ETCカードをご利用のみなさま、こんにちは。
今回は、2026年8月28日に国土交通省が公表した「2027年度(令和9年度)予算概算要求」の中から、今後の高速道路料金・ETC割引に関係する内容についてご紹介したいと思います。国土交通省は今回の概算要求で、「国民の安全・安心の確保」「持続的な経済成長の実現」「個性をいかした地域づくりと持続可能で活力ある国づくり」の3点を重点項目として掲げています。

このブログでは、2024年度、2025年度、2026年度の予算概算要求についても、高速道路料金・割引の観点からご紹介してきました。
- 国土交通省「2024年度予算概算要求」から見る今後の高速道路割引の料金体系について
- 国土交通省「2025年度予算概算要求」から見る今後の高速道路割引の料金体系について
- 国土交通省「2026年度予算概算要求」から見る今後の高速道路割引の料金体系について
今回の2027年度予算概算要求を見ると、ここ数年進められてきた高速道路料金制度の見直しが、かなり具体的な段階に入ってきたことが分かります。
まず注目したいのが、道路関係予算の総括表です。

その中には、
「高速道路の料金割引に必要な経費」については、事項要求を行い、予算編成過程において検討する
と記載されています。
「事項要求」ですので、この段階では具体的な金額は示されていません。
これは「高速道路料金割引の予算がなくなる」という意味ではなく、必要額について今後の予算編成過程で決めていくという位置付けになります。
そして、今回もっとも注目したいのが、主要施策の中に設けられた、
- 持続可能な高速道路システムの構築に向けた料金体系の導入
という項目です。

国土交通省は、高速道路料金について、
- 利用度合いに応じた公平な料金体系
- 管理主体を越えたシンプルでシームレスな料金体系
- 交通流動の最適化のための戦略的な料金体系
という「料金の賢い3原則」を引き続き基本にしています。
そのうえで、今回の資料では、高速道路の渋滞緩和や地域活性化に向けて、混雑状況などに応じた柔軟な料金体系へ転換していく方針が示されています。
つまり、高速道路料金は単純に「割引する・しない」という制度から、時間帯や混雑状況、利用目的に応じて料金を変え、交通そのものをコントロールする制度へ徐々に変わってきていると考えられます。
具体的には、現在、以下のような見直しが進められています。
- 休日割引:年末年始、GW、お盆などの繁忙期を適用除外とし、平日利用を促すため周遊パスの平日の実質割引率を拡充
- 深夜割引:割引時間帯に走行した距離だけを割引対象とし、割引時間帯そのものは拡大
- 平日朝夕割引:勤務形態の多様化に対応するため、曜日や時間帯の制約を緩和した「通勤パス」を試行
- 大口・多頻度割引:ETC2.0を利用する自動車運送事業者に対する最大割引率50%への拡充措置について継続を検討
- 大都市圏の料金:利用距離に料金が比例する「対距離料金」の導入を推進
この中でも、ETCコーポレートカードをご利用のみなさまにとって特に重要なのが、大口・多頻度割引の拡充措置です。
現在、ETC2.0を利用する自動車運送事業者については、大口・多頻度割引の最大割引率が40%から50%へ拡充されています。
この措置は、2025年度補正予算によって2027年3月末まで実施されることになっています。
そして今回の2027年度予算概算要求では、
- 現在実施しているETC2.0を利用する自動車運送事業者に対する大口・多頻度割引の最大割引率の拡充措置(40%→50%)の効果を検証しつつ、措置の必要性等について検討
するとしています。
したがって、2027年4月以降も50%への拡充措置が継続されるかどうかは、現時点ではまだ決まっていません。
ただし、今回の概算要求に改めて項目として盛り込まれていることから、単純に2027年3月末で終了するのではなく、効果を検証した上で継続の必要性を判断していくという位置付けになっています。
今後の予算編成では、ここがETCコーポレートカード利用者にとって大きな注目点になりそうです。

また、「深夜割引」の見直しについても引き続き記載されています。
新しい深夜割引では、現在の「0時~4時の間に高速道路を利用すれば対象走行全体を割引」という仕組みから、22時~翌5時に時間帯を広げる一方、その時間帯に実際に走行した分だけを割引する方式へ変更される予定です。
さらに割引は、ETCマイレージサービスまたはETCコーポレートカードへの後日還元方式となります。なお、2026年9月現在、新しい深夜割引の具体的な運用開始時期はまだ発表されていません。
平日朝夕割引についても、従来の時間帯に固定された制度から「通勤パス」への見直しが進められています。
2026年度も社会実験が継続され、指定区間であれば曜日や時間帯にかかわらず最大50%割引で利用できる仕組みとなっています。実験期間は2026年4月から2027年3月までです。なお、現在の社会実験ではETCコーポレートカードは対象外となっています。
さらに、料金そのものを混雑状況に応じて変化させる取組も進んでいます。
東京湾アクアラインでは2023年7月から休日の時間変動料金の社会実験が始まり、2025年4月からは上り線の料金設定を変更するとともに、下り線にも時間変動料金が導入されました。
国土交通省は今回の資料でも、こうした取組を踏まえて「混雑等に応じた柔軟な料金体系」への転換を明確に打ち出しています。
また、首都高速道路では、維持管理コストの高騰への対応と大口・多頻度割引の拡充継続などを目的として、2026年10月1日から料金水準を約1割引き上げることも今回の資料で紹介されています。
こうして全体を見ると、今後の高速道路料金制度の方向性がかなり見えてきます。
これまでのような「特定の時間・曜日なら一律で安くなる割引」から、「物流支援」「観光需要の平準化」「一般道から高速道路への転換」「渋滞の分散」といった政策目的に応じて料金を変える仕組みへ移行しているということです。
特に、
- 「一律の割引」から「利用状況に応じた料金」へ
という流れは、今後さらに強まる可能性があります。
ETC2.0やETCの走行データを活用できるようになったことで、以前よりも細かく走行時間や走行区間を把握できるようになったことも、こうした料金体系を可能にしています。
2027年度に向けて特に注目したいのは、やはりETC2.0を利用する自動車運送事業者への大口・多頻度割引50%拡充措置が2027年4月以降も継続されるのかという点です。
あわせて、深夜割引の新制度がいつスタートするのか、通勤パスが社会実験から本格制度へ移行するのか、そして東京湾アクアラインで進められているような変動料金が他の高速道路にも広がっていくのかにも注目したいと思います。
2026年9月11日(金)に国土交通省の金子大臣の記者会見があり、本件について言及がありました。
(記者)
大臣就任からまもなく1年近く経つという中で、当時16年ぶりに自民党から国土交通大臣になられたということで、その点非常に注目されたと思います。
先般、高市政権が初めて一から編成する27年度予算編成の概算要求が行われたと思います。
その中で、大臣としてどんなカラーを打ち出すことができたのか、公明党大臣との違いがあったのか、なかったのか、その点も踏まえて教えていただければと思います。
(大臣)
令和9年度予算概算要求につきましては、先日御報告したとおり、国土交通省としてこれまでも着実に取り組んできた3本柱、具体的には、「国民の安全・安心の確保」「持続的な経済成長の実現」「個性をいかした地域づくりと持続可能で活力ある国づくり」に基づき、施策の推進に必要となる予算として、総額8兆7694億円を要求しています。
要求にあたっては、危機管理投資・成長投資等の施策を予見可能性を持って実施できるよう、『「強く豊かな日本」投資枠』を創設する等の政府全体の方針も踏まえて、令和8年熊本地震や令和8年8月千葉豪雨など近年自然災害が激甚化・頻発化する中、第1次国土強靱化実施中期計画に基づく取組をはじめとする危機管理投資や、「日本成長戦略」の17の戦略分野である造船の国際競争力強化や港湾ロジスティクスの強化をはじめとする成長投資を着実に進めるために必要な予算を盛り込んでいます。
これらの施策は、私自身も先頭に立ち、国土交通省として力を入れて取り組んでいるものであり、必要な予算がしっかりと確保されるよう、全力で取り組んでまいります。
公明党の大臣と私が大臣としての違いということをおっしゃいましたけれども、先ほど申し上げましたとおり、高市内閣が掲げる危機管理投資・成長投資の施策の中で、第1次国土強靱化実施中期計画に基づく取組をはじめとする危機管理投資や「日本成長戦略」の17の戦略分野である造船の国際競争力強化や港湾ロジスティクスの強化をはじめとする成長投資を着実に進めるために必要な予算を盛り込んでいます。
私は高市内閣が発足し、その大臣として指名されたわけですので、そういう意味ではこれまでと違って、高市内閣が重視している危機管理投資等の施策をやっているという意味では大きな違いがあるのかもしれません。
今後の高速道路料金の新たな料金体系について、引き続き情報を追っていきたいと思います。
最後まで読んで頂き、誠にありがとうございました。

