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今回は、「物流の2024年問題」に対応するために 大手荷主・物流事業者への規制的措置、多重下請け構造の是正などを規定する各種法律の改正案が2024年2月13日に閣議決定したことをご紹介したいと思います。

対象の法律は、以下の2つです。
  ・物流総合効率化法
  ・貨物自動車運送事業法

改正する法律案の概要は以下の通りで、改正の目的は、「2024年問題に対応し、物流の持続的成長を図るため」となっています。

法律案が閣議決定されたことに伴い、罰則・罰金を伴った規制的な措置がひかれる見通しとなりました。(*1)

法律案の概要

1.荷主・物流事業者に対する規制

  • 荷主・物流事業者に対し、物流効率化のために取り組むべき措置について努力義務を課し、当該措置について国が判断基準を策定。
  • 上記取組状況について、国が判断基準に基づき指導・助言、調査・公表を実施。
  • 上記事業者のうち、一定規模以上のものを特定事業者として指定し、中長期計画の作成や定期報告等を義務付け、中長期計画に基づく取組の実施状況が不十分の場合、勧告・命令を実施。
  • さらに、特定事業者のうち荷主には物流統括管理者の選任を義務付け。

※法律の名称を「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律」から「物資の流通の効率化に関する法律」に変更

2.トラック事業者の取引に対する規制

  • 元請事業者に対し、実運送事業者の名称等を記載した実運送体制管理簿の作成を義務付け。
  • 荷主・トラック事業者・利用運送事業者に対し、運送契約の締結等に際して、提供する役務の内容やその対価(附帯業務料、燃料サーチャージ等を含む。)等について記載した書面による交付等を義務付け。
  • トラック事業者・利用運送事業者に対し、他の事業者の運送の利用(=下請けに出す行為)の適正化について努力義務を課すとともに、一定規模以上の事業者に対し、当該適正化に関する管理規程の作成、責任者の選任を義務付け。

3.軽トラック事業者に対する規制

  • 軽トラック事業者に対し、
    [1]必要な法令等の知識を担保するための管理者選任と講習受講、
    [2]国土交通大臣への事故報告を義務付け。
  • 交省による公表対象に、軽トラック事業者に係る事故報告・安全確保命令に関する情報等を追加。

今回の法律を改正するにあたり、背景や必要性に関して、国土交通省から資料がでておりますので、併せて載せておきます。

国土交通省の資料より

予想通りの内容ですが、法整備を行い、着々と実行するということと思われます。

(*1) … 法律案は、正式には、閣議決定後に国会に提出され、審議・採決の上で成立します。 政府・与党は、この法律案を今の通常国会に提出し、速やかな成立を行う見通しです。

2024年2月13日(火)に国土交通省の斉藤大臣の記者会見があり、本件について言及がありました。

(記者)

物流の法案についてお伺いします。
法案の審議入りが見込まれるのが4月以降だと思うのですが、その頃には既にトラック運転手の残業規制強化が適用されていると思います。
今回の法整備の対応に遅れはないでしょうか。
その上で2024年問題の解決に向けて、今回の法改正踏まえてどのように対応するかお聞かせください。

(大臣)

これまで「2024年問題」に対応するため、昨年6月に決定した「物流革新に向けた政策パッケージ」及び10月に決定した「緊急パッケージ」に基づき、「標準運送約款」の改正や「標準的な運賃」の引上げ、トラックGメンによる荷主等への是正指導の強化、物流の効率化に向けた支援やモーダルシフトの推進、消費者の行動変容に向けた宅配の再配達率削減策、これらの施策に速やかに着手し、実行してまいりました。

また、法改正に先立ち、100を超える荷主や物流事業者において、業界・分野別の自主行動計画を作成・公表していただいており、これらを総合的に実施することにより、直近で不足する輸送力を補うこととしています。

その上で、「2024年問題」は、喫緊の課題であると同時に、年々深刻化していく構造的な課題です。

この構造的な課題に対応していくため、本年を「物流革新元年」として、この法案による規制的措置にしっかりと取り組むとともに、自動運転などの新たな技術の活用も含め中長期的対策も講じていくことにより、物流、ひいては、我が国の持続的成長を実現していきたいと思っています。


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