ETCカードをご利用のみなさま、こんにちは。
近年、日本の物流業界にて長時間労働、厳しい取引環境、人手不足など課題が深刻化していることはニュースなどでご存じのことかと思います。
いわゆる、「物流の2024年問題」です。
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こうした状況を受け、国土交通省、経済産業省、農林水産省にて「持続可能な物流の実現に向けた検討会」が2022年9月に設置されたというご紹介を以前いたしました。
【物流の2024年問題】国土交通省・経済産業省・農林水産省による「持続可能な物流の実現に向けた検討会」について
その後、2023年5月19日に第10回「持続可能な物流の実現に向けた検討会」が開催されましたので、その中で検討されている内容をご紹介したいと思います。
まず、大きく以下の4つに分類された上で、「実施が必要な事項」と「実施することが推奨される事項」が列挙されました。
・発荷主・着荷主に共通する事項
・発荷主としての取組事項
・着荷主としての取組事項
・物流事業者としての取組事項
また、業界の特性上実施することができない事項については代替となる取組を設定して実施することがあげられておりました。
発荷主・着荷主に共通する事項
(1)実施が必要な事項
① 荷待ち時間・荷役作業等にかかる時間の把握
② 荷待ち・荷役作業等時間原則2時間以内ル-ル
③ 物流管理統括者の選定
④ 物流の改善提案と協力
⑤ 運送契約の書面化
⑥ 運送契約にない荷役作業等の防止
⑦ 運賃と料金の別建て契約
⑧ 燃料サーチャージの導入・燃料費の上昇分の価格への反映
⑨ 下請取引の適正化
⑩ 異常気象時等の運行の中止・中断等
(2)実施することが推奨される事項
① 予約受付システムの導入
② パレット等の活用
③ フォークリフト・フォークリフト作業員等の配置
④ 検品の効率化・検品水準の適正化
⑤ 物流システムや資機材(パレット等)の標準化
⑥ 輸送方法・輸送場所の変更による輸送距離の短縮
⑦ 共同輸配送の推進等による積載率の向上
⑧ 高速道路の利用
⑨ 運送契約の相手方の選定
⑩ 荷役作業時の安全対策
発荷主としての取組事項
(1)実施が必要な事項
① 出荷に合わせた生産・荷造り等
② 運送を考慮した出荷予定時刻の設定
(2)実施することが推奨される事項
③ 出荷情報等の事前提供
④ 物流コストの可視化(店着価格制の見直し)
⑤ 発荷主側の施設の改善
⑥ 混雑時を避けた出荷
⑦ 発送量の適正化
着荷主としての取組事項
(1)実施が必要な事項
① 納品リードタイムの確保
(2)実施することが推奨される事項
② 発注の適正化
③ 着荷主側の施設の改善
④ 混雑時を避けた納品
⑤ 巡回集荷(ミルクラン方式)
物流事業者の取組事項
(1)実施が必要な事項
① 業務時間の把握・分析
② 長時間労働の抑制
③ 運賃・料金の明確化
④ 標準的な運賃の活用
⑤ 契約内容の見直し
(2)実施することが推奨される事項
① 物流システムや資機材(パレット等)の標準化
② 賃金水準向上
③ トラック予約システム、バース予約システム等の導入
④ 共同輸配送の促進、帰り荷の確保
⑤ 倉庫内業務の効率化
⑥ 入出庫ロットの大口化、平準化、受発注時間の前倒し
⑦ モーダルシフト、モーダルコンビネーションの促進
⑧ 中継輸送の促進
⑨ 作業負荷軽減等による労働環境の改善
内容としては、細かい項目も多いですが、網羅的にできることはあげられているという印象を受けました。
最終取りまとめ(案)
これらを踏まえ、さらに業界団体からのヒアリングや事務局の取りまとめた内容などの加味した上で議論し、「最終とりまとめ(案)」が作成され、最終調整の段階になっています。

スケジュールとしては、2023年5月~6月に「最終取りまとめ」を公表する予定となっており、岸田首相や所管省庁の閣僚が出席し、物流を巡る現状と諸課題について議論する「我が国の物流の革新に関する閣僚会議」にて、有効かつ緊急の施策が発表されることを期待しています。
最後まで読んで頂き、誠にありがとうございました。