ETCカードをご利用の皆さま、こんにちは。
今回は、高速道路料金の割引に関するこれまでの経緯と現在の取組状況についてざっくりとまとめてご紹介したいと思います。
2005年10月に道路公団から民営化された高速道路会社ですが、2008年9月のリーマンショック、2009年9月の政権交代、2011年3月の東日本大震災などによって割引制度が短期間に何度も変更されました。
道路公団の民営化について詳しくお知りになりたい方は以下をご参照ください。

特に2008年~2011年にかけて民主党政権で行われた「料金割引(休日1,000円など)」と「無料化実験」は非常に大きな影響がありました。
しかしながら、東日本大震災の発生により、「料金割引」ならびに「無料化実験」は、大きく軌道修正せざるを得なくなり、民主党政府は、無料化社会実験や料金割引の評価、将来の料金制度のあり方について検討するための有識者委員会を設置することになります。
この有識者委員会は、15回の議論を経て、2011年12月に「今後の高速道路のあり方」として「中間とりまとめ」を国土交通大臣へ答申しました。
「中間とりまとめ」により料金制度のあり方と今後の料金施策の方向性が打ち出されたことに伴い、3年後(2014年)に料金割引の財源がなくなるまでに、既存の料金割引を具体的にとりまとめて、2014年度以降の料金施策が決められることになりました。
その後、この流れを受け、現在も高速道路に関する政策を調査・審議している「国土幹線道路部会」が2012年7月に立ち上げられます。
民主党政権時代の「料金割引」と「無料化実験」について詳しくお知りになりたい方は以下をご参照ください。
そして、2014年度以降の料金施策が検討され、国土幹線道路部会は、2013年6月に国土交通大臣へ「中間答申」を行い、2014年4月から実施された「全国の新たな料金体系の導入」へとつながります。
重要な部分をピックアップすると、
1.「整備重視の料金」から「利用重視の料金」への転換
2.「3つの料金水準」→普通区間、大都市近郊区間、海峡部等特別区間
3.(NEXCO、本四)通勤割引の見直し→平日朝夕割引導入へ
4.(NEXCO、本四)マイレージ割引の見直し→13.8%から9.1%へ
5.(NEXCO、本四)休日割引30%継続、深夜割引30%継続
6.(NEXCO、本四)大口・多頻度割引の拡充(最大割引率40%)
7.(アクアライン)終日800円継続
8.(首都高速)現行料金を維持
9.(阪神高速)現行料金を維持

詳細をお知りになりたい方は、以下をご参照ください。
その後、各地域ごとに「新たな料金体系の導入」が以下のように進みました。
- 2016年4月~ 首都圏に新たな料金体系の導入(首都高速など)
- 2017年6月~ 近畿圏に新たな料金体系の導入(阪神高速など)
- 2021年5月~ 中京圏に新たな料金体系の導入(名古屋高速など)
そして、直近で最も重要な中間答申が2021年8月に国土幹線道路部会から出されました。これは、「持続可能な高速道路システムの構築に向けた制度等のあり方について」の中間答申となっており、概要は以下の通りです。

詳細をお知りになりたい方は、以下をご参照ください。
2021年8月以降は、上記の「中間答申」を踏まえて政策決定されていくようになります。以下が、2025年12月時点での「取組状況」です。

平日朝夕割引、深夜割引、休日割引、変動料金に関しては程度の差はありますが、方針が出て取組が進んでいます。
しかしながら、大口・多頻度割引とマイレージ割引に関しては、「データ整理/分析中」ということでまだ何も取組が始まっていない状況です。
今回は、高速道路料金の割引に関するこれまでの経緯と現在の取組状況についてざっくりとご紹介しました。
最後まで読んで頂き、誠にありがとうございました。

