へ縮小され、その後0%になる予定として示されたことになります。

これは非常に大きな変更です。

首都高速のプレスリリースより

「大口・多頻度割引がなくなる」わけではない

ここで注意が必要です。

2031年4月以降に、首都高速の大口・多頻度割引が完全になくなるわけではありません。

資料上は、2031年4月以降も、車両単位割引は最大12%残る形で示されています。

ただし、協同組合にとって重要な「契約単位割引」、いわゆる大口割引部分は0%になります。

この違いは非常に重要です。

整理すると、次のようになります。

  • 車両単位割引:車両ごとの利用額に応じた割引
  • 契約単位割引:契約者全体の利用額に応じた割引
  • 協同組合にとって特に重要なのは、契約単位割引

つまり、2031年4月以降も「多頻度利用に対する割引」は残る可能性があります。

しかし、協同組合全体の利用額に応じて適用される大口割引部分は0%になる予定です。

協同組合にとってなぜ影響が大きいのか

協同組合がETCコーポレートカードを取り扱う場合、多くの組合員の利用をまとめることで、スケールメリットを生み出しています。

その中で、契約単位割引は重要な意味を持ちます。

契約単位割引は、一定の条件を満たす契約者に対して適用される割引で、今回の資料では、

月間利用額が100万円を超え、かつ自動車1台あたり平均利用額が5千円を超える場合

に適用されるものとして示されています。

この契約単位割引が10%から5%、そして0%になるということは、協同組合にとって次のような影響が考えられます。

影響① 組合全体でまとめるメリットが小さくなる

協同組合が多くの組合員のETC利用をまとめることには、管理面・信用面・精算面など、さまざまな意味があります。

しかし、割引制度の面では、契約単位割引が大きな要素の一つでした。

その契約単位割引が縮小・終了していく場合、単純に考えると、組合全体でまとめることによる割引メリットは小さくなります。

これは、協同組合のETCカード事業にとって、非常に重要な論点です。

影響② 組合員への説明が必要になる

2030年7月以降、中型車以上については、大口・多頻度割引の最大割引率が45%から25%へ縮小される予定です。

さらに2031年4月以降は、全車種で最大12%になる形が示されています。

この変更は、組合員にとっても分かりにくい内容です。

特に、

  • なぜ2026年10月からすぐに値上げされないのか
  • なぜ2030年7月から割引が小さくなるのか
  • なぜ2031年4月以降は大口割引が0%になるのか
  • 大口・多頻度割引全体は残るのか、なくなるのか

といった点について、丁寧な説明が必要になります。

影響③ 精算・請求・システム対応が必要になる可能性

協同組合では、ETCカードの利用明細、割引計算、組合員への請求、割引還元などを独自に管理しているケースもあります。

今後、首都高速の割引体系が変わる場合、

  • 割引率の変更
  • 車種ごとの適用期間の違い
  • 中型車以上だけの一時的な特別措置
  • 2030年7月から2031年3月末までの9カ月間だけの縮小
  • 2031年4月以降の契約単位割引0%

などを正確に管理する必要があります。

特に、Excelで管理している場合や、属人的に請求業務を行っている場合は、制度変更への対応負荷が高まる可能性があります。

価格転嫁の観点ではどう見るべきか

今回の特別措置案は、単に運送会社を優遇するものではありません。

資料では、道路運送事業は国民生活を支える重要なインフラであり、顧客への価格転嫁の重要性を踏まえて、料金据え置きと後年度の割引縮小を組み合わせる考え方が示されています。

つまり、今回の措置は、

価格転嫁が進むまでの間は負担増を抑える
その後、環境整備が進んだ時期に割引を見直す

という時間軸で設計されています。

運送会社にとっては、2027年6月末までの間に、首都高料金を含むコスト上昇分を荷主や顧客へどう説明し、どのように価格転嫁していくかが重要になります。

まだ正式決定ではない点に注意

今回の内容は、あくまで「特別措置案」です。

資料では、国民から意見を伺った後、国土交通大臣への届出等の手続きを実施するとされています。

したがって、現時点では確定事項ではありません。

ただし、首都高速が公式資料の中で、2031年4月以降の契約単位割引0%を表で示したことは、協同組合やETCカード利用者にとって大きな意味があります

今後の制度変更を見越して、早めに情報を把握しておく必要があります。

まとめ

今回の首都高速の特別措置案は、表面的には「中型車以上の料金を9カ月間据え置く」という内容です。

しかし、協同組合やETCコーポレートカードの実務担当者にとって本当に重要なのは、大口割引(契約単位割引)が将来的に縮小・終了する可能性が示されたことです。

首都高速のプレスリリースより

今回の資料では、

  • 2026年10月〜2030年6月末:契約単位割引10%
  • 2030年7月〜2031年3月末:契約単位割引5%
  • 2031年4月以降:契約単位割引0%
  • 大口・多頻度割引全体では最大45%から最大12%へ

という流れが示されています。

これは、協同組合のETCカード事業にとって非常に大きな制度変更になる可能性があります。

特に、首都高速の利用が多い組合員を抱える協同組合では、今後の割引率の変化、組合員への説明、価格転嫁、請求・精算業務への影響を早めに確認しておくことが重要です。

今後も、首都高速の料金改定や大口・多頻度割引の見直しについて、継続的に確認していく必要があります。

では、阪神高速は?

阪神高速の「大口・多頻度割引」は、2032年3月末まで継続・拡充 となっています。

過去経緯では、以下のように阪神高速の料金改定は首都高速の約1~2年遅れとなっています。

  • 2016年4月~ 首都圏の新たな料金体系の導入(首都高速の料金改定)
  • 2017年6月~ 近畿圏の新たな料金体系の導入(阪神高速の料金改定)
  • 2022年4月~ 首都圏の新たな料金体系の改定(首都高速の料金改定)
  • 2024年6月~ 近畿圏の新たな料金体系の改定(阪神高速の料金改定)

この経緯を踏まえると、

阪神高速が2032年4月以降に大口割引(契約単位割引)を0%にする可能性も十分にあります。

阪神高速についても、料金改定や大口・多頻度割引の見直しについて、継続的に確認していく必要があります。


最後まで読んで頂き、誠にありがとうございました。

参照元(一次情報)