ETCカードをご利用のみなさま、こんにちは。
今回は、2023年11月10日に、高速道路の料金・割引に関する検討を行う有識者会議である「第60回国土幹線道路部会」が開催されましたので、内容をご紹介したいと思います。
前回の「第59回国土幹線道路部会」が開催されたのが、2023年10月24日でした。内容は以下でご紹介いたしました。
【2023年10月24日】高速道路の料金・割引に関する検討を行う有識者会議である「第59回国土幹線道路部会」が開催されました!
今回は、「高速道路料金」がメインテーマとなっています。
1.高速道路料金(関係団体へのヒアリング)
・近畿圏関係自治体(大阪府、兵庫県、大阪市、神戸市、堺市)
・阪神高速道路(株)
2.高速道路の料金割引の検討状況について
道路局長から挨拶があった後、朝倉座長からアジェンダについて説明があった後に、各委員から質問を受け付けた上で、関係団体への意見ヒアリングがありました。
1.高速道路料金(関係団体へのヒアリング)
近畿圏関係自治体(大阪府、兵庫県、大阪市、神戸市、堺市)



意見のポイントは以下の通りです。
- 上限料金の適切な設定
- 深夜割引の創設
- 大口多頻度割引の拡充
- 都心流入割引の拡充及び都心迂回割引の創設
- 混雑状況に応じた料金措置
- 関西国際空港など泉州地域と都心部間の影響軽減のための料金施策
- 管理主体を超えたシームレスな料金体系
部会では事前に説明動画を視聴した上での質疑・応答となりました。
阪神高速道路(株)


意見のポイントは以下の通りです。
- 上限料金等の公平で適切な料金体系への改善
- 交通量、渋滞の偏りの改善(交通量に余裕がある夜間帯の活用)
- 早期のミッシングリンク解消
部会では事前に説明動画を視聴した上での質疑・応答となりました。
2. 高速道路の料金割引の検討状況について

ポイントは以下の通りです。
- 平日朝夕割引の見直し(フリータイム通勤パスの試行状況)
- 深夜割引の見直し(深夜割引の対象となる距離の上限)
- 休日割引の見直し
「平日朝夕割引」に関しては、2023年4月から石川県の一部区間で試行していた「フリータイム通勤パス」を7月から石川県全域に拡大し、2023年11月2日の「デフレ完全脱却のための総合経済対策」を踏まえ、2024年4月から全国の複数エリアへ拡大し、2026年度中に現行の平日朝夕割引に変えて本格展開という見通しが挙げられておりました。
「深夜割引」に関しては、以前から部会へ報告されていた内容に加え、2023年11月7日から意見募集を開始した「距離の上限設定」について報告されました。
大口多頻度割引、マイレージ割引に関するものはありませんでした。
委員からの意見
委員からの意見ヒアリングでは、
いつもの部会と異なり、事務局の割引の見直し方針に関してかなり厳しい意見が続出しておりました。
阪神高速の「戦略的な料金体系のイメージ」にて「混雑している時に割引する」とあるが原則に反している、「混雑している時は割増」すべきではないか?との意見がありました。
阪神高速の資料にはシンプルでシームレスな料金体系と書いていて耳に心地いいが、実際の内容は割引が複雑、どこがシンプルでシームレスなのか?すべてにメリット享受というのはありえないとの意見がありました。
関西というのは首都の代替となりえる地域であり、3つも空港を持っており、関西全体の発展を考えた高速道路の超長期の計画も必要ではないか?東京圏は今のままでもある程度成長すると思うが、関西はもっと1歩も2歩も踏み込まないといけないのではないか?との意見がありました。
上限料金があるために混雑した中心部を通過しているという問題があるが、混雑緩和のために上限料金を上げると値上げになるという矛盾があるが、阪神高速としては公平性の観点からこれは致し方ないという理解か?との意見がありました。
「同一発着同一料金」はマストではなく、それが有効であればという条件がつくと思うので原則にすべきではないのではないか?との意見がありました。
公平な料金体系を目指しているとのことですが、公平ということについて議論しておくべき、割引財源は何ですか?財源の議論をしていない、料金体系を変えて、割を食っている利用者もいる、割引によって誰が割を食っているのかを明示したうえで議論が必要との意見がありました。
休日割引の正当性は?新幹線や飛行機、宿泊施設は休日は高い、すぐに変えることは難しいがもっと慎重になるべきではないか? との意見がありました。
深夜割引の目的から考えると、トラックなどはわかるが、乗用車に対する深夜割引の正当性は? との意見がありました。
深夜割引の速度等で上限距離を設けるのは筋違いでは?高速道路の料金で対策をやるべきことではないと思う との意見がありました。
平日朝夕割引の見直しに関しては、石川県の検証予想・結果について事前、事後を確認せずに拡大するのはやめたほうがいい との意見がありました。
深夜割引のためにアンテナをつける必要があるが、密度高くつけられない。これでは技術的に限界があるかもしれないし、入口、出口の流入流出時刻をみることと比較してどちらがいいか等の議論せずにやるのはやめたほうがいい との意見がありました。
深夜割引に関しては、トラックドライバーの行動変容に、事前の想定がない、分析や結果もない、その状態でやるのは賛成できない との意見がありました。
部会長の朝倉委員を含め、多くの委員から事務局からあがっている割引の見直し方針に関してダメ出しがありました。過去に何度も国土幹線道路部会を傍聴していますが、これほどダメ出しされるケースは珍しいので、現在の国交省が提示している割引案に修正が入るかもしれません。
また災害対策、ミッシングリンク、料金方針などについて非常に幅広い内容の意見がでていたので、今後これらの意見を踏まえ、論点を整理し、とりまとめいくのだろうと思われます。
最後までご覧いただきありがとうございました。