ETCカードをご利用のみなさま、こんにちは。

今回は、「大型車における日本の道路の制度について基礎的な内容」をご紹介したいと思います。一般の方というよりは、運送事業者や運送事業者が加盟する協同組合向けの内容となります。

基本的に日本の道路は一定の基準で整備され、大型車の通行に関しては規格の高い道路のみこれを想定した設計となっています。

なぜそのような設計になっているかというと、大型車になると以下のような可能性が生じるからとされています。

  • 通行が困難な経路が生じる
  • 老朽化が進む中で、劣化が早くなる(メンテナンスに影響)
  • 交通の安全と円滑への影響

よって大型車向けの「通行制度」や「通行条件」が存在します。この大型車向けの「通行制度」は、「特殊車両通行制度」と呼ばれています。

「社会資本整備審議会 道路分科会 基本政策部会 物流小委員会」の資料より

大型車は「特殊車両通行制度」のもと「車両制限令」という法律で規制されており、一定の重量・寸法を超える車両は、道路を通行する場合、通行の許可又は通行許可経路の確認を受けることが必要となっています。

運送事業者など特殊車両を運行する場合、以下のどちらかの制度を利用して条件をクリアする(通行の許可または確認を受けること)必要があります。

  • 「許可制度」(従来方式)
  • 「確認制度」(2022年4月から追加の新方式)

従来方式の「許可制度」では、手続きに約1か月かかるということで、よりスピーディに手続きを完了させるために、2022年4月から新方式の「確認制度」が導入されましたが、現状では「経路の網羅性の低さ」や「手数料の高さ」、「システムの利用のしにくさ」などによって、まだまだ現状では多くの方が従来方式の「許可制度」を利用されています。

この新方式である「確認制度」については以前ご紹介したのでリンクを貼っておきます。

従来方式の「許可制度」についても許可手続きを簡易化するための制度が2016年からスタートしています。

それの制度が「特車ゴールド」です。正式名称は「ETC2.0装着車への特殊車両通行許可簡素化制度」 です。

特車ゴールド」に関しても以前ご紹介したのでリンクを貼っておきます。

いままでの内容をざっとまとめると、特殊車両を運行する事業者は、車両の状況や経路などによって大きく以下の3つのパターンで通行許可または通行確認を取った上で運行しています。

  1.従来方式の「許可制度」(特車ゴールド利用なし)
  2.従来方式の「許可制度」(特車ゴールド利用あり)
  3.新方式の「確認制度」

実際の手続きは、運送事業者が自社で行うか、行政書士へ依頼して実施しているケースが多いかと思います。

対象となる「特殊車両」は以下のように分類されています。

「社会資本整備審議会 道路分科会 基本政策部会 物流小委員会」の資料より

というところが、大型車向けの制度ですが、こういう制度があるということは違反する車両も出てくるということであり、そうした違反をどのように取り締まっているか?を次にご紹介したいと思います。

違反の取り締まりは、大きく2種類の方法があります。

  1.現地取締り
  2.自動計測装置取締り

特殊車両の取締りは、道路構造物への損傷や交通に及ぼしうる危険を未然に防ぐことはもちろん、取締り事実の周知により一層の法令遵守を業界に求めることが目的とされています。

「社会資本整備審議会 道路分科会 基本政策部会 物流小委員会」の資料より

このような取締りの結果としての「違反の現状」ですが、依然として多くの違反が発生している状況となっています。

「社会資本整備審議会 道路分科会 基本政策部会 物流小委員会」の資料より

高速道路における車両制限令違反車両に対する措置命令は、年間1,000件以上となっています。

「社会資本整備審議会 道路分科会 基本政策部会 物流小委員会」の資料より

違反を繰り返し行う場合は、日本高速道路保有・債務返済機構のHPにおいて企業名と是正指導内容が公表されています。

「社会資本整備審議会 道路分科会 基本政策部会 物流小委員会」の資料より

こういった「行政指導」というペナルティ以外に、高速道路の場合、2017年4月から違反した車両が利用していたETCコーポレートカードを発行している協同組合にもペナルティが与えられることになりました。

これは高速道路会社から発表された「車両制限令違反者に対する大口・多頻度割引停止措置等の見直し」という措置です。

この措置については、以前ご紹介したのでリンクを貼っておきます。

今回は、「大型車における日本の道路の制度について基礎的な内容」をご紹介しました。

「物流の2024年問題」などもあり、政府も大型車に関してはさまざまな緩和措置を実施していますが、道路整備に係る費用や道路構造物への負担が増加することにもつながるので悩ましいところだと思います。

最後まで読んで頂き、誠にありがとうございました。